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サンガー夫人(7)
地引 喜太郞
pp.61-64
発行日 1953年10月1日
Published Date 1953/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200469
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ハンガー・ストライキ
ある日のこと,サンガー夫人の産兒調節診療所へ突然数名の警官が乗り込んできた.そして,彼女達を逮捕するといつた。このために診療所は一時はげしい混乱に陥入り,何も知らずに受診に来ていた婦人たちは,顔色を変えて,われ先きになつて逃げ出していつたが,サンガー夫人は落着き拂つて縛についた.驚くにはあたらなかつたのである.どのみち一度はこのような事態に遭遇するであろうと考えていたし,むしろ,警官の来かたが遲過ぎたとさえ思うくらいであつた.が,大事な書類がことごとく押收されるのをみて,彼女は思わず唇を噛んだ.
サンガー夫人は,レイモンド街の監獄に留置された.そして,犯罪者として起訴されたのである.
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