Japanese
English
特集 まれな膵腫瘍をめぐって
退形成性膵管癌と膵腺房細胞癌の画像診断
Image Diagnosis for Rare Histologic Type of Pancreatic Carcinoma: Pleomorphic Carcinoma and Acinar Cell Carcinoma
佐野 力
1
,
神谷 順一
1
,
梛野 正人
1
,
上坂 克彦
1
,
湯浅 典博
1
,
小田 高司
1
,
尾上 重巳
1
,
加藤 岳人
1
,
金井 道夫
1
,
山本 英夫
1
,
早川 直和
1
,
二村 雄次
1
Tsuyoshi SANO
1
,
Junichi KAMIYA
1
,
Masato NAGINO
1
,
Katsuhiko UESAKA
1
,
Norihiro YUASA
1
,
Koji ODA
1
,
Shigemi ONOUE
1
,
Takehito KATO
1
,
Michio KANAI
1
,
Hideo YAMAMOTO
1
,
Naokazu HAYAKAWA
1
,
Yuji NIMURA
1
1名古屋大学医学部第一外科
1The First Department of Surgery, Nagoya University School of Medicine
キーワード:
膵多形細胞癌
,
巨細胞型
,
破骨細胞型
,
腺房細胞癌
Keyword:
膵多形細胞癌
,
巨細胞型
,
破骨細胞型
,
腺房細胞癌
pp.327-338
発行日 2000年5月15日
Published Date 2000/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427900175
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退形成性膵管癌,膵腺房細胞癌はともにまれな膵腫瘍である.退形成性膵管癌は基本的には腫瘍内部が比較的髄様だが浸潤増殖する.ただし通常型の膵管癌ほどびまん性には浸潤しない.膵管造影では,膵管の狭窄を示し,通常型の膵管癌に類似しているので鑑別診断が難しいが,血管造影でややhyper vascularに腫瘍が描出される点が鑑別の一助となる.膵腺房細胞癌は基本的には膨張・圧排性発育を示し,腫瘍内部は軟らかく髄様である.膵管造影では膵管の圧排伸展の所見を呈することが多く,まれに膵管内進展を示す膵管の途絶像が認められる.いずれの腫瘍も内部に出血・壊死を伴うことが多く,CTで比較的境界明瞭なlowdensityな腫瘤として描出される.退形成性膵管癌はよりdensityが低く腫瘍の辺縁部分に造影効果を伴う.血管造影では両者ともにその多くがhyper vascularであるが,退形成性膵管癌では浸潤性に増殖するため動脈のencasementを伴うことが多く,腺房細胞癌は膨張性発育を示すため動脈のencasementは通常伴わない.通常型膵管癌とこれら2つの腫瘍との鑑別はそれほど困難ではないが,これら2つの腫瘍にそれぞれ特異的な画像所見がないため,お互いを鑑別するのは時として容易ではなく各種画像診断を総合して判断する必要がある.
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