臨床雑誌内科 126巻4号 (2020年10月)

特集 血算を極める

特集のねらい 神田 善伸
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 本誌における血液領域の特集としては,過去4年間にリンパ腫,骨髄腫,輸血,白血病がテーマとして取り上げられてきた.いずれも,「Overview」などで一般内科医を対象とした解説を充実させていたが,各論となると,どうしても専門医寄りの項目も多く,なじみにくい面もあったのではないかと推測する.そこで,今回は血算(血球数算定検査)という,ほぼすべての医師が接するであろう検査を特集することにした.

Overview

赤血球関連検査値の意義 廣川 誠
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Summary

▪赤血球関連検査値は貧血および多血症という赤血球造血の異常を指摘するに留まらず,平均赤血球容積(MCV),網赤血球数および赤血球容積分布幅(RDW)は貧血の原因・病態診断に寄与している.

▪MCVを基準とした赤血球サイズに基づく貧血の分類,網赤血球数による骨髄造血能の推定は,多様な貧血の原因診断を行ううえで今日においてもわれわれ臨床医の重要な道標である.

▪RDWは,加齢に伴う貧血の原因診断を行ううえで新たな価値が見出され始めている.

▪貧血の有病率は加齢とともに増加することから,内科診療に携わる医師は貧血の原因を診断するためのアルゴリズムに習熟することが大切である.

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Summary

▪末梢血白血球は好中球,好酸球,好塩基球,単球,リンパ球の5分画に分類され,免疫機能において中心的な役割を果たしている.

▪白血球数は,年齢・日内・季節・体位など種々の要因による変動がみられる.

▪白血球数に異常を認める場合は,鑑別診断のため必ず白血球分画について確認する.

▪リンパ球減少,単球増加などは普段あまり注目されないが,特定の疾患の診断の契機になることがある.

血小板関連検査値の意義 宮﨑 浩二
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Summary

▪血小板関連検査によって,血小板の形態異常を推察できる.

▪血小板関連検査値を総合的に検討することで,自動血球計数器の測定誤差要因を適切に評価できる.

▪血小板粒度分布異常などのアラートに注意して,血液塗抹標本で形態を確認することが肝要である.

▪幼若血小板は,RNAを含有し容積が大きく,アゴニスト刺激に対する反応性も高い.

▪幼若血小板をIPFとして簡便に測定できるようになったため,血小板造血の指標のみならず,心血管障害の危険因子など血液疾患以外の領域でも注目されている.

血算と関連する検査

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Summary

▪赤血球の形態は,溶血性貧血の診断に重要な情報を提供する.

▪白血球の形態は骨髄異形成症候群(MDS),急性白血病,慢性骨髄性白血病,慢性リンパ性白血病,悪性リンパ腫などの造血器腫瘍の診断に重要な情報を提供する.

▪偽性血小板減少症(EDTA依存性偽性血小板減少症)では,血小板凝集が観察される.

骨髄穿刺・生検 通山 薫
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Summary

▪骨髄検査は骨髄穿刺と骨髄生検に分けられ,いずれも血液疾患をはじめとする診断目的,造血能の評価などに必須である.正しく実施すればきわめて重要な情報が得られるが,侵襲とリスクを伴う検査であるので,十分な知識と準備のもとに実施する.

▪骨髄穿刺においては適切な検体採取と標本作製,さらに良好な染色がなされてこそ評価可能な情報が得られるので,臨床検査室との協調体制がとくに重要である.

▪骨髄生検は造血組織構築の観察や造血能の評価,異常細胞浸潤の検索などの観点から,骨髄疾患が疑われる患者全例において診断時や治療開始前に実施すべき検査である.

血算の異常の鑑別診断

貧血の鑑別診断 鈴木 隆浩
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Summary

▪貧血とは末梢血赤血球成分の減少を示す病態名であり,臨床的にはヘモグロビン濃度の低下で定義される.

