特別企画 オープンダイアローグをやってみたら、こうでした。
オープンダイアローグと対話の文化
宮坂 道夫
1
1新潟大学大学院保健学研究科看護学分野
pp.383-386
発行日 2018年7月15日
Published Date 2018/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200506
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オープンダイアローグを体験したナラティヴ研究者の視点から
1990年代から2000年代にかけて、日本では「ナラティヴ(物語)」への関心が高まった。そして、それ以前から対話的技法をケア実践として行ってきた心理療法やカウンセリングなどの領域にとどまらず、医療全般が〈語り〉や〈対話〉に目を向け、時にはそれが持つ予想外の力に驚かされるようになった。こうした現象を広い視野で捉えると、20世紀に学問のさまざまな領域で同時多発的に生じた物語的転回と呼ばれる大きな潮流—言葉、対話、物語に注目し、それをその領域の方法論に組み入れる運動—が、医療実践の中で展開されているように見える。
オープンダイアローグをそうした展開の中で捉えると、その発想の大胆さと共に、効果が実証されていることに刮目させられる実例になっている。筆者は実践家ではなく、ナラティヴや対話の展開を追っている研究者にすぎないが、書籍や講演会、ワークショップ等を通じて垣間見たオープンダイアローグに関して感じたことについて、少しばかりの分析をしてみたい。
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