JIM 8巻2号 (1998年2月)

特集 外来でできる運動処方 最新ガイド

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Question&Answer

Q:運動は,やればやるほど効果が出るのか?

A:生活習慣病(糖尿病,高血圧,高脂血症)の運動は,やりすぎは禁物.息が弾むくらいの運動を!

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Q:運動処方における基本的心構えとは?

A:患者には,適切な援助のもとに自ら運動習慣を身につける能力があると認識すること.

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Q:運動処方を構成する4要素とは?

A:種類,頻度,強さ,時間

One more JIM 近本 洋介
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 Q1 運動処方の成否は,結局のところ患者本人のやる気次第なので,どんなに医師がアドバイスしてもむだではないでしょうか.

 A 確かに最終的決定を下すのは本人である.医師が患者の意志に反して無理やり運動を強制することはできない.しかし,行動科学的研究によると,健康行動に関係する意志決定には,様々な心理社会的要因が関連している.医師が果たせる役割は患者の「コーチ」のようなものなので,患者の自発的行動変容をサポートするように心掛けたい.(近本洋介→本号p96)

患者の評価法

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Q:有酸素運動能の評価はなぜ必要か?

A:年齢,基礎体力,基礎疾患により個人差.が大きいので,至適運動強度には個別メニューが必要.

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Q:レジスタンストレーニグ処方成功の鍵は?

A:患者の適性を考慮して多彩な処方を計画,定期的な刷新をする.また正確な動作を指導.

体組成評価とその応用 久保 明
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Question&Answer

Q:体組成評価のポイントは?

A:体脂肪率,内臓脂肪の占有率などの変化.

体の柔軟性の評価と指導 下野 研一
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Q:ストレッチングの指導において重要な点は?

A:個々の柔軟性を十分に評価し,年齢,性,体格,運動レベルなどを考慮して指導すること.

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Q:現在,運動処方が保険診療で認められている内科疾患は?

A:虚血性心疾患(心筋梗塞,狭心症),開心術後,高血圧

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Question & Answer

Q:運動不足は,発癌の危険因子になるか?

A:規則的に運動する人は,大腸癌や乳癌にはかかりにくいのかも知れない.

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Question&Answer

Q:うつ病の運動処方の内容と進め方は?

A:有酸素運動をゆっくりとしたペースで始めるようにする.焦りは禁物である.

運動と線溶系 椙江 勇 , 塩野 裕之
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Q:抗血栓性の効果的な運動処方は?

A:あまり運動強度にこだわらず持続的に行うことが大切で,軽度な水中運動が最適である

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Q:患者が継続しやすい運動の目安は?

A:比較的中等度の運動を1日合計30分行う.

ミニテクニック

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 パルスオキシメータは末梢循環不全時などでは問題があるものの,低酸素血症(酸素飽和度(SpO2)低下)の検出に威力を発揮する.その手軽さ,非侵襲性,そして反復(連続)測定が可能なことにより,呼吸器疾患を中心に経過観察や病態の把握,治療方針決定への足掛かりとして活用している.

 例えば,外来で慢性呼吸器疾患患者に対してSpO2,心拍数を併せて記録し,病状経過判定に用いたり,患者への説明に利用する.また,急性期における気管支喘息発作(図1)や脳卒中,心不全などで一日を通してSpO2がなるたけ90数%を維持できるよう酸素投与量を調整するのに用いる.意外に見逃されているのが過換気症候群患者での発作後や睡眠中,あるいは,一見寛解したと見える喘息発作後患者での思いがけないほどのSpO2低下である.前者は肺胞低換気,後者は末梢気道病変の残存が示唆されるが,場合によっては血液ガスを施行して再評価し,治療上の参考にする.

総合外来

チック症 本城 美智恵 , 長谷川 裕美
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 ■チック症は小児科外来でみることが少なくない.カウンセリング,心理療法,薬物療法と総合的に治療する.思春期以後もトウレット障害が続く難治性もある.

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 ■結核性胸水の診断にどの検査を用いたらよいかは,検査の特徴,感度や特異度を考慮した臨床疫学的思考が役に立つ.

