消化器画像 1巻3号 (1999年5月)

特集 膵癌の進展度診断

序/膵癌の進展度診断 有山 襄
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 膵癌の進展度診断は手術に対する情報,外科手術か保存的療法かの治療方針の決定に亜要な役割を果たす.画像診断の進歩によって,進展度診断は以前に比べて正確に行えるようになったが,まだ問題点も多い.

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 浸潤性膵管癌自験例172例の外科治療成績を膵癌の進行度や進展度因子別に検索し,膵切除の適応や膵癌規約の問題点を検討した.Stage IVの進行癌が86%と大多数を占め,Stage IVの切除率は41.9%で,切除例中の治癒切除率は50%と高率であるが,その予後は不良であった.進行膵癌では切除を行っても,約半数の症例は癌遺残が明らかな非治癒切除であり,非治癒切除例の予後はバイパス手術例とほぼ同じである.膵癌手術例全体でみると,治癒切除ができた率は進行癌では21%にすぎず,特にS3,RP3,PV3,A3では2.2~10.9%にすぎない.これらの成績からみて,CTや腹腔鏡を用いて膵癌の進展度診断を的確に行い,切除の適応をより慎重に行うことが患者のQOLの面からも大切である.なおわが国の膵癌取扱い規約は煩雑で予後を必ずしも反映しない分類が含まれており.簡便で,臨床の場で使いやすい普遍性,国際性のあるStage分類の確立が望まれる.

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 現在の「膵癌取扱い規約」では,ts1癌は“腫瘍の組織学的最大径が20mm以下の癌”.と定義されている.すなわち,浸潤癌部分上皮内癌部分とを合わせた組織学的最大径と理解される.しかし,浸潤部が20mm以下の癌(ts1-inv癌)にはts1癌とts2・ts3癌が含まれている.本論文の目的は“ts1-inv癌とTS'分類・ts分類との相関”および“ts1-inv癌の中で,規約によるts1癌とts2・ts3癌とで予後が異なるかどうか”を明らかにすることである.対象はts1-inv癌16例である.この16例のTS'分類はTS'1癌が12例,TS'2癌が3例,TS'4癌が1例であった.TS'2癌2例とTS'4癌は,随伴性膵炎や線維症部分を癌と誤認し,TS'2癌1例では仮性嚢胞部分を癌と誤認していた.ts分類でみると,ts1-inv癌16例中,9例はts1癌,5例はts2癌,2例はts3癌となった.ts2癌・ts3癌となった理由は,全例で,浸潤部外の膵管内進展であった.この膵管内進展は浸潤部の尾側分枝膵管に多くみられた.膵管内進展距離は平均15.8mm(8~28mm)であった.

 ts1-inv癌のうち,ts1癌とts2・ts3癌とで,膵周囲進展度であるT・tやリンパ節転移率に有意差はなかった.また,3年生存率と5年生存率は,ts1癌に比べて,ts2-ts3癌で良好な傾向にあった.

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 体外式超音波検査(US)は,現在,膵管癌診断におけるスクリーニング検査として高い評価を得ている.しかし,膵前方被膜浸潤(S因子)や膵後面組織浸潤(RP因子)の膵周囲進展度診断の精密検査としては内視鏡超音波やヘリカルCTにadvantageがある.自験例197例から体外式USの描出能の推移をみてみると,最近5年間ではTS1で70%以上,TS2以上では90%以上で,存在診断能の著明な向上がみられた.一方,進展度診断能は最近5年間とそれ以前の16年間を正診率で比較するとS因子では72%,71%とほぼ同等であったが,RP因子では50%から75%と向上が認められた.誤診例は過小診断例が大半であったが,RP因子ではRP (+)と診断したうちの21%が過大診断であった.したがって,体外式USでS1,RP1を診断することはかなり困難であるものの,最近開発されたtissue harmonic imaging法とパワードプラ法を駆使することで診断能の向上が期待できるものと思われた.

