精神看護 21巻4号 (2018年7月)

特集1 MSEを使って看護記録を書く!

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MSEは、Mental Status Examinationメンタル ステータス イグザミネーションの略。

患者さんの外観に現れる精神状態を観察して記録上に描写し、患者さんが語る体験をありのままに聴取して記録上に再現し、それらに対して適切な専門用語を用いて定義づけるアセスメント技術です。

MSEで看護記録を書きたいけれど、いきなりは難しいということを多くの人が実感していることと思います。

MSEを使って看護記録が書けるようになるためには訓練が必要です。

この特集を読んで、患者さんと会話をする時から記録に再現するまでを、順を追ってイメージできるようにしていきましょう。

アセスメントを完成させる練習問題にもぜひチャレンジしてください。

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この特集の目的

 毎日の看護記録に何を書けばいいんだろう? これで良い看護記録と言えるだろうか? 悩みますよね。精神科は本当に不思議なことに、あらゆる診療科の中で看護記録の独り立ち時期がすごく早い。新人は、数回、数日、看護記録の書き方(と言うより、その施設の記録に関する公式ルールと暗黙の了解)の手ほどきを受け、見よう見まねでやっていくものの、記録の基本形も、良い記録とはどのようなものなのかもわからないままの独り立ちです。

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あなたがこのケースの担当だったら

 ある看護場面を読みながら、MSEを用いてアセスメントし、看護記録を書くことを練習してみましょう。

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Q1.メモはどれくらい書けばよいのでしょうか?

A1.患者さんがどのような内的体験をしたのかは、患者さんがどのようにそれを話したのか、その内容からアセスメントをするので、看護記録には患者さんが話したセリフをできるだけ正確に書きましょう。たとえば、「夕焼け空がまさに血の色に見えた」と「夕焼け空がまるで血の色のように感じた」では言い回しが違うだけのようですが、前者は「幻視」、後者は「錯視」が疑われ、患者さんが見たものも体験のされ方も違います。こうした違いが読み取れるのは、単語だけでなく言い回しまで丁寧にメモにとり、そのまま正確に記録してこそです。

特集2 精神科で看取るために必要な技術と考え方(後編)

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 精神科では患者さんの高齢化が進み、65歳以上の入院者はすでに50%を超えて、31万人以上いると言われています。高齢化に伴い身体合併症を持つ患者さんも増加し、身体管理を行いつつ看取りに入るケースが増えている傾向があります。

 一方、精神科では、これまで看取りをあまり経験してこなかったこともあり、看取りに向けた身体疾患管理をどこまでどのように行ってよいのかについて、迷いの中で進んでいる状況があります。

 本特集は、看取りという枠の中での医療のあり方を考えていくための企画です。

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看取りの技術を上げるために

1.疼痛緩和の基礎

◎がん性疼痛緩和の基礎

 基礎的な麻薬の話もしていきたいと思います。

 WHOが示す3段階ラダー(図1)を見ると、第1段階ではまずは「非オピオイド鎮痛薬」であるNSAIDS(ロキソニンやボルタレンなど)やアセトアミノフェン(カロナールなど)を使って、疼痛緩和を図ります。それで疼痛緩和ができるのであれば、オピオイド=麻薬を使うことはありません。

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精神科病院で最期を迎える患者さんが増えてきた今、ご本人の尊厳を守るために医療はどうあるべきか。

このテーマを考えるにあたり、かつては高度な身体管理と医療を目指し、現在は考えを転換したとおっしゃる井口野間病院の看護部長・有本妥美氏と、その転機を作ったという同病院の理事長・高山成吉氏に、お話をうかがうことにしました。

特別企画 オープンダイアローグをやってみたら、こうでした。

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フィンランド発祥の精神科医療の一手法、オープンダイアローグが日本に紹介されて3年余り。

そろそろ日本でも実践する人たちが現れ始めています。

「オープンダイアローグをやってみたらどうだったか」を脚色なしに教えていただきました。

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私たちが地域で一緒に働くようになった馴れ初め

 2016年、私たちは訪問看護ステーション「ふぁん」と、訪問診療を主体とする精神科診療所「だるまさんクリニック」を立ち上げました。あれから2年、これまでにない新たなケアのありかたを模索して、夢中で走り続けてきました。

 開設に先立つこと1年前、意見の相違からそれまで勤務していた某精神科病院を辞職した西村は、さて勢いで飛び出してしまったものの、これからどうしたものかと半ば途方に暮れておりました。そんな時です、齋藤環氏の著作『オープンダイアローグとは何か』(医学書院)に出会ったのは。一読して、自分がずっと憧れていた精神科医療がここにある、と感じました。なんとかしてこの世界を実現できないか、そんな想いが、ずっと巡り続けました。

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オープンダイアローグを体験したナラティヴ研究者の視点から

 1990年代から2000年代にかけて、日本では「ナラティヴ(物語)」への関心が高まった。そして、それ以前から対話的技法をケア実践として行ってきた心理療法やカウンセリングなどの領域にとどまらず、医療全般が〈語り〉や〈対話〉に目を向け、時にはそれが持つ予想外の力に驚かされるようになった。こうした現象を広い視野で捉えると、20世紀に学問のさまざまな領域で同時多発的に生じた物語的転回と呼ばれる大きな潮流—言葉、対話、物語に注目し、それをその領域の方法論に組み入れる運動—が、医療実践の中で展開されているように見える。

