特集 慢性腎臓病・透析患者の酸化ストレス―最新知見と治療展開
3.慢性腎臓病の病態と酸化ストレス(3)サルコペニア・フレイルと酸化ストレス
加藤 明彦
1
1浜松医科大学医学部附属病院血液浄化療法部
キーワード:
サルコペニア
,
フレイル
,
運動
,
抗酸化物質
,
酸化ストレスマーカー
Keyword:
サルコペニア
,
フレイル
,
運動
,
抗酸化物質
,
酸化ストレスマーカー
pp.1565-1572
発行日 2020年11月10日
Published Date 2020/11/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000001534
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サルコペニア・フレイルの成立には酸化ストレスが関与する.CKD患者の骨格筋細胞においても,酸化ストレスや炎症が亢進しており,ミトコンドリアの機能異常から身体機能の低下,ひいてはサルコペニア(身体的フレイル)に関与することが推定されている.有酸素/レジスタンス運動は,酸化ストレスマーカーを改善させることから,定期的な運動は酸化ストレスの軽減を介してサルコペニアを改善する可能性がある.一方,食事中の抗酸化物質摂取量とサルコペニア・フレイルの関連は明らかでない.同様に,動物実験ではグレリンの皮下投与や経口吸着薬AST―120は骨格筋内の酸化ストレスを軽減するが,CKD患者における薬物療法の有用性は明らかでない.今後は,サルコペニア・フレイルの早期の段階から上昇し,患者予後の予測としても有用な新規の酸化ストレスマーカーの解明が進み,臨床応用されることを期待したい.
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