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 現在,超音波内視鏡検査(EUS)は膵癌の存在診断,質的診断,進展度診断において他の血像診断法に比べ優れた画像診断法としての評価を得ている.特に,膵実質の微細な変化や2cm以下の小膵癌の描出能に優れているため,腫瘍の膵実質浸潤の有無や腫瘍が膵内に限局しているか否かの診断に対する有用性は高い.腫瘍の膵外への進展として,前方被膜や後方組織などへわずかに浸潤している例や浸潤が疑わしい例(RP1やS1)の診断にはEUSは限界はあるものの,明らかに浸潤を有する症例の診断能は他の画像診断法に比べて高い.EUSはまた少量の腹水の検出やガイド下のリンパ節生検でも有用性が明らかになっており,膵癌の進展度診断には欠くことのできない検査法と考えられる.

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 膵癌の膵周囲浸潤のCT,MRI診断について解説した.診断精度を向上させるためには,ヘリカルCTによるdynamic study,およびダイナミックMRIが必要であり,その適切な撮像条件について述べた.前方被膜浸潤あるいは膵後面に接する組織への浸潤について,特にその早期のCT,MRIの診断基準を実際の症例を用いて説明した.筆者らの経験をもとに,膵周囲浸潤の診断上のピットフォールについても解説を加え,最後にCT,MRIの使い分けについて現況を述べた.

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 膵癌の血管浸潤の診断,なかでもA1~2 あるいはPV1~2 の診断には,ヘリカルCTに代表される断層画像による血管周囲への腫瘍進展の状態および軽微な血管変形の評価が重要で,主要血管への腫瘍浸潤についてはおおよそ信頼性のある診断基準が受け入れられてきている.3D-CTAでも主要血管はほぼ示現することができるが,腫瘍浸潤の評価といった微妙な血管縁の変化を再現するには至っておらず,さらに膵周囲小血管の描出能にも限界がある.しかし,3D-CTAには単独では血管造影を代用するに至らずとも,再構成画像であるがゆえにさまざまな画像処理が加えられるといった利点があり,axial CTや血管造影,さらには膵管造影といった“面の画像”の示すそれぞれの所見を,立体的につなぎ合わせるのに有効活用できるものと考えられる.

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 ヘリカルCTの導人により膵癌の質的および進展度診断の詳細な評価が可能となった.また膵頭部周囲小静脈系に関しても詳細な情報が得られるようになり,最近ではこれら小静脈系の正常CT解剖および描出能についても検討がなされている.

 本稿では膵頭部周囲小静脈系の正常CT解剖を述べるとともに,膵癌症例におけるこれら小静脈系の異常像からみた膵頭神経叢浸潤や腸間膜根部浸潤などの局所進展度診断について概説した.

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 膵癌は解剖学的に門脈浸潤をきたしやすく,その正確な診断は術式立案に重要である.特に腫瘍と門脈が接する例では圧排か浸潤かの判定は通常の画像診断では困難である.高周波細径プローブを搭載した血管内超音波カテーテルを用い,門脈血管内超音波検査(intraportal endovascular ultrasonography,以下IPEUS)が可能となった.IPEUSにより門脈壁は1層のechogenicbandに描出され,肝門部から膵下縁までの連続水平画像をリアルタイムに観察することで正確な門脈浸潤の診断が可能となった.さらにコンピュータ画像処理技術の進歩に伴い,IPEUS 3D画像も可能となり,門脈浸潤範囲が内腔から表示したlongitudinal cutope 3Diamgeで門脈壁欠損として描出され,浸潤範囲の視覚的理解が特に長軸方向で容易となった.

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 膵癌は胆管癌に比べ膵管内進展をきたす症例は少ない.特に通常型膵癌では,膵実質浸潤やperineuralinvasionにより進展することが多い.一方,膵管内乳頭腺癌では時に膵管内を広範囲に進展することがあるが,多くは分枝膵管から発生し,分枝起始部付近の進展にとどまり,また多中心性発生もみられる.したがって術前の水平向進展度診断には,主膵管内の観察を主目的とする膵管鏡よりむしろEUS,IDUSが有効である.特に膵管内乳頭腺癌の腫瘍部の描出にはほかの画像診断modalityに比べ超音波が優れ,EUSで膵管内から広く膵実質内を観察し,IDUSにより分枝起始部から主膵管内を診断していくことが術式の選択や切除線の決定に有力な情報を与え得る.

