Japanese
English
特集 膵癌の進展度診断
病理からみた膵癌の進展度診断―肉眼的進展度と組織学的進展度の対比
Pathological Assessment as to Clinical Diagnosis in Progres-sion of Pancreatic Ductal Carcinoma : Comparison between Macroscopic and Microscopic Diagnosis
山野 三紀
1
,
安田 敦美
1
,
渡辺 英伸
1
,
高木 智史
1
,
伊達 和俊
1
,
江畑 智希
1
,
橋立 英樹
1
,
西倉 健
1
,
味岡 洋一
1
,
白井 良夫
2
,
佐藤 一弘
3
Miki YAMANO
1
,
Astumi YASUDA
1
,
Hidenobu WATANABE
1
,
Tomofumi TAKAGI
1
,
Kazutoshi DATE
1
,
Tomoki EBATA
1
,
Hideki HASHIDATE
1
,
Ken NISHIKURA
1
,
Youichi AJIOKA
1
,
Yoshio SHIRAI
2
,
Kazuhiro SATOH
3
1新潟大学医学部第一病理学教室
2新潟大学医学部外科
3会津若松中央病院内科
1First Department of Pathol-ogy, Niigata University School of Medicine
2Department of Surgery, Niigata University School of Medicine
3Department of Internal Medicine, Aizuwakamatsu Tyuou Hospital
キーワード:
膵管癌
,
肉眼的進展度
,
組織学的進展度
,
予後
,
CAM5.2染色
Keyword:
膵管癌
,
肉眼的進展度
,
組織学的進展度
,
予後
,
CAM5.2染色
pp.319-330
発行日 1999年5月15日
Published Date 1999/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427900048
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現在の「膵癌取扱い規約」では,ts1癌は“腫瘍の組織学的最大径が20mm以下の癌”.と定義されている.すなわち,浸潤癌部分上皮内癌部分とを合わせた組織学的最大径と理解される.しかし,浸潤部が20mm以下の癌(ts1-inv癌)にはts1癌とts2・ts3癌が含まれている.本論文の目的は“ts1-inv癌とTS'分類・ts分類との相関”および“ts1-inv癌の中で,規約によるts1癌とts2・ts3癌とで予後が異なるかどうか”を明らかにすることである.対象はts1-inv癌16例である.この16例のTS'分類はTS'1癌が12例,TS'2癌が3例,TS'4癌が1例であった.TS'2癌2例とTS'4癌は,随伴性膵炎や線維症部分を癌と誤認し,TS'2癌1例では仮性嚢胞部分を癌と誤認していた.ts分類でみると,ts1-inv癌16例中,9例はts1癌,5例はts2癌,2例はts3癌となった.ts2癌・ts3癌となった理由は,全例で,浸潤部外の膵管内進展であった.この膵管内進展は浸潤部の尾側分枝膵管に多くみられた.膵管内進展距離は平均15.8mm(8~28mm)であった.
ts1-inv癌のうち,ts1癌とts2・ts3癌とで,膵周囲進展度であるT・tやリンパ節転移率に有意差はなかった.また,3年生存率と5年生存率は,ts1癌に比べて,ts2-ts3癌で良好な傾向にあった.
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