ひとりでできるEvidence-based Medicine・9

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 ■「危険率」,「信頼区間」,「有意である」,「有意でない」など,これらの単語は論文を読むときには決して避けて通れないところである.しかしこの統計学に真っ向から挑んだのではかえって効率が悪いし,筆者自身にそのような専門的な知識があるわけでもない.本稿では論文を読むという限定した立場で統計学を解説したい.

ワークショップ はじめての漢方診療・16

陽明病とその治療 三潴 忠道
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 ■陰陽を病気の時期でとらえると,病の前半に当たる陽症期はさらに3つに分けられる.その第3期に当たる陽明病は,病が裏,つまり身体の奥に進み,生体が病因に負けてはならじと猛反撃にでる時期である.実証のみで,熱が中心の病態である.

臨床医のための口腔ケア・7

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 ■精神障害者の場合,セルフケアは困難で,看護者の声掛けや誘導,促しにより口腔衛生を保つということが重要な課題となる.

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 ■日本と米国の医学教育を比較し,日本の医学教育の問題点を述べる.

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 患者は,25歳,男性.1992年8月から1ヵ月余りインド,ネパールを旅行・インド入国後,抗マラリア薬(クロロキン)を週1回内服.帰国後数回内服し中止.帰国直後,1日発熱と下痢があったが,すぐに回復.以後発熱はなし.

 1993年8月に全身倦怠感,悪寒戦藻を伴う39℃代の発熱.外来受診にて,消炎鎮痛剤,抗生物質,解熱剤処方され,一時解熱するが,再度40℃台に上昇し来院.詳細な病歴聴取により,マラリアを疑い,緊急に血液塗抹標本を作成し,形態,臨床経過,頻度より3日熱マラリアと診断した.

Update '98

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 米国ではManaged care,特に定額の医療費を医療機関に前払いする方式のHMO (health maintenance organization)の浸透により低コストの治療について様々な努力がなされている。感染症治療では安価な抗生剤を使用するだけでなく,なるべく経口の抗生剤を使用することで入院期間を短縮し,院内感染,副作用,静注手技そのものにかかる費用などの「隠れたコスト」も削減している.このような背景でいくつかの古い抗生剤が再評価されており,紹介する論文では,経口でも静注と同等の薬物動態を示すDoxcycline (ビブラマイシン), Minocycline (ミノマイシン), Trimethoprim-sulfamethoxazole : TMP-SMX (バクタ),Metronidazole (フラジール)の新しい使用法について書かれている.これらのうちビブラマイシンは市中肺炎の治療薬として非常に有望としている.古典的なテトラサイクリンは肺炎球菌に効果が弱かったため,ビブラマイシンも同様に無効と信じられていたが,これは誤解で通常の肺炎球菌だけでなく最近問題のペニシリン耐性肺炎球菌にも有効であり,異型肺炎を含めた市中肺炎の起炎菌をほとんどカバーできる.

 以上より中等度までの市中肺炎では経口のビブラマイシンで十分治療可能としている.

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 皆さんは,外来における処方や簡単な検査をするにあたって,インフォームド・コンセント(IC)を意識されていますか?本来は「実施しようとする処置や治療についての基本的な情報を前もって患者に提供し,かつ患者がこれに同意してからでなければ,医師は患者に手を加えたり治療を開始したりしてはいけない」ということがICの根本の考え方であり,法的原理です.このたび,上記のことを検証するために,興味ある研究がされていましたので,ご紹介したいと思います.

 Braddockらは,ICのプロセスが外来という環境でどのように実行されたかということを,オレゴン州ポートランドの市街地にある53の診療所において調査しました.そして,qualita-tive researchの手法により,外来インタビューの録音テープを聴いて,臨床決断の有無とその際のICが理想的に行われたかどうかが検証されました.

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 プライマリケア医は腰痛患者をみる機会が多いが,腰椎の単純X線写真を半ば自動的にオーダーしていることがある.患者の希望もあるが,われわれの総合外来でもコンサルテーションを行う際,整形外科医から要請を受けるので4方向撮影がほぼルーチン化している.単純X線写真では,多くの患者で異常を見いだすことができず,また形態的な異常が症状の原因であると決定できないことはよく知られた事実である.