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 MRとCTを用いた新しい膵癌の水平進展の診断法であるvirtual pancreatoscopyについて,方法と臨床的有用性について概説した.Virtual pancreatoscopyの方法には,MRCPを元にしたvirtual MR pancreatoscopyと高速らせんCTによるダイナミックCTを元データにしたvirtual CT pancreatoscopyがあり,両者の取り扱いに根本的な差異はなく,volume renderingすることにより膵管の内視像を非侵襲的に得ることができる.まだ発展途上の技術であり,数々の欠点を有するが,異常であるか正常膵管であるかの鑑別は比較的容易である.特に膵管内腫瘍の水平尾進展の診断に有用性が期待され,将来,術式の決定や経過観察において重要な役割を果たし得る診断法である.

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外科側からみた膵癌の進展度診断では,「膵癌取扱い規約」に記載されている局所連続性進展に関する因子のうち主要動脈浸潤(A),門脈系静脈おと潤(PV),膵外神経叢浸潤(PL)について正確な診断を得ることが重要である.肝転移,腹膜播種,高度な大動脈周囲リンパ節転移などが認められない症例では,おおむねこの3つの進展因子の科度により手術適応の有無が決定され,さらに手術適応ありと判断された症例ではその画像所見に基づいた切除再建術式が立案されるからである.かかる因子はすべて癌の膵外進展に関連したものであり,その診断にはCTと血管造影が有用である.

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 患者67歳,女性.

 現病歴 1998年1月初旬ごろから発熱,全身倦怠感が出現し近医受診.肝胆道系酵素の上昇を認めERCPを施行した.肝内胆管の拡張を認め当科紹介入院となった.

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 肝血管筋脂肪腫は近年その報告例が増加しているが,わが国の報告例は65例とまれな疾患である.筆者らは、術前診断で肝細胞癌と誤診した症例を経験した.患者は49歳,男性.HCV抗体陽性,腹部エコーで肝S8に径20mm大の低エコー像を呈し,カラードプラ法では拍動性の流入血管を認め,血流の最高速度は0.20m/s,Plは2.74であった.腹部CTではlow attenuation massを示し,enhanced CTで強く造影された.血管造影検査では明瞭な腫瘍濃染像として描出され,肝細胞癌が疑われ肝前上区域部分切除術を施行した.病理組織所見で肝血管筋脂肪腫と診断された.さらに本邦報告例の画像診断や手術適応について検討したので報告する.

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 患者は72歳,女性.USで胆嚢に異常を指摘され,US・EUS・術中USで胆嚢にlla様病変を認め,辺縁部に比べて病巣中心部が不均一な低エコーを示した.外側高エコー層は不変で保たれていた.胆嚢SS浅層浸潤癌を疑って,肝床切除+D2リンパ節郭清を施行した.組織学的にss線維層まで浸潤し、線維化をきたしていたが,癌浸潤が及ばないss脂肪層が存在した.US像と組織像とを対比すると,病巣中心部の不均一な低エコーが線維化を伴うss線維層浸潤部に相当し,外側高エコー層は癌浸潤が及ぼないSS脂肪層に相当した.外側高エコー層が不変で保たれていても辺縁部に比べて病巣中心部が不均一な低エコーを示す場合,SS線維層浸潤癌の可能性が高いと考えられた.

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 副膵管領域に発生した膵管内乳頭腺癌の1例を経験したので報告した.副膵管領域に発生する膵疾患の術前診断は非常に難しく,わが国における報告例も数例を散見する程度である.自験例は副乳頭に異常所見を伴わなかったが詳細なERPで拡張した副膵管に陰影欠損を認め,EUSで同部に膵実質浸潤を伴わないやや高エコーな腫瘤を認めた.IDUSで主膵管内進展を否定し,術前に副膵管内に発生した膵管内乳頭腫瘍と診断し膵頭十二指腸切除術を行った.病理検索では同腫瘍は副膵管内に限局し,大部分が腺腫で一部に乳頭腺癌を認めた.また本例は下頭枝も嚢胞状に拡張しており,同部は腺腫であり,多中心性発生症例であった.

