特集 慢性腎臓病・透析患者の酸化ストレス―最新知見と治療展開
【コラム】自己組織化抗酸化薬による腎虚血再灌流障害治療
長崎 幸夫
1
1筑波大学数理物質系
キーワード:
腎虚血再灌流障害
,
自己組織化抗酸化薬
,
活性酸素種
,
線維化
,
ドラッグデリバリーシステム
Keyword:
腎虚血再灌流障害
,
自己組織化抗酸化薬
,
活性酸素種
,
線維化
,
ドラッグデリバリーシステム
pp.1587-1589
発行日 2020年11月10日
Published Date 2020/11/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000001537
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
急性腎障害(AKI)は多発性障害によって引き起こされ,AKI患者の罹患率と死亡率は,近年の疾患管理の大幅な進歩にもかかわらず,高い水準を維持している.過剰に産生する活性酸素種(ROS)が不可逆的な損傷の一つの有用なメカニズムとなっており,これは,プロアポトーシスメディエーター,炎症性サイトカイン,およびさらなる酸化ストレスの刺激につながっている.抗酸化物質を使用した治療法は多くの注目を集めており,臨床的に広く試みられているものの,十分な効果が得られていないのが現状である.従来の抗酸化薬は,代謝がきわめて速いことに加え,正常細胞内に入り込み,電子伝達系やシグナル伝達系に影響し,「mitohormosis」と呼ばれる細胞内レドックスホメオスターシスを破壊する.Bjelakovicらは2007年,これまで発表されてきた385報の論文から68件のランダム化比較試験を調査し,23万人以上の臨床試験データから抗酸化薬に対して次の結果をまとめている.
Copyright © 2020, Nihon Medical Center, Inc. All rights reserved.