臨床皮膚泌尿器科 13巻1号 (1959年1月)

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症例I13歳♂中学生

 病歴子供の頃から亀頭が露出していたが,思春期になつて之を恥じていた。約半年前之を治療せんとして亀頭を包皮で覆い,鉄環をはめた。当時嵌頓包茎のため陰茎腫脹し疼痛甚しかつたが家人に秘し我慢していた。最近家人悪臭に気付き来院した。鉄環は鋳物製の1/2吋短ソケツト,直径26mm,幅12mm,厚さ4mmネジ付。

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 先天性崎型の1つである尿管膀胱外開口症は,曽つては稀有なものとされていたが,泌尿器科学の発達普及にともない今日では,1例報告をする程珍しい疾患ではなくなつた。既に欧米に於てはBurford,Glenn & Burford (1949)が425例を集めており,本邦では昭和7年高橋,市川両氏が第1例を報告して以来,志田氏(1949)は29例を,岩崎,手塚氏(1957)は30例を集計報告している。その後の文献を集計してみると98例に達し,最近我々はその1例を経験したので追加報告すると共に,本邦文献例についていさゝか統計的観察を加えてみたいと思う。

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緒言

 尿管結石と同一個所に生じた尿管肉芽腫の報告は極めて稀であり,本邦に於ては小池氏等(1954)の尿管結石を伴える尿管ポリープの1例次いで斎藤氏(1956)の2例と和泉(1958)の1例の報告と文献的考察を行い,又百瀨剛一氏等(1937)は尿管結石を伴うポリープの1症例報告がある。最近我々は血尿の主訴の下に来科し,左側尿管結石,左側水腎症並びに両側腎結石の疑いの診断の下に左側尿管切石術及腎切開術施行した所,結石と同一個所に尿管の炎症性肉芽腫と称すべき乳頭状腫瘍状増殖と2コの結石の接着を認めた1症例を報告す。

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症例

 寺○テ○ヱ,29歳,公務員の妻,旧制高女卒。

 家族歴:父は大腸癌で死亡。子供は1人で健康。

尿道結石5例 沢田 松治
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症例

〔第1例〕三○淳○,55歳,男,農業

初診:昭和27年10月31日

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1.緒言

 ヒヨスチン-N-ブチルブロマイド(ブスコパン)はスコポラミンより合成された第四級アンモニウム化合物の一つとして,各臓器の痙攣に対しアトロピンと同様の鎮痙作用を示し且つアトロピンの如き各種の中枢性及び末梢性の副作用を欠く事から広く各科領域に於て鎮痙剤として応用されている事は周知の事実である。我々も本剤の副交盛神経遮断剤たる点も考慮に入れて,各種の尿路系疾患に応用し,疼痛緩和特に疝痛発作の緩解に極めて有効であつた事は既に報告した如くである。又その際我々は本剤のみでは効果が差程顕著でない場合もあるが,その他の鎮痛剤を併用する事によつて鎮痛効果は極めて著明に強くなり,その場台鎮痛効のみ使用した場合に比し少量で充分であり,副作用の点から考えても両者の併用が望ましい事を指摘しておいた。今回は此の理論に合致したと考えられるブスコパンに鎮痛剤たるスルピリンを配合せる複合ブスコパンによつて各種泌尿器疾患の治療を試み,各々に予期通りの結果を得たので茲に報告する。

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緒言

 近時諸種抗生物質が広く用いられるに及び,次第に耐性菌の問題が生じて来た。殊に病原菌中葡萄球菌は程度の差こそあれ,ペニシリンを始め広範囲抗生物質に対しても耐性を獲得するに至つた。ここにこのような葡萄球菌の耐性株にも有効で,しかも既存の抗生物質と交叉耐性を示さない新抗生物質の出現が期待され,Oleandomycin(OM,Matromycin)の登場となつた。

 OMの詳細に関しては既に幾多の記載があるので,ここには簡単にその特性を記するにとどめる。OMは試験管内感受性試験の結果,葡萄球菌,連鎖球菌,肺炎菌等のグラム陽性菌に対し強い抗菌作用を有し,抗酸菌,グラム陰性菌の一部,即ちインフルエンザ菌,淋菌,髄膜炎菌,百日咳菌,カタル性雙球菌等,或いはリケツチヤ,スピロヘータ,大型ビールス及び或る種の原虫にも有効な事が知られた。