▪貧血をきたす原因はさまざまであるが,① 赤血球産生の低下,② 赤血球破壊の亢進(溶血),③ 赤血球の喪失(出血),のいずれかにまとめることができる.

▪貧血症例の診療では,① 白血球・血小板の異常と異常血球の有無,② 平均赤血球容積(小球性・正球性・大球性),③ 網赤血球数の増減,の3点に注目して鑑別診断を絞り込んでいくとわかりやすい.

赤血球増多の鑑別診断 桐戸 敬太
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Summary

▪赤血球増加症の鑑別にあたっては,問診として家族歴・喫煙の有無および併用薬剤(とくにSGLT2阻害薬)にまず注目する.

▪身体所見では,慢性的な低酸素状態がないかや,末梢血酸素飽和度などに注目して診察を進める.

▪臨床検査としては,まずエリスロポエチン濃度とJAK2遺伝子変異の有無を検索する.エリスロポエチン濃度が上昇している場合には,全身性あるいは腎局所での低酸素状態を引き起こす疾患の有無,エリスロポエチン産生腫瘍の有無について検討する.

▪まれではあるが,酸素親和性の高いヘモグロビン異常症の可能性にも注意する.

JAK2遺伝子変異が検出された場合には,真性赤血球増加症を考える.

好中球増多の鑑別診断 山下 浩平
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Summary

▪好中球増多は日常臨床でしばしばみられる血算異常である.

▪機序として,骨髄での産生亢進,末梢血中での辺縁プールから循環プールへの移動などが考えられる.

▪多くは反応性であり,急性細菌性感染症の頻度が最も高い.

▪喫煙者では,しばしば慢性的な軽度の増加がみられる.

▪緊急を要することは少ないが,白血球数が著増して血管閉塞の可能性がある場合や,低血圧・高熱などの臨床徴候が随伴する場合は緊急の対応が必要である.

好酸球増多の鑑別診断 樋口 敬和
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Summary

▪好酸球数>500/μLを好酸球増多とする.

▪500~1,500/μLの軽度の好酸球増多で,他の症状がなければ経過観察としてよい場合が多い.

▪好酸球増多が著明な場合には臓器障害をきたすことがある.

▪一次性(クローン性/腫瘍性)または二次性(反応性)に増加するが,大部分は二次性のもので,アレルギー性・アトピー性疾患が原因であることが多い.

▪二次性好酸球増多をきたす原因を検討し,原因が判明しなければ一次性の好酸球増多を疑い精査するが,骨髄検査など専門的な検査が必要となることが多い.

▪精査しても原因が判明しない特発性の好酸球増多も多い.

リンパ球増多の鑑別診断 青木 定夫
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Summary

▪リンパ球増多は,末梢血中のリンパ球数が4,000/μL以上の場合と定義される.

▪リンパ球増多の主な原因は,ウイルス感染症に伴うものと腫瘍性のモノクローナルな増加である.

▪増えてくるリンパ球は正常な細胞と区別できない成熟したリンパ球である場合と,異型性のある異型リンパ球である場合がある.

▪リンパ球増多の原因検索には臨床像からウイルス感染症などの特定の疾患を疑うことが重要であり,原因が確定できない場合には腫瘍性の増殖も考慮する.

▪診断のためにはフローサイトメトリー(FCM)を用いたリンパ球の表面形質の解析が不可欠である.

▪成熟リンパ球が増加する疾患として,慢性リンパ性白血病が重要である.

▪慢性リンパ性白血病は正常と区別がつかない小型成熟リンパ球の腫瘍で,CD5,CD23陽性という特徴的なマーカーをもつ.

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Summary

▪好中球減少症は,末梢血好中球の絶対数が1,500/μL未満に減少した状態と定義される.

▪好中球減少の原因として最も多いのは感染症で,ウイルスが原因となることが多い.

▪薬剤による原因は感染症に次いで多く,鑑別するうえで薬剤歴の聴取が重要である.

