精神看護 21巻3号 (2018年5月)

特集 「委員会、このままでいいの?」—専門看護師にうまく機能するまでの経緯を聞きました

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「委員会が停滞し、ほとんど機能していない」と悩む声が全国から聞かれています。

ただ集まり、無駄な時間だったと感じることほど、つらいものはありません。

どうせ時間をかけて集まるならば、何かが生まれ、有意義だったと思いたい。

委員会メンバーの考えが発揮され、共に成長できるような委員会になるにはどうすればよいのでしょう。

そこでこの特集では、5人の精神看護専門看護師に登場いただき、各自の所属する施設において、停滞委員会をどのように打破し、活性化したのか、その経緯を教えてもらいました。

倫理委員会 川田 陽子
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臨床で“もやもや”と出合う

 看護師になって最初に配属された病棟は精神科老人病棟でした。ADLが低下し、食事・排泄・個人衛生など「日常生活行動全般が全介助」の患者さんも多くいらっしゃいました。

 初めは仕事を覚えるのに必死の毎日でしたが、そのうち「患者さんの意思はどこにあるのだろう。本当にこのケアで大丈夫なんだろうか」と考えるようになりました。一日中食事も摂ろうとせず独語を繰り返している患者さん、拘縮が進んで失禁時のおむつ交換ですら骨折のリスクになる患者さん、見たものすべてを口に入れてしまい何度も窒息しかけている患者さん……そうした意思疎通が難しい患者さんと日々接するなかで、もやもやした思いが私のなかで膨らんでいきました。その後、開放病棟に異動になったのですが、開放病棟ですらタバコは1日何本まで、ラジオ体操は全員参加など日々細かくルールが決まっていて、患者さんたちは時々不満を言いながらも守ってくれていました。

摂食嚥下チーム 後藤 優子
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 私は、NST・褥瘡対策委員会にメンバーとして属し、さらにその下位部門の摂食嚥下チームを担当しています(図1)。

 まず書かなければいけないのは、今回の内容は専門看護師(CNS)の目線からみたものであり、実際には多くの職種の人たちとの協働によってなりたっている活動だということです(後述します)。

感染対策委員会 金﨑 美奈子
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私はなぜ感染症看護専門看護師になったか

 当院は、精神科病棟と一般科病棟を併せ持つ複合医療施設です。私は2017年3月に、感染管理室の専従者となりました。院内全体の感染管理を担っている立場上、院内で生じた感染にかかわる事柄を委員会で報告し、解決すべき課題を話し合い、対策に反映させています。また、各部署の感染対策を担うリンクナースの活動を支援しています。

 こうした活動のなかで、感染症看護専門看護師として心がけていることは、現場のニーズを大事にすることです。きっかけは、かつて介護施設で経験したノロウイルス感染症でした。何度も部屋から出てくる隔離中の認知症患者さんを見つけては、部屋に戻すことを繰り返す対応に心苦しさを感じました。感染対策が必要だとわかってはいたものの、患者さんの思いを大事にしたい気持ちとどう折り合いを付ければよいのかわからず、もやもやしました。当時は無知でしたので、知識を持つことで何か解決できるのではないかと思い、専門看護師の道へ進みました。

教育委員会 小野 悟
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学びに渇望した自分の経験から

 院内教育に関して振り返ると、私が約15年前に看護学校を卒業して当院に入職した頃は、系統だった教育体制が整備されておらず、研修はトピックス的なものに限定されていました。そのため、日々の業務の中で先輩の患者への対応を見て、精神科看護師としての立ち居振る舞いを学ぶというのが自己成長の手段でした。

 臨床におけるベテラン看護師の熟達したスキルは素晴らしいのですが、こちらは理屈抜きに“あの患者さんにはそうすればいいんだ”と真似ようとするため、要領はよくなるものの、その反面応用が利かないという危うさを自分でも感じていました。この頃から看護を勉強したい、理解を深めたいという渇望が沸々と湧いてきたことをよく覚えています。

行動制限最小化委員会 則村 良
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聞くべきだった、CNSを委員会に入れる意図

 駒木野病院(以下、当院)で働いて9年目になります。大学院を修了してすぐに入職し、病院・看護部の理解のもと、当初からCNSとして病院を横断的に活動させてもらってきました。

 行動制限最小化委員会(以下、委員会)の一員になったのは、入職して半年が過ぎようとしていた頃です。以来、途中でもう1人のCNSに1年ほど委員会内でのCNSの活動を託していた期間はありましたが、継続して7〜8年ほどかかわっています。

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組織横断的な課題を解決する装置としての委員会

 精神看護専門看護師(CNS)の認定を受けてから、これまでいくつかの委員会に携わる機会を得ました。経験を重ねてしみじみ思うのは、管理上の権限を持たないCNSにとって、委員会活動は組織の意思決定に直接かかわることのできる貴重な機会だということです。直接的に患者さんや家族へケアをすることや、職員へ相談・教育することでは解決できないような、組織の文化やルール、システムを変革するのに不可欠なフィールドでもあります。

 一方で、一般の職員から見ると、委員会はなくとも臨床は回るし、そのために人員や時間が割かれることに負担や不満を感じることも多いものです。私も病棟に所属しながら委員会デビューをした頃は、後ろ髪を引かれるような気持ちで病棟を後にし、自分が抜ける時間の業務をカバーしてくれる職員に、委員会活動を通じて何か目に見える貢献をしなければと焦っていたことを思い出します。

