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「膵癌取扱い規約 第5版」によれば膵腺房細胞癌(以下腺房細胞癌)は上皮性腫瘍のうち,外分泌腫瘍の範疇に属している.これまで腺房細胞癌の頻度は外分泌系膵腫瘍の約1%といわれ1),膵外分泌腫瘍の中でも頻度の低い,かつ予後の悪い腫瘍とされてきた2,3).画像的には充実性腫瘤から囊胞性腫瘤までの報告があり4,5),血液生化学的にはリパーゼ等の膵酵素の上昇からAFPのような膵腫瘍としてはunusualな腫瘍マーカーの上昇までがあるといわれ2,5),その全体像をとらえることが困難であった.腺房細胞癌が予後不良とされたのは発見された腫瘍は径が10 cmを超えるようなものが多かったことに起因すると思われる.同時に頻度が外分泌腫瘍の1%内外といわれるように,そもそも腺房細胞癌に遭遇することは非常に稀であり,US,CT,MRIのなかった時代にはその確定診断が遅れ,ひいては予後が不良となったとも言えよう.しかしながら近年画像診断の発達により比較的小さな腺房細胞癌が発見されるようになり,臨床像,画像所見,治療法,そして予後の再検討が必要となってきた.いうまでもなく腺房細胞癌を含む膵腫瘍の正確な鑑別診断と確定診断はその治療法の選択と予後に密接に結びついているからである.
以上のような状況を鑑み,2005年度の「第6回臨床消化器病研究会(東京)」では膵セッション(司会:近藤 哲,小井戸一光)の主題として腺房細胞癌を取り上げ,症例をとおしてわが国における腺房細胞癌の臨床・画像的特徴を浮き彫りにすることを目的に討議が行われた.このセッションは幸いなことに多くの先生方のご参加の下,盛況裡に終了したが,さらに多くの先生方に腺房細胞癌を認識していただくため「臨床消化器病研究会」で発表された症例を中心にもう一度腺房細胞癌をまとめたのが本特集である.
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