▪血液疾患による好中球減少の鑑別には,白血球分画および赤血球や血小板の異常がないかを確認する.

▪好中球減少を診療する際は,発熱や全身状態を確認し,感染症を併発している場合にはただちに抗菌薬を開始する必要がある.

幼若細胞出現の鑑別診断 竹中 克斗
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Summary

▪末梢血液中に,時として,成熟血球のみならず芽球などの未熟細胞や幼若細胞(幼若白血球),赤芽球,あるいは異常細胞の出現がみられることがある.

▪骨髄芽球から後骨髄球までが幼若細胞(幼若白血球)に該当する.幼若細胞は通常,骨髄に存在し,末梢血には成熟好中球である桿状核球,分葉核球しかみられない.

▪末梢血に幼若細胞が出現する原因には,大きく分けて腫瘍性と反応性があり,その鑑別を進めることが重要である.

▪腫瘍性の原因としては,急性白血病,骨髄異形成症候群,慢性骨髄性白血病などの造血器腫瘍のほか,固形がんの骨髄転移があげられる.反応性としては,重症細菌感染症や類白血病反応が原因としてあげられる.

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Summary

▪異型リンパ球とは,一過性に末梢血中に増加する反応性リンパ球である.

▪正常のリンパ球と比較して,大型で細胞質に富み,好塩基性が強く,N/C比が小さいことが特徴的である.

▪異型リンパ球の出現を認めた際は,まずはウイルス感染を疑う.Epstein-Barrウイルス(EBV)感染の頻度が高く,臨床的に伝染性単核球症を疑う場合はEBV特異的抗体の検索を行う.

▪悪性リンパ腫の白血化やリンパ性白血病でみられる “異常リンパ球” との鑑別が困難な例が存在するため,その可能性を念頭に置いておく.

血小板増多の鑑別診断 小松 則夫
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Summary

▪病的な血小板増多症は腫瘍性に血小板が増加する一次性血小板増多と基礎疾患に伴い反応して増加する二次性(反応性)血小板増多に分類される.

▪反応性血小板増多の背後にはがんが潜んでいる可能性があることに留意すべきである.

▪血小板数が多い場合には高カリウム血症を呈することがあるが,血漿中のカリウム値が正常の場合には偽性高カリウム血症であり,治療を必要としない.

▪自動血球分析装置では腫瘍細胞の断片や破砕赤血球が誤って血小板としてカウントされる可能性がある(偽性血小板増多症).この場合には末梢血塗抹標本での直接の観察(目視)が重要となる.

▪本態性血小板血症の8割以上の症例で,JAK2V617F,calreticulin変異,MPL変異のいずれかがみられ,診断に有用である.

血小板減少の鑑別診断 大森 司
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Summary

▪血小板数の基準値は15万~40万/μL,血小板寿命は7~10日である.

▪点状出血は,一般に血小板数2万/μL未満で生じる.

▪wet purpuraは重篤な血小板減少による出血徴候である.

▪出血傾向,血小板数2万/μL未満,急速な血小板減少では緊急に精査を行う.

▪出血傾向のない血小板減少では偽性血小板減少を除外する.

▪白血球や赤血球の異常を伴うときは血液内科へのコンサルテーションを考慮する.

▪末梢血塗抹標本の観察は,血小板減少をきたす疾患の診断に必須である.

▪観血的処置は,一般的に血小板数が5万/μL未満の場合に問題となる.

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Summary

▪3系統すべての血球減少を汎血球減少(pancytopenia),2系統の血球減少をbicytopeniaとよぶ.

▪「汎血球減少=血液疾患で骨髄検査が必要」とは限らない.骨髄検査をしても診断できない非骨髄疾患がある.

▪汎血球減少をきたす頻度の高い疾患は,肝硬変と骨髄異形成症候群(MDS)である.

▪肝硬変では,軽度の白血球減少(白血球分画のすべてが減少)と血小板減少が多い.

