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特集 膵癌の進展度診断
「膵癌取扱い規約」からみた浸潤性膵管癌の進展度と治療成績
Outcome of Surgical Treatment for Pancreatic Cancer Ac-cording to the Extent of Tumor Invasion
伊佐地 秀司
1
,
長沼 達史
1
,
川原田 嘉文
1
Shuuji ISAJI
1
,
Tatsushi NAGANUMA
1
,
Yoshifumi KAWARADA
1
1三重大学医学部第一外科
1The First Department of Surgery, Mie University School of Medicine
キーワード:
浸潤性膵管癌
,
治癒切除率
,
腹腔鏡
,
QOLの術式
Keyword:
浸潤性膵管癌
,
治癒切除率
,
腹腔鏡
,
QOLの術式
pp.311-318
発行日 1999年5月15日
Published Date 1999/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427900047
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浸潤性膵管癌自験例172例の外科治療成績を膵癌の進行度や進展度因子別に検索し,膵切除の適応や膵癌規約の問題点を検討した.Stage IVの進行癌が86%と大多数を占め,Stage IVの切除率は41.9%で,切除例中の治癒切除率は50%と高率であるが,その予後は不良であった.進行膵癌では切除を行っても,約半数の症例は癌遺残が明らかな非治癒切除であり,非治癒切除例の予後はバイパス手術例とほぼ同じである.膵癌手術例全体でみると,治癒切除ができた率は進行癌では21%にすぎず,特にS3,RP3,PV3,A3では2.2~10.9%にすぎない.これらの成績からみて,CTや腹腔鏡を用いて膵癌の進展度診断を的確に行い,切除の適応をより慎重に行うことが患者のQOLの面からも大切である.なおわが国の膵癌取扱い規約は煩雑で予後を必ずしも反映しない分類が含まれており.簡便で,臨床の場で使いやすい普遍性,国際性のあるStage分類の確立が望まれる.
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