Japanese
English
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泌尿器疾患に対するAdozon-Vの治験
TREATMENT OF SOME UROLOGICAL DISEASES WITH "ADOZON-V"
江藤 耕作
1
Kosaku ETO
1
1久留米大学泌尿器科学教室
1Dept. of Urology, Kurume University
pp.28-31
発行日 1959年1月1日
Published Date 1959/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202456
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緒言
近代医学の進歩と共に,外科学の進歩は驚くべきものがあるが,外科学即ち手術の進歩と共に一番考慮せらるものは失張り出血に対する問題である。殊に泌尿器疾患における出血即ち血尿は1つの症候であり,しかも血尿というものは患者にとつて精神的に非常に衝動を与えるばかりでなく僅かな血尿でも長時間続けば肉体的に悪影響を及ぼすことはいうまでもない。そこで原因の判然とした疾患に対しては出来るだけ速かに止血の目的を達し,患者の負担を軽減してやる必要があり,ここに有効な止血剤の出現が要望されるのである。
前から多くの止血剤が使用されているが,私達は最近Derouax & Roskamがadrenalinの酸化体の1つであるadrenochromeに止血作用のあることを発表して以来この方面の研究が急速に進展して,この誘導体であるadrenochrom-mono-semicarbazoneと近年K. Hummelの研究によりそれ自身のコロイド性が止血作用を有することが見出されたAcetyrenからの合成コロイドであるPolyvinyl-pyrrolidon(P. V. P.)を主成分としたAdozon-Vなる止血剤を杏林製薬株式会社より提供され,泌尿器疾患に使用して良好な結果を得たのでその概要を報告する。
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