▪MDSでは,汎血球減少,貧血+白血球減少,貧血+血小板減少,正球性~大球性貧血,幼若好中球や芽球の出現,血球の形態異常が特徴的である.

▪急性前骨髄球性白血病(APL)は,汎血球減少をきたす緊急性の高い疾患である.

▪ビタミンB12欠乏性貧血(悪性貧血や胃切除後貧血)も汎血球減少をきたすが,高度大球性貧血(MCV>120fL)が特徴的である.

さまざまな状況における血算の異常

腎障害における血算の異常 和田 秀穂
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Summary

▪狭義の腎性貧血とは,慢性腎臓病に伴い生じる腎臓でのエリスロポエチン産生の相対的低下による貧血である.

▪広義には,尿毒症性物質による赤血球寿命の短縮や赤血球造血の抑制,ヘプシジンの増加による鉄代謝障害,栄養障害も貧血の原因となる.

▪血栓性微小血管症を示す代表的な疾患の一つに溶血性尿毒症症候群があり,顕著な腎機能障害,微小血管性溶血性貧血,血小板減少を三徴とする.

肝障害における血算の異常 坂本 竜弘
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Summary

▪肝疾患における血算異常は血小板減少に留まらず,赤血球系および白血球系にも影響をきたす.

▪肝硬変における血小板減少は,脾機能亢進だけでなく肝臓におけるthrombopoietin(TPO)産生低下をはじめとした複雑な機序が関与している.

▪侵襲的処置を予定している血小板減少を呈する肝硬変患者の出血予防を適応としてトロンボポエチン受容体作用薬であるlusutrombopagが保険承認されたが,持続的な投与に関しての保険適用はない.

▪肝疾患による血算異常は症例ごとの差異が大きいため,各症例の状態・背景などを十分把握したうえで患者ごとに異なる対処が必要となることがある.

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Summary

▪甲状腺機能低下症では,ホルモン自体の欠乏による低酸素誘導因子(HIF),エリスロポイエチン(EPO)低下によって生じる正球性貧血に加えて,鉄やビタミンB12欠乏を合併することで小球性・大球性貧血を呈することがある.また,好中球減少を認めることも知られており,造血前駆細胞への直接的作用の低下や抗好中球抗体の関与が考えられている.

▪副腎皮質ホルモンの分泌亢進は白血球の動態変化や機能異常をもたらし,免疫能低下をきたす.各種ホルモンは造血系にさまざまな作用を及ぼしており,日常診療において,血算の異常に遭遇した際の鑑別として内分泌疾患の存在を置くことは重要である.

妊娠中の血算の異常 宮川 義隆
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Summary

▪妊娠すると胎児を育てるため,さまざまな変化が母体に生じる.

▪生理的な血液学的変化として,血漿量の増加による軽度の貧血と血小板減少症,好中球増加がある.

▪妊娠中は凝固系が軽度活性化して,血栓症を合併しやすい.

▪妊婦の貧血の原因として,最も多いのは鉄欠乏性貧血である.

▪葉酸欠乏により胎児に脊柱管の閉鎖不全を合併する危険性があり,妊娠前から葉酸を補充することが望ましい.

▪妊婦の血算に変化がある場合,一般内科医は生理的変化と病的変化を見極め,血液内科医と産科医と連携する必要がある.

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Summary

▪低栄養の類似語として,やせ・るい痩,マラスムス,クワシオルコル,サルコペニア,フレイルなどがある.近年,高齢者でのサルコペニア,フレイルなどの低栄養が問題になっている.

▪栄養状態アセスメントとして,末梢血リンパ球数が栄養スクリーニングなどで用いられている.総リンパ球数が800/mm3未満で高度,800~1,200/mm3で中等度,1,200~2,000/mm3で軽度の低栄養状態と評価する.

▪亜鉛・銅・セレン・葉酸・ビタミンB12・ビタミンEの欠乏で貧血が生じる.

