連載 知っておきたい産科免疫学の話・6
血液型不適合妊娠
竹内 正七
1
,
大桃 幸夫
1
1新潟大学医学部産婦人科
pp.791-795
発行日 1987年9月25日
Published Date 1987/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207222
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
今回は血液型不適合妊娠についてお話ししたいと思います。
仮に,母親がXという血液型の因子(X因子)が陰性で児がX因子陽性であれば,母体にない血液型抗原を胎児が持っていることになり,このような場合をX因子不適合妊娠といいます。ここで母児間に同種免疫が成立すると,母体は児のX因子を抗原として抗体を産生し,その抗原抗体反応により胎児・新生児の血球が破壊されて溶血が過剰に起きてきます。この胎児・新生児溶血性疾患(hemolytic diseases of fetus and newborn)と呼ばれる状態になると,胎児水腫や新生児高ビリルビン血症となり,胎児死亡を起こしたり,新生児に核黄疸.脳性麻痺を起こしたりするのです。
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.