巨大なる頭部乳頭状皮膚炎兼穿掘膿瘍性頭部毛嚢周囲炎の1例とその剖検例

A CASE OF DERMATITIS PAPILLARIS CAPILLITII WITH PERIFOLLICULITIS CAPITIS ABSCEDENS ET SUFFODIENS AND AN AUTOPSY OF THE CASE

緒言

　毛嚢と関連を有する皮膚疾患のうちで，毛嚢及びその周囲の炎症性病変，毛乳頭の破壊と永久の脱毛，瘢痕組織の形成と集簇し易い傾向等を有する一群の疾患として，Brocq（1888）は1）Pseudopelade，2）Acne decalvante de Lailler（Follicu1itis decalvans Baocq），3）Sycosis lupoideの3項を分類したが，E. Hoffmann（1907）は更にFolliculitis et perifolliculitis abscedens et suffodiensなる1項を分つべしとして，その特性及び鑑別を明らかにした。

　本疾患の第1症例はNobl（1904）が深部禿髪性毛嚢炎として報告し，Spitzer（1906）が集簇性毛嚢性皮膚炎なる名称で第2症例を，更にE. Hoffmann（1907）が穿掘膿瘍性頭部毛嚢周囲炎として第3症例を報告している。以後の報告は概ねHoffmannの命名に従つているようである。