▪銅欠乏で,好中球や血小板が減少する.

▪亜鉛欠乏は妊婦・スポーツ選手・慢性肝障害など,銅欠乏は亜鉛摂取過多,セレン欠乏はセレンを含有していない経腸栄養剤使用・血液透析患者で主に発症しやすい.

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Summary

▪自動血球分析装置における白血球分類法は,目視法とはまったく異なるアプローチで進化しており,その長所としては迅速性・精密性・客観性があげられる.

▪正常白血球の場合,自動血球分析装置による分類の正確性は目視法と同レベルといえるが,異常細胞の場合はいまだ目視法での確認が必要である.

▪デジタルイメージ解析技術と人工知能技術を組み合わせることで,血液塗抹標本の自動分析機器も進歩しているが,自動血球分析装置と同様,異常細胞の同定にはいまだ課題がある.

▪使用している分析装置の機能を十分に生かすと同時にその限界を知り,不足している部分については目視法で補う必要がある.

低酸素応答と赤血球造血 川端 浩
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Summary

▪貧血や低酸素状態では,低酸素誘導因子(HIF)が働いて,エリスロポエチン(EPO)遺伝子の転写を活性化する.腎臓の間質に存在するEPO産生細胞は,EPOを分泌して赤血球造血を促進する.

▪HIFα蛋白は,正常酸素状態ではPHDによる水酸化とVHLによるユビキチン化を経てプロテアソームで分解される.一方,低酸素状態では分解を免れて著しく増加する.

▪HIF2α,あるいはその発現を制御するPHD2やVHLをコードする遺伝子の変異によって,遺伝性の多血症(赤血球増多症)をきたすことがある.

▪HIFαの分解を抑制して内因性EPOを増加させるPHD阻害薬が,腎性貧血の新しい治療薬として使用されている.

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 神田 今日は,お集まりくださいまして,ありがとうございます.ご出席の先生方は全員,血液内科医という背景をおもちですが,それぞれ違った立場で活躍されている先生方です.

 名島先生は,都心の中核病院である都立駒込病院で高度先進医療をされています.増田先生は,虎の門病院分院の臨床検査部で活躍されています.そして,渡邉先生は長く都心で先端医療に取り組んでいましたが,昨年から埼玉でクリニックを開業し,一般診療とともに血液内科のクリニックとしても診療をされている先生です.

Book Review

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 2020年3月に『腎疾患・透析最新の治療2020-2022』が南江堂より出版された.私が編集者として最初に担当した「2002-2004年版」から3年ごとに改訂され,同シリーズでは7冊目となり,20年近く版を重ねるロングセラーである.今回の編集者は山縣邦弘先生,南学正臣先生のお二人であり,「2017-2019年版」から続けて担当されている.山縣先生は腎疾患重症化予防のための戦略研究(FROM-J)に代表される慢性腎臓病(CKD)の疫学・臨床研究の第一人者であり,南学先生は低酸素と腎臓,糖尿病性腎臓病(DKD)の基礎・臨床研究において国内外で活躍されておられる.各稿の執筆者はその領域に精通した専門家が選ばれている.

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 近年,糖尿病の治療は目覚ましい進歩を遂げている.発見から間もなく100年を迎えるインスリンも多くの製剤が市販され,持効型インスリンに加え,新規の超速効型インスリンの登場により,病態に応じたきめ細かな治療が可能になると期待されている.しかし,それでもなお,1型糖尿病やインスリン分泌が著しく低下した2型糖尿病においては,血糖コントロールに難渋する症例が多く存在する.そうしたなか,可能な限り生理的なインスリン分泌に近づけ,緻密な血糖管理を行うという点でインスリンポンプ療法は大きな力を発揮する.インスリンポンプを用いた持続皮下インスリン療法(continuous subcutaneous insulin infusion:CSII)に持続血糖モニター(continuous glucose monitoring:CGM)機能が付いたSAP(sensor augmented pump)やスマートガード(低血糖防止機能)の登場は,患者QOLの向上に大きく貢献しており,インスリンポンプ療法に大きなパラダイムシフトをもたらした.さらに最近では,国産のパッチ式インスリンポンプが発売され,チューブがなくコンパクトであるため服装面などの制約がないことから,機種選択の幅が広がっている.

