M.S.W.の目
やっと医療が受けれた山村の娘
中島 さつき
pp.64
発行日 1969年10月1日
Published Date 1969/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914644
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静子(51才)は戦争未亡人である。同居の吾作(実は内縁の夫)の助けをかり,農業をしながら4人の子どもを育ててきた。遺族年金と遺産(山林20町歩,畑少々)はあったが,生活は苦しくそのうえ8年前の夏病気となり,M病院に入院し現在も療養中である,当初は資産を活用するという条件で生活保護法の医療扶助を適用されたが,資産を処分しないため6年後生活保護を打ち切られた.その後は国民健康保険で医療費の3割を自己負担している。
M市からバスで1時間20分の辺地の部落には,現在吾作と次女のユキが住んでいる。吾作は戦死した夫の遠縁にあたり,身体障害者となってからこの家に住みついて,男手として働いている。障害度は5級で年金をもらっており,気ままな生活をして,変わり者とかうすバカとか言われているが,精薄者なのか戦争によるものかはっきりしない。
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