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まだ資格は取れてないのに書いちゃいますが

 公認心理師という新しい国家資格について書いてみようと思う。ただ、あらかじめ断っておくと、これは私見である。完全な私見である。

 なぜ私見であることを強調するかというと、私がまだ公認心理師ではないからだ。また、公認心理師資格を管轄する厚生労働省・文部科学省の人間でもなく、国家試験や研修などを運営している心理研修センターの関係者でもない。したがって、私は公的な情報を語れる立場には全くない。

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 身体拘束をしない医療のための試みや検討が、今、医療界で大きく動いている。

 2018年1月21日、名古屋市のウインクあいちで「看護管理者応援研修 臨床で身体拘束をしないための看護管理者の役割」が開かれた(主催:日本看護倫理学会臨床倫理ガイドライン検討委員会)。

 当日は、一方的な講義ではなく、参加者と意見交換をしながら、自施設・自部署での目標立案まで行うことが目指されたという。この会に、協力者(演習担当)の役割で参加した寺岡征太郎氏にレポートしていただいた。

特別記事 「痛み」をめぐる最新医療情報(後編)

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痛みを数値化できるメリットを生かして

 痛みの検査は、これまでビジュアル・アナログ・スケール(VAS:Visual Analoge Scale)やNRS(Numerical Rating Scale)が簡便な方法として臨床で用いられてきた。しかしVASやNRSは患者さんがもつ不安などの要素によって結果が左右されやすく、実際の痛みを正確に反映しているとは限らないという弱点がある。

 近年、知覚痛覚定量分析装置PainVisionが開発され、患者さんの知覚や痛みを数値化して評価できるようになった。

連載 栄養精神医学・2

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栄養精神医学におけるレジリエンス

 精神医学とは、各種精神疾患に関する診断、予防、治療、研究を行う医学であるが、「栄養精神医学」は、精神症状・身体症状・向精神薬に対する食事・栄養・腸管による影響を考える精神医学の一分野である。

 食事や栄養の影響で精神症状がより重症化していたり、腸管の状態が経口薬の血中濃度に影響を与えていたり、腸内環境の悪化が精神症状に影響していたりすることがある。精神疾患の患者の症状に対して、身体的な要因である栄養学的な影響を考慮する必要があるが、実際の精神科臨床ではあまり考慮されていない。その結果、症状が遷延または難治化していたり、ベンゾジアゼピン系をはじめとした向精神薬の多剤の一因にもなっていたりする可能性がある。そのため、必要な検査をきちんと行い、栄養学的な要因を考慮することで治療効果が高められると考えられる。食事や栄養面での改善を行っても、腸管の状態が悪かったり、食欲がなかったりすると、栄養学的な治療はうまくいかない。そのような場合は、腸管や食欲の回復につながる薬膳や漢方生薬の活用も積極的に考慮されるとよい。

連載 福祉を下に見てはいけません。地域に出て見えてきたこと・2

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 「せんせえ……、吐いたツバ、飲み込むようなこと言わんでほしいですなあ……!」

 15年ほど前、病棟の診察室で強面のおっちゃん患者さんのこのセリフを聞きながら、僕の頭は真っ白に。冷や汗をかいて固まってしまいました。と同時に、当時師事していたドクターの言葉、「君の頭の中は“パノプティコン”みたいなもんやのお」がグルグルと反響していたのです。

連載 訪問看護で出会う“横綱”級ケースにくじけないための技と型、教えます・6

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事例

 Iさんは強迫性障害の診断を受けている40代の女性です。食事を摂っても空腹感が満たされず、食事量が増えるに従い胃に負担がかかり食べられなくなりました。

 身長は170cm以上あるのですが体重が40kg以下になることもあり、入院となりました。入院後に検査をしましたが身体的な異常はみつからず、治療は精神科病棟で開始されました。病棟では当初、経鼻経管栄養にて栄養の確保をしていたのですが、途中で食事が摂取できるようになったため退院となりました。しかしそれもつかのま、自宅で1週間ほど過ごすと入院前と同じように食事量が少なくなってきてしまいました。そこで訪問看護の依頼が入りました。

連載 ふしぎの国のデイケア・5

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金曜日は疲れている

 金曜日は足取りが重い。僕は徒歩出勤だったから、テンションを上げるためにイヤホンでジャスティン・ビーバーを聴きながら歩く。ダンスミュージックに包まれながら、小禄の坂を上り、海軍壕トンネルを抜ける。そこまでくればクリニックまであと2分なのだけど、そのまま仕事に突入する気合いが出てこない。だから、高架下でタバコを吸って、ぼーっとする。ジャスティンの甘い歌声がうるさく感じられるくらいには、金曜日は疲れている。

 そこに、同じく徒歩出勤のイケメン看護師シンイチさんがやってくる。

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 私のコンサルタント会社「Office-Asako」では、大学や大学院進学について相談されることがあります。看護の世界でもそれだけ高学歴化が進んできたからだと言えるでしょう。けれども看護の大学や大学院とはどういうところか、どんな人が何のために行くのか、具体的には知らないという人はまだまだ多いと思います。そこで、今回はそれらにまつわるQ&Aに答えていきます。

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研究の動機

 今回私は、友人である中村創さん(精神看護専門看護師/千歳病院・看護主任)との関係について当事者研究を行いました。

 中村さんとの関係は、大学時代に始まります。当時は何かといつも行動を共にして過ごしました。看護師としての就職先も同じく、北海道の浦河赤十字病院であり、はたまた大学院でも一緒に勉強し、現在も活動を共にするなど、18年間紆余曲折ありながら付かず離れず過ごしてきました。

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基本情報

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精神看護
21巻3号 (2018年5月)
電子版ISSN:1347-8370 印刷版ISSN:1343-2761 医学書院

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