1969年,Fridovichらは生体内にスーパーオキシドを消去する不均化酵素(superoxide dismutase;SOD)が存在することを報告し,生体が酸素由来フリーラジカルを制御する機構を備えていることが見出された.これにより生体内における傷害性のあるラジカルの発生およびその防護系の破綻が病態や疾病に繫がるという概念が生まれ,1985年にSiesにより「酸化ストレス(oxidative stress)」という用語が提唱された).当初酸化ストレスは“a disturbance in the prooxidant―antioxidant balance in favor of the former”と定義された.その後活性酸素種(ROS)は単に傷害的に働くのではなくそれ自体がシグナルとして働くことや, Nrf2/Keap1系に代表される分子レベルでの抗酸化応答系の解明,などにより何度か修飾が繰り返されているが,生体内のレドックスバランスの破綻,という基本概念は一貫している.