特集 性病
梅毒沈降反應
沼田 岳二
1
1北里研究所
pp.597-601
発行日 1952年11月10日
Published Date 1952/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200846
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古來結核と梅毒位絶えず人類を脅かしている疾病は少ない。それ故之等の疾病の診斷法も多くの人により研究され,又實用化されているものも多数ある。就中梅毒の沈降反應に關する研究並にそれが實際化されて現在行われている術式も有名なものだけでも十數種ある。之等は各々特長もあるが同時に短所もあり,敦れを採るかと云う段になると全く迷わざるを得ない。現在では各國共梅毒の診斷には補體結合反應と沈降反應の一つ或は二つを使用して,兩反應の綜含判定を以てしている。近來は術式も非常に改良されて孰れの反應も略々近い成績を與える所迄行つている。
一方梅毒の症状も非常に變つて來て,不顯性感染が多くなり,定型的な下疳を見る事なしに始まり,漸く何かの機會に重し清反應によつて其の感染を知ると云う事は少しも珍しくない。又先天性梅毒鬼も多くなり,之も大した症状もなく,外見も精神的能力も全く常人と等しいものが多い。以前は先天性梅毒兒は流産するか又は生れても青年期に達し得るものは極めて少数であつた。
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