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 患者は70歳,男性である.自覚症状なし.慢性肝炎の経過観察中に行われた腹部超音波検査で,膵尾部に嚢胞性病変を指摘された.膵尾部の病変は膵嚢胞と診断されたが,ERCPで輪状膵が疑われたため精査した.腹部CTでは十二指腸下行脚を取り巻く膵頭部を,ERCPやMR-CPでは十二指腸下行脚を取り巻く膵管を,EUSでは十二指腸下行脚を取り巻く膵頭部および膵管を描出した.膵実質は十二指腸下行脚の全周に欠損部なく存在し,下行脚の背側と腹側にそれぞれWirsung管に開口する膵管が認められた.

 以上の画像所見から輪状膵と診断した1例を報告する.

連載 初心者のための超音波診断―体外式US・3

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 今回は,肝腫瘤性病変の超音波診断でのチェックポイント,注意点,そして鑑別診断上知っておくべき特徴的なエコー所見について述べる.

講座 MRIの基礎から臨床応用

MRI機器の種類と性能 吉留 英二
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はじめに

 MRI装置の構成を図1に示す.構成要素は,①静磁場を作る主磁石,②x,y,zの3軸方向に勾配磁場を作る3つのコイル.③高周波の電波を照射し,そのNMR信号を受信するRFコイル,④RF電波の送受信機―検波器,⑤データ処理のための計算機,⑥撮像シーケンスどおりにこれらを動かす制御装置,⑦各種の電源装置,⑧患者テーブル,⑨操作卓である.①~③と⑧はマグネット室に,④~⑦と⑨は機械室もしくは操作室に置かれる.

 MR画像の撮像は,制御装置から出される命令に従って,RF送受信機や勾配磁場電源を動かすことで行われ,得られたエコーデータは計算機で画像に再構成される.

技術講座 胆道造影―私はこうする

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基本的な考え方

 経皮経肝胆道ドレナージ(PTBD)造影で肝門部胆管癌の進展度診断を進める際に留意すべき事項は以下の4項目である1)

 ①狭窄上縁から十分離れた部位の胆管を穿刺する.

 ②造影剤注人量は必要最小限にとどめる.

 ③さまざまな体位で系統的に造影する.

 ④肉眼型による進展様式の違いを念頭におく.

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 本誌の文献紹介欄に工藤正俊先生が肝癌に対するTAE療法は無作為試験の結果,効果なしという欧州からの報告を紹介された(1巻1号139~141頁,2号286~288頁,291頁).TAE療法がよいと信じていた日本の研究者にとってはショッキングな論文であるが,先方の研究のあら探しをするより,日本の研究者はまず反省をすべきであろう.すなわち肝癌の治療に関し無作為試験が今まで一つもなかったからである.国際学会で“日本の学者は無作為試験をやらない”という定評が固まりつつあり,憂慮すべきことである.

 消化器領域でのこの問題のはしりは,悪性胆道閉塞に対するPTCD療法である.日本が世界に先駆けてドレナージによる黄疸の軽減を待って手術をしたほうが予後が良いということを言い出し,その考え方が固まったころにTerblanche, Blumgartらによる追試が行われ,ドレナージしたほうがかえって予後が悪いという外国の報告が相次いだ.日本の外科医は欧米の医師は手技がまずいので悪い成績が出たのだと一人決めをしていた.しかし,国際学会の席では各国から日本の外科医に対する批判の声が上がり,日本の学者は無作為試験をやれないのだと言われるようになった.筆者はPTCDを外国に宣伝する最初の論文を書いたので責任を感じ,津市で開かれた日本消化器外科学会に乗り込み,当時の東北大学の佐藤教授を班長とする大きな研究グループを作って短期間に無作為試験の成績を出そうとしたが,東京の外科の某教授が“PTCDをやらないで手術をすると訴えられるから研究に協力できない”と反対し,ついにこの企画は途絶えたままで,日本の外科医は今でも肩身が狭い思いをしている.国際的に完全な日本の敗北である.

