東西南北
世話
北浦 雅子
1
,
石田 健一
2
,
青木 孝治
3
,
今井 昌彦
4
1全国重症心身障害児(者)を守る会
2東京競馬場・柴田厩舎
3警視庁警ら執行課
4財団法人文楽協会事務局
pp.9
発行日 1969年10月1日
Published Date 1969/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914630
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- 文献概要
私の次男は生後7か月目に種痘後脳炎にかかり,その後遺症として右半身まひ,言語障害,ちえおくれの重症心身障害児となってしまいました。現在23歳でベッドに寝たまま家庭療育をつづけています。まるまると肥った子どもが,一瞬にして重症児となってしまった母親の悲しみは,たとえようもないものでした。ただ一日一日を真剣に看護し,世話をすることに没頭するだけでした。しかし,その一日一日は私にいろいろのことを教え,考えさせてくれました。私の暗い心,あせり,苦しみ,なやみはそのまま子どもの容態に現われることも知りました。母親としての感情に溺れず,現実をそのまま見つめて冷静に,しかも適切に,その日その時の看護をしなければならないと気づくようにもなりました。「世話」ということは,結局,相手の心になる深い愛情と客観的な理性との調和ではないかと,そのむずかしさを感じています。
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