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緒言

 近代医学の進歩と共に,外科学の進歩は驚くべきものがあるが,外科学即ち手術の進歩と共に一番考慮せらるものは失張り出血に対する問題である。殊に泌尿器疾患における出血即ち血尿は1つの症候であり,しかも血尿というものは患者にとつて精神的に非常に衝動を与えるばかりでなく僅かな血尿でも長時間続けば肉体的に悪影響を及ぼすことはいうまでもない。そこで原因の判然とした疾患に対しては出来るだけ速かに止血の目的を達し,患者の負担を軽減してやる必要があり,ここに有効な止血剤の出現が要望されるのである。

 前から多くの止血剤が使用されているが,私達は最近Derouax & Roskamがadrenalinの酸化体の1つであるadrenochromeに止血作用のあることを発表して以来この方面の研究が急速に進展して,この誘導体であるadrenochrom-mono-semicarbazoneと近年K. Hummelの研究によりそれ自身のコロイド性が止血作用を有することが見出されたAcetyrenからの合成コロイドであるPolyvinyl-pyrrolidon(P. V. P.)を主成分としたAdozon-Vなる止血剤を杏林製薬株式会社より提供され,泌尿器疾患に使用して良好な結果を得たのでその概要を報告する。

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 尿路疾患の薬物療法はサルフア剤,抗生剤の華々しい発展の為に,その他の尿路治療剤はほとんど価値を失した感が深い。しかしながら古くから用いられていた古典的薬剤にも案外捨て難い味があり,最近の化学療法のみでは望みえない効果を発揮することもありうる。ここで述べるpyridine誘導体もその1つであるが従来よりButyl-oxydiamino-azo-pyridineあるいはphenylazodiamino-pyridineとして応用されていたものである。前者はSchering社よりNeotropin,後者はBöhringer社よりPyridiumの名で販売せられ,我が国の泌尿器科医にも親しまれていた薬剤である。Pyridiumは尿路消毒剤として用いられていたが,現今では尿路殺菌剤というよりむしろその鎮痛作用を利用する薬剤とされ,米国でもかなり使われているらしい。今回我々がエーザイ株式会社より提供を受けたUropyridin(以下Upと略)はPyridiumと同じ性格のもので,図の如き構造式を有し,一錠中phenylazo-diamino-pyridine hydrochlorideを50mg含有し,一般に1回2〜4錠3回服用する。以下自験症例を中心にUropyridinの臨床効果について述べ,検討を加えてみたい。

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緒言

 経腰的腹部大動脈撮影法(直接撮影)は1929年にR.dos Santosにより創始され,本邦においては1953年に市川・岩本氏等により記載された。その後大腿動脈,或はその分枝等から逆行性に造影剤注入の方法(逆行性撮影法)も考案された。これ等の直接或は逆行性撮影法による腎動脈及び骨盤内動脈の描出はその手技の改善と造影剤の進歩により比較的容易かつ安全に施行されるようになつた。

 最近我が教室において米国ウインスロツプ医薬品会社製品50%ハイペックを以つてこれ等の撮影を試みた。本剤は比較的良く造影しかつ副作用等も極めて軽微僅少であつたので茲に報告御批判を仰ぐものである。

Median Barの2例 蔡 衍欽 , 井沢 洋平
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緒言

 前立腺の肥大は認めないが,それと同様なる排尿障碍を生ずる疾患は一般に膀胱頸部疾患と呼ばれているが米国に於てはYoung,Wessen等はMedian barなる言葉でこれを表現し,括約筋の内外に於ける筋肉性,線維性或は粘膜雛襞による柵状障碍物に対して漠然と用いている。

 本疾患はGuthrieの記載に始まりGuyonのProstatisme sans prostate(仏)或はProstatismus,Prostataatrophie,Prostatasklerose,Annulussklerose,Sphinkterhypertonie(独),Contracture of the bladder neck(米)等々雑多な名称で呼ばれている。最近私達はMedian barの2例を経験し経膀胱的に堤状に突出するBarを切除し良好なる結果を得たので報告する。

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I.まえがき

 色素沈着症には種々の病型があり,その原因も多様でしかもその病理の明らかにせられたものが少ない。本症の多くは自覚症を伴わない疾患であるが,美容を害するが故に,特に若い女性では真剣にその治療を願つて医師の門をたたくことになる。しかし,その治療にはどの專門家も大いに因難を感ずるのが現状である。

 皮膚色素であるメラニンの生化学的な研究,或いはメラニンを産出する細胞である色素細胞melanocyteの形態的知見は過去10年の間に驚異的な進歩を遂げたけれども,尚これ等の所見に基づいて色素沈着の治療をなしえない段階にある。

