皮膚科圖譜・12
一部癌性化せる口唇白色角化症
藤田 惠一
1
1東大皮膚科
pp.502-504
発行日 1951年11月1日
Published Date 1951/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200613
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60歳男子に4,5年前より上下口唇ともその内側の粘膜面に白色局面を生じた。但し下口唇のものは次第に消失,上口唇のものゝみ徐々に擴大,3カ月前からは特にその1部が急に増大して來たと云う。自覺症なし。上口唇内側の粘膜面に指爪大,境界鮮明に,僅かに隆起し,表面粗糙な白色の局面2個,即ち正中線を挾んで1個づゝあり,左側のものはその1部は腫瘍状に隆起して小凹凸を示し,血痂附着し,軟骨樣硬。白色局面には角質増殖し不全角化を呈し,表皮突起肥大,延長して,眞皮乳頭の狹長化を來している。乳頭同下層に淋巴球,プラズマ細胞浸潤。腫瘍状に隆起せる部は角質眞珠を形成,有棘細胞癌樣に變化せんとしている。
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