特集 慢性腎臓病・透析患者の酸化ストレス―最新知見と治療展開
2.慢性腎臓病における酸化ストレス進展機序(2)慢性腎臓病における一酸化窒素(NO)
木戸口 慧
1
,
西山 成
1
1香川大学医学部薬理学
キーワード:
一酸化窒素(NO)
,
一酸化窒素合成酵素(NOS)
,
ADMA
,
eNOSアンカップリング
Keyword:
一酸化窒素(NO)
,
一酸化窒素合成酵素(NOS)
,
ADMA
,
eNOSアンカップリング
pp.1528-1533
発行日 2020年11月10日
Published Date 2020/11/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000001528
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一酸化窒素(NO)は血管拡張作用,血小板接着・凝集の阻害,白血球の内皮接着阻害作用,血管平滑筋細胞の増殖抑制など多面的に血管内皮機能に携わっていることが示されている.NOはeNOS(endothelial nitric oxide synthase)によって産生されるが,腎不全患者においてはNOSの阻害物質であるADMA(asymmetric dimethylarginine)が上昇しており,これがNO産生障害を介して心血管疾患に寄与していることが示唆されている.透析患者においてはADMA高値が死亡や心血管イベントの予測因子であることがすでに示されている.ADMAが透析により除去可能かについては統一した見解が得られていない.腎不全においては酸化ストレス亢進に伴いeNOSアンカップリングがみられ,これも腎障害の進展や心血管疾患発症に寄与する可能性がある.
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