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緒言

 本症は1869年Nittleshipが始めてChronicurticaria Ieaving brown stainsと記載報告して以来80有余年,現今に至る迄既に数百例,本邦に於ても100例を越える報告あり,臨牀像,又組線像に於ても夥多の研究報告がなされて来ている。その分類もUnna型,Rona型等々種々の分類があるが,何れも組織所見に於て肥胖細胞の増殖を特徴とし,その臨牀像と相俟つて診断さるべきものである。多くは生後数週から数ヵ月以内に発生し,蕁麻疹様発作後躯幹,四肢に茶褐色から黄褐色の色素沈着を生じ多く痒感を訴える。時には却つて色素減退を生じることもあり,又水疱を生ずるものもある。経過は一般に慢性,時に自然軽快もあるが,概して適切な治療法はない。

 今回,色素沈着が通例の症例に見る如く散在する斑をなさず,網状を呈し,網目の部分は健康皮膚を示す特異な症状を有し,且つ大水疱の形成が著しかつた1例を経験したのでこゝに報告する。

血管芽細胞腫の1例 中山 重男
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緒言

 血管芽細胞腫は稀有な疾患に属し,本邦では昭和24年中川1),の報告以来,花井2),増田3)の報告を合わせて僅かに5例が報告されているにすぎず,外国ではこれに相当する症例は報告されていない。最近当科にても血管芽細胞腫の1例を経験したので報告する。

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緒言

 初めてCoaltarを皮膚科疾患に用いたのはDindが1906年にCoaltarのみを用い諸種の皮膚病特に湿疹に之を推奨して以来Brocq,Tambon,Chajes等が追試して之を確証し漸次普及せられるに至つた。その後我が国では1911年に億川が小児湿疹に用いて居る。国外ではC.J.Whiteが1921年,Feerが1923年に軟膏に混和して用いて居る。基剤としてHillはワゼリン,ラノリン等分中に5%のCoaltarを混じ,Lancaschireは5%亜鉛華泥膏とし,Scholtzは4〜10%同前とした。高橋は3〜5%の割合に土肥氏硼酸亜錯華軟青に混じた。Coaltarの作用機転は如何なる成分が湿疹の治癒に働くか全く明らでない。然しその作用は他の植物性テールやクリサロビン,ピロガロールの如く還元性である事は確かである。Gross等はCoaltarは恐らく角層の新生作用を持ち湿疹病変の治癒を助けるものと考えて居る。又,柴田は殺菌作用(大腸菌,桿状菌,葡萄状球菌等に対し)あるとも云つて居る。

 ハイドロコーチゾンは最近皮膚科領域に於て多大の効果を上げて居る事は既に認められて居る。即ち1949年Hench等が此れをロイマチスに使用し次いで同年皮膚科に於てはGraceet,Combesが急性エリテマトーデスに使用して其の効果を認めたのに始まる。

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 近年Sulzberger等により,ハイドロコーチゾンの局所的使用が皮膚疾患治療上価値ある事が認められるに至つたが,特に湿疹,皮膚炎,局所性掻痒症には高い奏効率を示し,之に就ては既に本邦にも多数の報告が見られる。ただ然し,その欠点とする所を挙げるならば,治療中に屡々症状固定し奏効し難くなる事例,又一旦治療休止後再燃を見る事例があり,又高価な為広汎な病巣には使用し難い事も,亦その難点の1つとしてよい。そこで如上の難点を補う意味で,ハイドロコーチゾンに他の局所治療薬を併用する方法が考慮され,Golzはハイドロコーチゾン軟膏塗布後,タール,イヒチオールその他をその上に追加塗布する事により,それぞれ単独に使用するよりも,よりすぐれた効果を得たと報告している。タール類の中でもコールタールは従来皮膚科的局所治療薬として,その価値はよく知られて居り,Carneyはハイドロコーチゾン必ずしもコールタールを駆逐するものではないと云い,Curtisは貨幣状湿疹に対してはハイドロコーチゾンと同程度の効果があると述べている。

