特別記事
ペプロウの対人関係論を、臨床の実践に落とし込んで理解しよう
小林 信
1
1東京医科大学医学部看護学科
pp.552-561
発行日 2017年11月15日
Published Date 2017/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200418
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ペプロウは難しい?
看護師なら誰しも看護学生の頃、「ヒルデガード・E・ペプロウ」という、アメリカの最も古い看護の理論家の名前を一度ぐらいは聞いたことがあるだろう。彼女は看護の大学院教育の発展に大きな足跡を残し、アメリカの専門看護師育成の基礎を築いたことで有名だ。「精神科看護の母」とも呼ばれ、1952年にいわゆるペプロウ理論と呼ばれる著書『Interparsonal relations in nursing』を上梓した。
この理論の発表以前、アメリカで看護師の主な役割は、医師の処方した薬を患者に飲ませたり、体温や血圧を計り、排泄や清潔の世話をすることだと思われていた。しかしペプロウは、患者と看護師の“相互作用”に注目し、患者の不安や悩みに寄り添い、患者が病気になったことから何かを得て成長するのを助けること、すなわち「治療的関係」が看護師の大きな役割であることを指摘したのである。ペプロウの本は日本でも1973年に『人間関係の看護論』(医学書院)として翻訳、出版され、今でも多くの人、特に精神看護に興味関心のある看護師に読み続けられている。
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