研究会紹介

日本胆道外科研究会 田代 征記
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 日本胆道外科研究会は1997年に発足し,当番世話人が2つの主題を決めて,演題を募集し,1つの主題について参加施設からアンケート調査を行って,全国集計を行ってきた.胆道癌に関しては1981年(杉浦),1989年(水本)にそれぞれ過去10年間の全国集計が行われ,1988年から胆道癌の全国登録が開始され,1995年までに8,914例が集計,分析されている.また,もう1つの重要な仕事として『胆道癌扱い規約』を手がけ,第1版が1981年4月に発行され,胆道癌登録分析の結果を参考にして改訂を重ね,1997年9月に第4版が発行された.現在,その英語版が作られており,近近発行の予定である.

 過去20余年の歴史を持ち,果たした業績は大変なものであるが,最近は重なる領域の学会や研究会が増え,本研究会も当初は年2回開催されていたものを,年1回開催にしたにもかかわらず,参加者は年々減少してきている.

日本膵切研究会 安田 秀喜
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 日本膵切研究会の前身は,1984年1月に金沢市において高田忠敬先生(現帝京大学第1外科教授),永川宅和先生(現金沢大学保健学科教授),堀澤増雄先生(現国立名古屋病院副院長)によって企画されたPD懇談会である.このPD懇談会の創設目的は,術後の合併症ならびに死亡率の高かった膵頭十二指腸切除術をいかに安全に施行するかであり,さらに日本で開発された膵頭十二指腸切除術後の再建法の1つである今永式の術式評価で,今永一先生,陣内伝之助先生を顧問とし,また宮崎逸夫先生を会長として発足した.

 第1回PD懇談会は名古屋ターミナルホテルで“膵十二指腸切除後再建”を話題として1984年6月17日(日)に堀澤増雄先生が当番世話人として総合討論指定4演題,36施設の参加で開催された(表1,写真1).

学会印象記

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 膵胆道癌の(病理学的・臨床的)診断から(内科的・外科的)治療に関する国際学会が1999年2月4-5日に真冬のアムステルダムでありました.ダウンタウンから離れた“Academic Medical Center”が学会場となっていましたが,この巨大病院ではヨーロッパでの学術集会がよく開催されています.第1回目の集会は“Col-orectal Cancer:From Gern to Cure”というテーマで1995年に当地で開催され,今回は第2回目で膵胆道癌がテーマに選ばれ,欧州・米国を中心に疫学者,分子生物学者,病理学者,内視鏡医,外科医,放射線科医,腫傷医と世界中から講演者が招待されていました.会長はご当地のTytgat教授でした.プログラムを見ますと,日本人は小生と新潟大学第一病理の渡辺英伸教授の2人でした.知った顔振れは,膵臓病理のオマハのDr.Pour,キールのProf.Klöppel,放射線科ではボストンのDr.Ferruci,アムステルダムのProf.Reed-ers,内視鏡医ではご当地のProf, Huibregtse,ボストンのDr.Carr-Locke,膵臓外科ではウルムのPlof.Be-ger,ベルンのProf.Büchler,キールのProf.Kremer,ご当地のProf.Obertop,ルンドから最近ベルゲンへ移ったProf.Andrén-Sandberg,リバプールのProf.Neop-tolemos,ロッテルダムのProf.Jeekel,胆道外科はロンドンのProf.Benjaminらでした.

 学会1日目の午後,渡辺教授は“Premalignant condi-tions and lesions”というタイトルで主に胆嚢癌のpathogenesisに関して,膨大な自験例をバックにした講演をされました.多くの発表者が教科書的な話,文献的考察を繰り返し話されたのとは全く対照的でしたので大きな反響がありました.前の演者が“胆嚢粘膜の腸上皮化生→癌化”とどこかの本から得たらしい話をした際に,渡辺教授が“胆嚢粘膜の胃粘膜化生→癌化”というご意見を披露して質問をされましたが,どうも誰もそのへんのご経験がないらしく返事に困っていました.そして渡辺教授の講演の中で“胃粘膜化生→癌化”や遺伝子異常に関するエビデンスが明らかにされますと座長も含め皆さん納得という態度を示されました.いずれにしましても600例以上の胆嚢癌の切除標本を基にしたという桁違いの膨大な研究材料に裏打ちされた発表ですので誰をも納得させる迫力に満ちていました.

基本情報

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消化器画像
1巻3号 (1999年5月)
電子版ISSN:1882-1227 印刷版ISSN:1344-3399 医学書院

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