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 急性乃至慢性の湿疹様,及び他の炎症性,掻痒性皮膚疾患の治療に於てHydrocortisoneの外用が優れた効果を持ち亦広く用いられて居るが一方本剤の使用によつて病源菌の活動を盛んにし二次感染を助長するおそれがないとはいえない。亦一方貨幣状湿疹,感染性湿疹様皮膚炎,播種状細菌疹等湿疹様変化と細菌毒素との相互関係が密接に考えられる疾患があり,かかる場合Hydrocor-tisonの強い抗炎症作用,抗アレルギー作用に強力な抗菌作用を加味すればかなり理想に近い療法を行う事が出来ると思われる。一方逆に抗菌性物質の使用に依つて屡屡現われる過敏症の発現はHydrocortisonの存在によつて強く抑制され得ると考えられる。

 この様な外用薬については既に我々の教室で原田等の手によつてテラコートリール軟膏の治験報告がなされている。

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緒言

 最近種々な抗糸状菌性の化学剤,抗生物質製剤が見出され,可成りの成績を収めて居るが糜爛性病巣に直接塗布して有効なものは数少ない。従つて我々皮膚科医はかかる場合には予め軟膏療法を行つたり,他の併用療法によつて治療をして居り未だ満足すべき白癬治療剤の見当らないのが現状である。

 特に汗疱状白癬は一進一退再発を繰り返するものもあり各種製剤に抗し数拾年に亘るものもある。

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まえがき

 糸状菌症の治療は極めて困難であり,従つて種々の新しい治療剤が次々に登場し,それぞれかなりの臨床効果を収めて来たが,未だ満足し得る状態とは云い難い。有機水銀化合物としてPhenylmercurinitrate,Phenylmercuriborateが有名であり,最近の代表的抗糸状菌剤にはこの系列に入るものが多い。Bisethylmercurisulfide(Alber),N-Buthyl-mercuri-thiosalicyl-N-buthylate(Athletan)等がこれに属する。今回三共株式会社からPMH(2-Hydroxy-2'-phenylmercuri hydroxy-3, 5, 6, 3', 5', 6'-hexachlarodiphenylmethan)を主成分としたCS6チンキ及び軟膏の堤供を受け,その抗菌試験を行い,臨床的には34例の糸状菌症患者に応用して,かなりの好成績を収めることが出来たので報告する。

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 近年,数多くの抗ヒスタミン剤が相ついで登場し,皮膚科領域に於ても,本剤による所謂アレルギー性皮膚疾患の治験報告は枚挙に遑なく,斉しくその優れた止痒作用及び治療効果を認めている。一方,かかる皮膚疾患々者に於ける精神々経的不安状態がその発症の一因となり,或はまた治癒遅延の一因子となり得る事を考える時,止痒効果のみならず強力な鎮静作用をも期待出来る薬剤が望まれるわけである。

 かかる要望をみたすものとしてChlorproma-zineが登場した。本剤は既に周知の如くPheno-thiazine誘導体で,強い中枢麻酔作用があり,鎮静,鎮痛,鎮痙,鎮吐的に用いられる外止痒効果をも有することから皮膚科領域に於ても多数の使用報告が見られる。即ち本剤は一般に掻痒性皮膚疾患の急性症には有効であるが,慢性症では特に皮膚の浸潤,肥厚に対しては直接的な効果は認め難く,他療法との併用が望ましいものとされている。

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はしがき

 抗ヒスタミン剤が皮膚科領域に於けるアレルギー疾患に対して現在数多くのものが使用され,且つその治療効果,或いは副作用に就いて明らかにされているが,更により優れたものが製造されつゝある。Plokon (日本新薬)は1955年Nieschulz等によつて新しく合成せられた抗ヒスタミン剤であつて,その作用は強力で且つ副作用は軽微と云われる。我々はPlokonを皮膚科領域に於けるアレルギー疾患と見做される諸症に応用して見るべき効果を収めたので茲に報告したい。

 Plokonの組成はN-methyl piperidyl-4-ben-zhydryl ether-8-chlor theophyllinateで次の如き化学構造式を有する。

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はしがき

 掻痒性皮膚疾患に対する治療に抗ヒスタミン剤の有効なことは衆知のところで,すでに抗ヒスタミン剤は内服および外用の形で広く用いられている。レンタミンもその一種ですでにレスタミン,レスタミンG軟膏として発売され治療成績の報告もあり当教室でも使用して良い効果を治めていたが,さらに新らしくレスタミンA軟膏が登場し当教室で使用したところ良い成績が得られたので報告する。

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まえがき

 湿疹にたいしてカミツレ浴が有効であることは古くから知られていたが,近年この薬効成分について多くの薬理学的研究がなされ,その有効成分であるアズレンが強力な消炎,肉芽,表皮形成促進作用,抗アレルギー作用などを有することが明らかになつた。

