特集 血算を極める
トピックス
低酸素応答と赤血球造血
川端 浩
1
1金沢医科大学血液免疫内科学
キーワード:
エリスロポエチン
,
低酸素誘導因子(HIF)
,
PHD
,
von Hippel-Lindau(VHL)蛋白
Keyword:
エリスロポエチン
,
低酸素誘導因子(HIF)
,
PHD
,
von Hippel-Lindau(VHL)蛋白
pp.791-793
発行日 2020年10月1日
Published Date 2020/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika126_791
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Summary
▪貧血や低酸素状態では,低酸素誘導因子(HIF)が働いて,エリスロポエチン(EPO)遺伝子の転写を活性化する.腎臓の間質に存在するEPO産生細胞は,EPOを分泌して赤血球造血を促進する.
▪HIFα蛋白は,正常酸素状態ではPHDによる水酸化とVHLによるユビキチン化を経てプロテアソームで分解される.一方,低酸素状態では分解を免れて著しく増加する.
▪HIF2α,あるいはその発現を制御するPHD2やVHLをコードする遺伝子の変異によって,遺伝性の多血症(赤血球増多症)をきたすことがある.
▪HIFαの分解を抑制して内因性EPOを増加させるPHD阻害薬が,腎性貧血の新しい治療薬として使用されている.
© Nankodo Co., Ltd., 2020