医学と看護
悪性骨腫瘍の動脈内持続注入療法
武内 章二
1
1岐阜大学医学部整形外科
pp.33-38
発行日 1969年10月1日
Published Date 1969/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914635
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はじめに
悪性骨腫瘍,特に骨肉腫,Ewing肉腫は10〜20才に発生するきわめて悪性度の高い腫瘍で,しかも四肢骨の場合は罹患肢の切断,あるいは関節離断術などにより,確実に腫瘍の完全な全剔出が可能であるにもかかわらず,その生命に関する予後は他の臓器癌と比較すると著しく不良であり,骨肉腫の場合80%以上の症例が手術後1年ないしは2年以内に肺転移のために死亡しており,5年生存率はわずか10%前後,Ewing肉腫では0%に近い状態を示す,きわめて予後の不良な腫瘍である。(表1)
これは骨肉腫そのものが癌腫に比較してより増殖能力の強い未分化型細胞を含んでおり,しかも血行性播種がきわめて早いことが大きな要因と考えられるが,骨髄内に発生した肉腫の早期診断は,現在の段階ではほとんど不可能に近く,しかも病状の進行が早く病的骨折を起こしてはじめて発見される場合が多く,また初期肺転移の発見もきわめて困難であることなどが治療上の最大の支障であり,ここに早期発見,早期治療上のむずかしい問題点がある。
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