助産婦雑誌 53巻2号 (1999年2月)

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 中根 本日はアロマセラピーを実践なさっておられる先生方に,周産期における効用や,どうすれば助産婦が活用できるのか等,いろいろとお教えいただきたいと思います。先生方は,今回の特集にもご論文を執筆していらっしゃるということで,この場ではアロマセラピーへの誘いといったようなお話になればと思います。

 ところで,わたしは10年ほど前に助産院で働いていましたが,その助産院では鍼灸師さんがアロマセラピーも行なっていました。例えば,出産後の会陰浮腫を軽減するためにアロマを用いたりしていて,確かに効果がありました。また,とても香りが良くて「こういうのもいいかな」と思っていました。

アロマセラピーとは 川端 一永
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はじめに

 ここ数年,アロマセラピーが大変なブームになっていますが,はたして皆さんはアロマセラピーを正しく理解しているのでしょうか。

 アロマセラピーとは,1928年にフランスの化学者ルネ・モーリス・ガットフォゼにより作られた言葉です。「あれ,アロマセラピーって古代エジプトより行なわれていた,ってある本に書いてあったわよ!」と反論される方もいらっしゃると思いますが,我慢して,先をお読み下さい。

妊娠中のアロマセラピー 鮫島 浩二
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はじめに

 お産のときに,その苦しみからパニック状態になった産婦の話をまず紹介したい。彼女は分娩極期のあたりで半狂乱の状態になり,大声をはり上げ,手足をばたつかせて抑えつけざるを得ない状態になった。そこで,私は肌の温もり程のお湯に数滴の真性ラベンダーの精油を落とし,タオルをつけてしぼり,彼女の顔にかぶせた。そして,陣痛の合間をみて,母親学級で書いてもらっていた「分娩時の要望書」を彼女に聞こえるように大きな声で読み上げた。彼女が平静に戻るのに時間はかからなかった。やがて進行期の頃のように,再び陣痛を受け入れ,子宮口をイメージしながらリーブ法の“ソーン”の呼吸ができるようになった。それからは,二度と取り乱すことなく,自分で計画した出産を見事な落ち着きの中でやり終えた。

 ラベンダーの精油は,彼女が母親学級で仲間と一緒に嗅いでいたものであった。のちの彼女の話によると,このラベンダーの香りで,まず母親学級の仲間を思い出し,共に「いいお産をしようね」と誓いあい励ましあった日々と,母親学級で学んだ内容が走馬灯のごとく駆け巡り,「みんなが応援してくれている,がんばらねば」という思いが急速に高まり,平静を取り戻したとのことだった。

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はじめに

 お産が安楽かつ順調に進行するために,分娩ケアにおいて医療者は,様々な試みを行なっている。その一つにアロマセラピーがある。

 アロマセラピーとはなにかについては本特集中で川端一永先生が解説されているのでご参照いただきたいが,助産婦の私たちが重視していることは,アロマセラピーは精油の香り(嗅覚刺激)によるリラックス効果があるといわれていることである。分娩が順調に進行するためには,産婦が「心身共にリラックスすること」が重要であることから,当日赤医療センター分娩室では数年前より分娩時にアロマセラピーを取り入れ,リラックス,安心感,産痛緩和に効果を得ている。

産褥期のアロマセラピー 東野 利夫
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はじめに

 出産直後から1か月ぐらいの間に子宮はほぼ元に戻り,悪露(子宮内膜からの血性分泌物)もほとんど消失し,母乳哺育も確立する。この期間は広義の産褥期とみなされている。母体にとっては脳下垂体系(乳汁分泌ホルモン,子宮収縮刺激ホルモン)の働きに急変が起こり,さらに自律神経中枢への影響もあって母体は“疾風怒涛の嵐”にさらされ,心身両面において障害が起こりやすくなる。

 本稿では,このホルモンバランスに変化が生じ,心身共に負担がかかりやすい産褥期における,アロマセラピーの実践について述べたい。

母と子のアロマセラピー 柳瀬 幸子
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はじめに

 今までの産婦人科医の役割は,母となる方に妊娠・出産・産褥期を安全に無事に過ごしていただき,母子共に元気に退院していただくことであった。しかし近年,少子化時代となり,育児不安が叫ばれるなか,産婦人科医の役割も見直していく必要があると考えている。

 最近は,身近に子育てをする母親を見たり,接したりする機会が少なく,赤ちゃんを抱くのは自分の子供が初体験であったという産婦が意外に多い。また,核家族化がすすんだために子育てに不慣れな産婦を支え,励ます援助者が身近にいないために,必要以上に神経質に児に接したり,些細なことで戸惑ったり,不安になったりして,精神的にも肉体的にも疲労してしまう母親が増えている。母親にとっても,また児にとっても,良い環境が保てなくなる状態が起こりやすくなっている。