 Walfgang,Helliegerなどはアズレン軟膏を臨床的に使用して放射線に基く皮膚炎症にたいして有効であると報告している。

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 私達は,日頃皮膚科外来治療に当つて,更年期障碍に伴つて,発生する皮膚病変に屡々遭遇するが,其の治療については,今日までestrogen,progesterone及びこれらの混合ホルモン剤,androgen,脳下垂体前葉ホルモンなどホルモン療法に頼ることが多かつたが,また一面その副作用にも当然注意しなければならないのである。

 たまたま,私達は最近東京薬品工業株式会社より提供の米糠油から分離抽出した更年期障害治療剤γ-Oryzanolを,使用する機会を得,主に更年期の皮膚疾患に対して試用してみた結果を報告する。

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 さきにアメリカのOliver et al1)によつてmonobenzyl ether of hydroquinon (M.E.H.)か皮膚の色素沈着症に対して劃期的な効果のあることが確認されて,ひとしく世の皮膚科医の注目を引いたが,本邦に於ても,すでに種々の色素沈着症に用いて著効のあることが諸氏により報告されている。

 しかしながら一方,最もM.E.H.の煩わしい欠点としては所謂漂白作用が白斑形成の域にまで達し,あるいは却つて色素沈着を招く場合もあつて,両者はいりまじつて黒白皮症を誘発し,一種の化粧品障害として,かなり広範囲に見受けられるのである。

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まえがき

 Hebra氏紅色粃糠疹は1862年Hebra氏により始めて記載せられ,其の独立的存在はWien学派の追証,Brocq氏の分類,Jadassohn氏の業績により漸次鮮明さるるに至つた。けれども臨床上本症の診断は,その初期に於てはWilson-Brocq氏等の謂う剥脱性紅皮症との鑑別が事実上極めて困難である。本症と剥脱性紅皮症の病理が更に詳しく究明せられなければ本症の完全独立性も甚だうたがわしいものとなる。文献上にも各症例の初期診断が,まちまちで皮膚炎,慢性湿疹,剥脱性紅皮症等の診断がなされ経過が進み本症としての諸症状が整うにつれて診断が確定するといつた状態である。

 余等も初診時は全身性急性皮膚炎の診断であつた。要するにこれは本症が比較的稀有な疾患なので系統的研究が困難なために病理の追究も極めて困難であつて,将来多数の文献上の症例を蒐集して結論を見出すほかに方法はないであろう。この意味に於て文献上の1例として将来の参考に資するため,ここに本症の1例を報告して置く次第である。

内外文献抄録
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皮膚科

外国文献

 Alkyl Benzene Sulphonate洗剤,石鹸,アセトンで前処置した際の一次刺戟およびアレルギー性湿疹様反応の有無 E. Skog-Acta Dermato-venereol. 39:1,1958.

 海猽,家兎および人間をdinitrochlorobenzeneの皮内注射によつて感作し,題記薬剤を前処置した際と対照とを比較した結果,海猽においてのみ対照より強く反応した。なお組織学的検査においてはみるべき知見を得なかつた。

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 第9回日本皮膚科学会中部連合地方会は岩下教授主催の下に,昭和33年11月2日,京都府立医科大学綜合講堂で,会員約300名の参加をえて午前9時より開催。演題が小児皮膚疾患,内分泌関係,エリテマトーデス,化学療法,皮膚角化関係および臨床例その他に限制されたにもかかわらず58題を算え,シンポジアムに1時間,特別講演に30分,また一般演説も8分が与えられ33題が講演されたが,中部連合地方会としては近來にみられない活溌な学会であつた。

 小児皮膚疾患(4題)に関しては日頃より,特に湿疹の分類および治療に困惑しているが,加納氏(名大)により名大における統計的観察がなされ,また山形氏(神戸)により湿疹様疾患の軟膏療法が報告され質疑も多く,本問題への関心の深さを思わせた。内分泌関係(9題)では,近時副腎皮質ホルモンと抗生物質の併用の適応と限界,また該ホルモン療法後の再発への適切な後療法は臨床家に切望されるものであるが,松原氏(京大)は慢性膿皮症に対する副腎皮質製剤の応用を,また白取氏(北大)は副腎皮質ホルモンの後療法につき検討した。

基本情報

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臨床皮膚泌尿器科
13巻1号 (1959年1月)
電子版ISSN:2188-6164 印刷版ISSN:2188-6156 医学書院

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