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 いま私は,EPOC評価を付け終わり,岩田健太郎先生の新刊書『コンサルテーション・スキルVer. 2』の書評を書いている.次の仕事は会議と印鑑押し,そして感染症の発生届の提出だ.本書を読んだ後なので,これらの仕事も勇気をもって処理することができそうだ.

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 人生100年時代を迎えつつある今,国民一人ひとりにとって,健康で生きがいをもって,自分らしく生きるための長い人生設計が必要となっている.国民病とよばれていた高血圧,糖尿病,高脂血症などの治療は,患者のQOLの向上に主眼が置かれ,専門医のみならず多くのかかりつけ医が関与している.本書では,糖尿病治療の最大の目的は合併症の発症を予防し,健康寿命を延伸することであり,糖尿病とその合併症のリスク因子を適切に診断し,適切な予防策を実践し,必要に応じて包括的な治療を行うことであると述べられている.

連載 こんなとき,漢方薬が味方になります! ~漢方医が伝授する実践的な処方のノウハウ~

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乳腺外科からのコンサルト(X年9月受診)

 1年前の乳がん術後より,放射線療法,化学療法,またエストロゲン受容体陽性のため術後内分泌療法にて継続加療を行っております.偽閉経状態に伴う症状と考えられる関節痛を訴えられています.膠原病科にもコンサルトしましたが,関節リウマチなどを含め器質的疾患は否定的でした.loxoprofenなどのNSAIDsも無効です.漢方による治療の選択肢はありますでしょうか.

連載 悩むケースに立ち向かう! 臨床推論のススメ方 ~全国GIMカンファレンスより~

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連載のねらい

 GIMカンファレンスは,臨床推論の技術を向上させることを目的とした内科全般の症例を扱う検討会であり,全国各地で組織され開催されています.本連載では,全国のGIMカンファレンスにおいて検討された症例をご紹介いただき,診断過程を時系列に沿って解説いただきます.

連載 プライマリーケア医のがんの診かた ~かかりつけ患者さんのがんと共にたたかうために~

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 在宅医療,そしてがん患者さんの在宅緩和ケアが拡大していくなかで,ケアの方向性を決めておくことは重要な課題です.近年は,advanced care planning(ACP)も言葉として定着してきており,国内でも「人生会議」という名称でend of life discussionを行うことが奨励されるようになりました.本稿では,終末期ケアのなかでも医療者と患者さんのコミュニケーションを中心に解説したいと思います.

連載 Focus On

帯状疱疹ワクチン 渡辺 大輔
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 帯状疱疹は水痘感染後に潜伏感染していた水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が加齢や免疫低下などのイベントによる再活性化によって起こる疾患であり,片側の支配神経領域に一致した疼痛と帯状に集簇する小水疱病変の出現が特徴である.また,様々な合併症を引き起こすこともあり,後遺症である帯状疱疹後神経痛(PHN)を発症すると,患者のQOLは著しく低下する.帯状疱疹はVZV特異的細胞性免疫の低下により発症することが知られており,これを賦活化するためのワクチン接種が効果的である.ワクチンには生ワクチンと,免疫賦活剤であるアジュバントが入ったサブユニットワクチンの2種類があり,どちらも大規模臨床試験で効果が認められ,わが国でも使用可能となっている.帯状疱疹ワクチン接種の公費助成を始めた自治体もあり,今後は定期接種化に向けた動きが期待される.

基本情報

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臨床雑誌内科
126巻4号 (2020年10月)
電子版ISSN:2432-9452 印刷版ISSN:0022-1961 南江堂

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