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はじめに

 私たちは日常,色々な香りに包まれて生活しています。草花の開花やその香りで季節を感じたり,心がなごんだりした経験は誰にもあると思います。

 私がアロマセラピーに興味をもつようになったのは,自分自身が寝付きが悪いことと肩凝りがひどかったことからでした。ラベンダーのポプリは眠りを誘う効果があることを知っていたので,エッセンシャルオイルを買って,ティッシュに1滴落とし,枕元に置いてみたところ,少なからずリラックスできたのです。

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アロマセラピーは心身共によく効く万能薬

 「生まれた?えっ,まだなの?体を動かさないから遅れるんだよ」。出産予定日を過ぎて今日で3日。心配して電話をくれた友人の何気ない一言に,“時間が来れば赤ちゃんはちゃんと生まれてくるんだから”と自分に言い聞かせながらも,私は不安になってきた。自分なりによく動いたと思う。体重も6kg増に抑えたのに,何で生まれないのかな……。だんだん焦り始めた私を見て,先生はおっしゃった。「元木さん,アロマセラピーやりましょうか」。

 波の音だろうか,心地良いBGMが流れる。用意されたバケツに足をそっと入れると,湯気と共に優しい香りがふわっと立ち上った。「うわぁ,いい香り!」。冷え性の私の体はポカポカに。それを見計らって先生は精油を手に取ると,足の先から首まで,ツボを刺激しながらマッサージして下さる。“いい香り・気持ちいい・温かい”の3拍子は,あっという間に先程までの不安やイライラを吹き飛ばしてくれた。

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 筆者は,アロマセラピーに関心をもつ助産婦の1人です。数年前から興味を持ちはじめ,妊産婦におけるアロマセラピーの実践研究や文献研究を行なってきました。

 本稿では,簡単な私のアロマセラピールーツと,海外の助産婦によるアロマセラピーを用いた分娩に関する論文を紹介したいと思います。

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日本アロマセラピー学会について

 日本アロマセラピー学会は,臨床にアロマセラピーを応用する医療従事者の学術団体。入会資格は,医療従事者免許を持った医師,歯科医師,薬剤師,看護婦,保健婦,助産婦,鍼灸師などで,お問い合わせは下記まで。

特別寄稿

新潟の助産婦教育の黎明 蒲原 宏
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はじめに

 新潟県の近代化は明治4年(1871)7月14日に廃藩置県,同年11月20日各藩の新潟県,柏崎県,相川県への統合,ついで明治6年(1873)6月10日の柏崎県の新潟県への合併,さらに明治9年(1876)4月18日の相川県の新潟県への合併で,行政的に現在の原型が成り立って完成に近くなった。欧米に追いつけの政策であった。

 県内の近代化は大久保利通の懐刀であった楠本正隆(1838-1902)県令の赴任によって急速に進められていった。近代化は西洋化と同じ意味であった。衛生行政,医療関係の教育もその近代化路線の上を急ぎ足で歩むこととなる。

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 産声を上げてはや5年.「いいお産の日」はたくさんの人の手や心に支えられて大きな成長を遂げてきた.

 今年は「こころの胎動,感じますか?」というタイトルで11月3日,4日と2日間にわたり開催された.

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5年めに,初めて本部委員となりました

おかげさまで5周年

 産む人と医療者が作り上げるイベント「いいお産の日」も今年で5回目。開催地の東京では秋の恒例の行事となってきました。今年のテーマは「こころの胎動,聞こえますか?」。テーマのもと,さまざまな催しが行なわれました。来場者は11月3日,4日の両日合わせて815名でした。

 今年も東京からの全国展開はしなかったものの,全国各地でさまざまなお産イベントが行なわれたとのこと,うれしい限りです。

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私たちも何かしたい

 昨秋も「いいお産の日」のイベントが日本の各地で開催された。

 私たちは,日本助産婦会栃木県宇都宮支部のメンバーなので,勤務場所は違っていても,日頃,助産婦としての疑問や悩みを話しあってきた。悩みとしてあがってくるのは「妊産婦さんとじっくりかかわることができない」「妊産婦さんの本音は?」「助産婦の姿が社会に見えないのはなぜ?」といったことである。

