Japanese
English
特集 まれな膵腫瘍をめぐって
膵非上皮性腫瘍の病理
Clinicopathologic Features of the Non-epithelial Tumors of the Pancreas
中山 吉福
1
,
岩崎 宏
1
,
谷 博樹
1
,
井上 浩
1
,
濱田 義浩
1
,
菊池 昌弘
1
,
眞栄城 兼清
2
,
池田 靖洋
2
Yoshifuku NAKAYAMA
1
,
Hiroshi IWASAKI
1
,
Hiroki TANI
1
,
Hiroshi INOUE
1
,
Yoshihiro HAMADA
1
,
Masahiro KIKUCHI
1
,
Kensei MAESHIRO
2
,
Seiyo IKEDA
2
1福岡大学医学部第一病理
2福岡大学医学部第一外科
1The First Department of Pathology, Fukuoka University
2The First Department of Surgery, Fukuoka University
キーワード:
膵非上皮性腫瘍
,
悪性リンパ腫
,
節外性リンパ腫
,
非ホジキンリンパ腫
Keyword:
膵非上皮性腫瘍
,
悪性リンパ腫
,
節外性リンパ腫
,
非ホジキンリンパ腫
pp.347-353
発行日 2000年5月15日
Published Date 2000/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427900179
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膵悪性リンパ腫を中心に,その臨床病理学的特徴について,これまでの文献的報告に基づき解説した.膵原発の悪性リンパ腫はまれで,全悪性リンパ腫の0.3~2.2%,膵悪性腫瘍の0.16~4.9%と報告されている.膵原発悪性リンパ腫は,1904年L'Huillierらにより初めて報告されて以来,100例余りの報告があった.年齢は9生日~84歳,平均54.5歳で,男女比は5:3で,本腫瘍に特異的な臨床症状はなかった.発生部位は膵頭部に多く,平均腫瘍最大径は8cmであった.病理学的には,non-Hodgkin's lymphoma,diffuse large,B-celltypeが圧倒的に多く,Hodgkin's lymphomaは1例のみであった.本腫瘍は,画像診断上特異的な所見に乏しく,唯一病理組織所見により診断されていた.予後は極めて不良で,化学療法後の寛解率は30~60%,平均生存期間2年と言われる.組織学的には,炎症性偽腫瘍,退形成性膵管癌,小細胞癌または未分化癌との鑑別が重要である.膵非上皮性腫瘍は文献上少数の報告が散見されるにすぎず,今後さらに症例が蓄積され,その臨床病理学的な特徴が明らかにされるとともに,画像診断などでの正確な鑑別診断法の発達が望まれる.
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