グラビア
医療ゼロ地帯—野放しの環境衛生
檜垣 日出男
pp.17-19
発行日 1967年11月1日
Published Date 1967/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917442
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
“東京には空がない”とは余りに有名なセリフだがいまや空だけじゃない大気も水も土も草も都市からはあらゆるものが失われつつある。しかも都市に限らずより広い地域にもその魔手が伸びつつあるのだ。新たに“広域公害”と呼ばれるのがいわゆる高度成長期以後最近の公害の特徴という。
バイジンや亜硫酸ガスによって汚濁した大気ブスブスとメタンを吐き出すドブ川殺人的騒音清掃マヒによって巨大なゴミためと化した都市は人間の生存を日々不断におびやかしているのだ。もはや“空がない”などと感傷にふれる余裕すらもない。ちなみに葛飾区では就寝中5人の者が繁殖するネズミどもにかまれ3人も入院した。現代は人間よりもネズミにとって住みよい社会になってしまっているらしいのだ。
Copyright © 1967, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.