 オープンダイアローグをそうした展開の中で捉えると、その発想の大胆さと共に、効果が実証されていることに刮目させられる実例になっている。筆者は実践家ではなく、ナラティヴや対話の展開を追っている研究者にすぎないが、書籍や講演会、ワークショップ等を通じて垣間見たオープンダイアローグに関して感じたことについて、少しばかりの分析をしてみたい。

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 週末になると、小学3年生になった息子の友達が家に遊びにくる。カードゲームをしたり、現代版ベイゴマみたいなオモチャで対戦したり、ボールを追いかけ回したりしているのだが、それなりの頻度で、いかにいま自分がつまらないか、という意思表示をしている。一丁前にため息をついたり、床にひっくり返って大の字になったり。それはそれはつまらなそうである。

 ああ、わかるわかる、と彼らを見ていて思い出す。そう、遊びにはうまく行くときと、うまく行かないときがあるのである。ただババ抜きをすれば、鬼ごっこをすれば、遊びになるという訳ではない。何かの遊びを「する」ことと、実際に「遊べている」ことは、全くの別物なのだ。

連載 一芸の人。・1【新連載】

歌会始バージョン 浜口 直樹
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 読者の皆さんは「歌会始」という言葉を聞いたことがありますか? 毎年1月に、皇居宮殿「松の間」で行われる新年恒例の宮中行事です。ニュースなどで見たことがある人もいるのではないでしょうか。天皇・皇后両陛下や皇族の和歌、そして一般の入選者の詠進歌が、伝統的な節回しで披露されます。

 2018年のお題は「語」。一般人からは2万1345首の応募があり、その中から10首のみが選ばれるというのですから、いかに稀なことかがわかります。

連載 幻覚・妄想を聞く。・1【新連載】

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意見が2つに分かれるのが興味深い

 私が当事者研究と出会ったのは5年前です。日々の苦労や生きづらさから「研究テーマ」を見いだし、仲間と対話を重ねることで新たな自分の助け方を創造する、大変ユニークな活動だと思いました。ぜひ取り入れたいと思い取り組んできましたが、疑問視する医療者がいるのも目の当たりにしてきました。

 今回、レビー症体型認知症を持つ人に当事者研究を始めようとしたのですが、その際にも精神科医から2種類の意見が出されました。「当事者研究は話を聞きすぎる。それはよくない」と批判する医師もいれば、「ついに認知症まで来ましたか! どんどんやってください!」とおもしろがる医師もいました。

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 前回は、日本の看護系大学と大学院の現在の状況と、大学院に進学するにはどのような条件があるのか、といった質問にお答えしました。

 今回は、大学院と看護のさまざまな資格との関係について、ご質問にお答えしたいと思います。

連載 訪問看護で出会う“横綱”級ケースにくじけないための技と型、教えます・7

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 「訪問看護で看護計画を活用するのが難しい」という悩みをよく聞きます。その場その時の利用者との対話で看護が展開されていくことが多い訪問看護では、看護計画に立ち戻ることを意識しづらいのかもしれません。けれども看護計画なしに進んでいくと、横綱級ケースであればあるほど、後から何をやっているのかがわからなくなり混乱してきます。

 看護計画とは、「相互に結んだ契約を記録したもの」*1です。医療者側が勝手に主導して立てたような計画であってはなりません。そこで今回は、私が所属する訪問看護ステーションみのりで、「利用者主体」の看護計画にするために前提としていることをご紹介したいと思います。

連載 栄養精神医学・3

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「鉄」は妊娠・出産に重要なミネラル

 鉄はメンタルヘルスにおいて大切なミネラルであるが、妊娠・出産においては特に重要である。妊娠すると鉄の必要量が増えるため、鉄欠乏は妊娠中や産後のうつ状態などの精神的な不調の一因となる。次号で詳しく述べるが、胎児の成長や中枢神経系の発達には鉄が必須であり、鉄欠乏状態での妊娠・出産は、早産や低出生体重、発達障害、統合失調症圏の発症などのリスク要因となる可能性がある*1。母親の心身を守るためだけではなく、産まれてくる子どもを守るためにも、鉄の理解は深めておきたい。

 世界保健機関によると、鉄欠乏症は世界で最も多い栄養障害であり世界人口の約8割が鉄欠乏症、約3割が鉄欠乏性貧血である*2。鉄の必要量が多く鉄欠乏性貧血を発症するリスクが高いのは、有経女性、妊婦、早産児・低出生体重児、生後6か月以上の乳児・幼児である*3

連載 ふしぎの国のデイケア・6【最終回】

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精神看護の老翁は風のように去りぬ

 別れはさみしい。区切りがついて、ほっとすることもあるし、せいせいすることだってあるけれども、同時にやはりさみしい。お別れによって、当たり前のように続いてきたものが途切れる。大切にしていたものが失われる。だから、さみしいし、時にはつらいこともある。

 だけど、別れをさみしく感じさせない技もある。「これで最後」であることを隠してしまえばいいのだ。そう、最終回だと気づかれないままにいなくなってしまえばいい。「さよなら」と言われるからさみしいわけで、薄くなり始めた頭髪がそうするように、別れを告げることのないままひそかに去られてしまうと、さみしいと感じることもない。「あれ? そういえば、最近あいつ見なくね?」「そうだっけ?」「わかんない。気のせいかもしんない」となってしまえば、さみしさに居場所はない。

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基本情報

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精神看護
21巻4号 (2018年7月)
電子版ISSN:1347-8370 印刷版ISSN:1343-2761 医学書院

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