特別掲載
ほんやく 精神科看護における看護婦による治療
ジューン・メロウ
1
,
吉田 映子
1
1マサチューセッツ精神衛生センター
pp.76-81
発行日 1969年10月1日
Published Date 1969/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914648
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看護婦による治療,つまり経験的,分析的治療は,精神病,特に精神分裂病に対する治療の方法であると筆者は述べている。これには2種類の仕事が含まれている。すなわち,ナーシング・ケアーのプロセスを進めていくなかから出てくる経験的なものと,臨床研究的なものである。ここで看護婦は移行という現象に対処し,精神分析的精神療法の技法を有効に使用できるよう訓練される必要がある。この訓練では,一連の治療の技法を教えるのが目的であるが,これによって,訓練生は,柔軟性をもってこの仕事にあたり,治療の進行過程で変化する患者のニードと周囲の状況が要求するものの両者に対して,その技術を応用することができるようになる。
看護婦による治療という考えは,私がある精神分裂病の少女の治療に加わった経験から生まれたものである。(その当時,1961年には,私は,ボストン州立病院急性精神科病棟の婦長をしていた。この時の経験から,私は精神科看護に固有のいくつかの問題に気づいた。それは,看護婦がどれほどまでに,患者の病気の推移に直接的なかかわりをもつ重要な治療者であるかということ,患者に対する情緒的コミットメントの重要性,ナーシング・ケアーのプロセスに内在する治療上の利点,すなわち,専門職業的であるが,同時にごく親密な関係などの問題である。
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