特集 高齢者施設で生活する透析患者の実態
5.諸施設に居住する患者への透析治療提供の実態(2)高齢者施設における腹膜透析―緩和的腹膜透析によって穏やかな施設看取りの提供が可能に
松本 秀一朗
1,2
1まつもとクリニック
2川原腎・泌尿器科クリニック腎不全外科
キーワード:
腹膜透析
,
IoT多職種連携
,
アシステッドPD
,
緩和的腹膜透析
,
透析終末期
Keyword:
腹膜透析
,
IoT多職種連携
,
アシステッドPD
,
緩和的腹膜透析
,
透析終末期
pp.1167-1174
発行日 2024年8月10日
Published Date 2024/8/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000003118
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わが国は高齢化が進行し,腎透析領域でも新規透析導入年齢の高齢化や入院透析患者の増加が課題となっている.入院透析患者数は増加し,社会的入院により余生を過ごす患者も増えている.地域医療介護リソースの充実により,腹膜透析医療は地域医療へと広がり,アシステッドPD(assisted peritoneal dialysis)の普及が進んでいる.在宅での腹膜透析患者の継続的な治療を支援する一方,在宅生活が困難となり施設入所を検討するケースも増えている.地域包括ケアシステムの整備により施設での医療依存度の高い高齢腹膜透析患者の受け入れが可能になってきている.IoT(internet of things)技術を活用した多職種地域連携により,施設や在宅での腹膜透析治療が継続可能となっている.施設における緩和的腹膜透析は,質の高い看護・介護を重視する腎代替療法として有用性が期待されている.フランスの在宅入院制度HAD(Hospitalisation à Domicile)では,高度技術や多職種介入を在宅で行うシステムがあり,「入院回避」と「早期退院」をコンセプトとしている.わが国でも在宅医療の展開が可能となり,社会的入院回避が可能となる可能性がある.腹膜透析IoT連携が充実することによって,診療密度を維持しつつ高度なケアが提供され,腹膜透析患者の施設における穏やかな終末期が可能となる.
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