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はじめに

 古来,家族や病人の世話は女の役割として任せられてきたことから,看護は女性の仕事と位置づけられてきた。しかし,近代看護の幕明けによって「看護」は職業として成立するようになり,今や専門性を追求する時代を迎えた。まだまだ男性優位の日本社会において,看護界は女性が自立できる場所の1つであるが,この看護界にも男性である看護士が存在するようになってから久しい。

 ところが,現状は看護士の勤務場所は限定されがちで,看護婦と同様の業務を実践しているとは言い難い。しかし,そのような状況の中でも保健士が誕生し,今日では助産士についても議論されるようになってきている。

クローズ・アップ

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 日本の近代は明治維新によって夜明けを迎えた。明治新政府の樹立とともに,すべての体制が一挙に新システムを作りあげていったが,助産の世界でも近代教育が展開されるようになった。法的バックのなかった産婆の身分も明治7年制定の「医制」(同8年改訂)できちんと定められるところとなった。

 新潟県でも産婆の教育と実務の近代化が急がれ,明治14年県立新潟医学校産婆教場がまず産声をあげた。明治18年三期めの卒業生8人のうちの1人に木下(旧姓・石黒)くにがいる。くには大変な秀才で,産婆として活躍したのはもちろん,産婆の身分の向上と後輩の育成にも力を尽した。昭和8年に新潟産婆組合立新潟産院院長となり,11年には大日本産婆会理事として産婆法制定促進運動に尽力したのも,くにの活躍の一端を語るものである。

連載 いのちの響き・2

もうすぐ親になる 宮崎 雅子
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 土曜の午後のペアクラスはなかなかの盛況ぶりだ.布製の赤ちゃんモデルには胎盤やへその緒が付いていて,集まったカップル達は熱心に助産婦さんの話に耳を傾けている.

 さぁーて,次は院内見学コース.自分はどんなお産をするのか……,糊のきいた予防着をぎこちなくまとい,いざ分娩室へ!

連載 とらうべ

清潔志向の落とし穴 笹津 備規
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 私は1985年から消毒薬耐性菌の研究をしている.しかし,このような菌の存在は一部の専門家を除いて,ほとんど知られてはいない.

 1800年代中頃に,リスターが手術時の感染予防のために石炭酸を用いた.そして,この石炭酸による消毒は出産時の産褥熱の防止に役立った.昔の病院の診察室では,シュンメルブッシュの中でガラスの注射器や金属の医療器具が煮沸消毒され,病院の環境はフェノールやクレゾールで消毒されていた.エアコンや使い捨て器具の普及により,シュンメルブッシュは病院から消えてしまった.フェノールやクレゾールの匂いは髪の毛,衣類に強烈に付着し,手あれの原因にもなるので,医師や看護婦に嫌われ,さらに下水道法により事業所は1ppm以上のフェノール類を下水に流してはいけないと規定された関係から,フェノールやクレゾールも病院から消えてしまった.

連載 りれー随筆・173

私の三要素 小林 朝子
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三要素のバランス

 私の生活は,よく遊び,よく働き,よく学ぶの三要素で成り立っています。どの要素が欠けてもバランスが悪く,自分らしくありません。実は「よく遊び」に力を入れたいのですが,よく働きよく学ぶからこそ,遊ぶ喜びが深く味わえます。毎日遊んでいたのではすぐ飽きてしまいます。

 私の三要素は,ちょうど分娩の三要素のバランスがよくないと,正常に分娩に至らないのと同様です。バランスがよければ,順調に経過します。よって三要素がバランスよく配分できるよう心がけています。それが自分の生活に充実感が持てることにつながります。

今月のニュース診断

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専門委「見解案」

 「母体血清マーカー検査‘医師が勧める必要ない’:障害持つ胎児,排除の危険」(朝日新聞98年12月10日)。

 厚生科学審議会先端医療技術評価部会の下に設けられた「出生前診断に関する専門委員会(委員長:古山順一兵庫医大教授)」(以下専門委)は,発足2か月,2回目の会合で「母体血清マーカー検査に関する見解案」(以下見解案)を公表した。

Medical Scope

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 このたび,日本産科婦人科学会では,妊娠中毒症の新しい分類を提案しました。これが認められましたので,皆さんもこれからはこの新分類を活用してケアに当たって下さい。今月はその解説です。

 すでに以前から妊娠中毒症は,純粋型,混合型,子癇の3つに分類されていました。今回の新分類でもこの基本はそのまま残っています。そして,発症した時期によって早発型,遅発型をつけることにしました。

基本情報

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助産婦雑誌
53巻2号 (1999年2月)
電子版ISSN:2188-6180 印刷版ISSN:0047-1836 医学書院

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