ナースのための臨床薬理・8
パーキンソン症候群の薬物療法
橘 敏也
1
1聖路加国際病院内科
pp.76
発行日 1967年11月1日
Published Date 1967/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917460
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パーキンソン症候群には,脳炎,一酸化炭素中毒症の後遺症として起こるもの,はっきりと原因のわからぬもの,動脈硬化に伴うものなどがあるが,いずれも,筋肉の強剛muscle rigidity,手のふるえtremor,寡動性akinesiaを主症状とする慢性疾患である。
患者は,これらの症状のために特有な容貌を示し,一見しただけでそれとわかる。姿勢は上体を前屈みにして,両手は肘で曲げ,手指は細かく震え,ことに指先は,丸薬をまるめるような,紙幣を数えるような震え方を示す。筋肉が硬いために,敏速な行動ができない。そのために,歩き方は極めて小股で,トボトボと歩く。字を書かせても,腕が自由にならないのと手指の震えのために,大きな字が書けず,小さい字で尻つぼみの書体となる。顔面の筋肉も硬く,表情は極めて乏しくマスク状で,特有なのは顔面が油ぎってみえる。患者の腕をとって曲げたり,伸ばしてみると,グーグーと抵抗を感じながら動く。筋肉の強剛のためである。
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