 米国のAgency for Health Care Policy and Research (AHCPR)は,最近,成人の急性腰痛治療ガイドラインを発表したが,骨折,腫瘍,感染の「危険信号」を識別する意味から初診時に積極的にX線撮影を行うことを提言している.危険信号とは腫瘍や感染では,①50歳以上,20歳以下,②癌の既往,③最近の発熱,悪寒,原因不明の体重減少の全身症状,④脊椎の感染を起こす危険因子,例えば最近の細菌感染,静注薬物の使用,免疫抑制,⑤仰臥位での疼痛増強や夜間の強い疼痛,をあげている.

リウマチ診療の進歩 稲田 進一
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 リウマチ(狭義には慢性関節リウマチ,RA)という言葉から,その病因は不明で治療方法がなく,関節破壊の進行した障害患者さんが増加していると想像されるドクターも少なくないと思われる.しかし,診療面においても,また行政面においてもいろいろな点で進歩が見られている.

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 1994年米国ボストンにある世界的に有名なDana Farber癌研究所付属病院で乳癌の患者が抗癌剤のシクロフォスファミドを誤って4倍量投与され死亡するという事件が起こった.この事件では被害者が著名な新聞社の医療問題担当の記者であったこともあり,マスコミを巻き込んで,後にDana Farber事件として記憶されるような大事件となった1)

 この事件は,癌治療施設における抗癌剤投与量確認システムに欠陥があるのではないかという危惧を一般大衆に抱かせることになった.一方,この事件がマスコミで報じられたことがきっかけとなり,全米の7割以上の癌専門医療施設で,抗癌剤の誤投与を防ぐためのプログラムの導入あるいは見直しが行われたという1)

褥瘡の病態と治療 関口 忠司
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 褥瘡に関しては看護系の雑誌に多く取り上げられるが,単に看護の問題だけでなく,医師,家族を含めた問題であろう.また,局所の問題にとどまらず全身状態と深くかかわりを持ち,局所治療,全身治療に最適な方法を選択しなければならないし,保存的治療の限界も判断しなければならない.このような褥瘡に関しての特集が「医学のあゆみ」(1996年9月14日号)1)2)に組まれている.

 褥瘡の在宅治療:生活者である介護者の立場や事情を考慮して,介護者の精神的,身体的,経済的負担を軽減する援助が必要である.全身状態の管理を第一に考え,予防と早期治療を行い,膀胱留置カテーテルの一時的使用も考慮する.在宅福祉サービスの利用を勧める.先の見えない看護者の精神的負担を軽減するため経過を十分に説明し,観察法,予防法,処置の方法などのマニュアルを作って介護者に渡しておく,介護者の努力を素直に評価するなど,病院施設内とは違った観点で行われなければならない.

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 脂肪組織は,生体の余剰エネルギーを脂肪として貯蔵する組織と考えられていたが,種々のcytokin,ホルモンを分泌し体脂肪のfat controllerとして一種の内分泌臓器とも考えられ,adipo-endocrincolgyといった研究分野が進展しつつある.

 Friedmanらにより発見されたleptinは167個のアミノ酸よりなるペプチドホルモンでob遺伝子にコードされており,血液中,髄液中にも認められる循環ホルモンであることが明らかとなった1)2)

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 永らく画像診断の主役であったアナログのX線写真も,CR (computed radiography)やCT,MRIといった新しいディジタルの画像診断機器に主役の座を譲りつつある.また情報化という現代社会全体の大きな潮流の中で,紙またはフィルムで保存することが原則であった診療諸記録も「改ざんの恐れがないことが担保されていれば,電子媒体へ保存しても違法でない」(「帳票記録の厚生省見解」1993年厚生省健康政策局指導課監修.『医療監視必携』より)とされるようになった.そして1994年3月には「X線写真等の光磁気ディスク等への保存について」という厚生省健康政策局長通知が出され,医用画像の電子保存への道が開かれたのである.

 具体的には,厚生省の示した,①安全性,②長期再現性,③共通利用性の3つの技術的基準に則り,(財)医療情報システム開発センター(MEDIS-DC)が制定した共通規格の技術的基準を満たし,MEDIS-DCから発行される「電子保存の適合性証明」を受けた機器を用いて保存する場合にのみ電子保存が認められている.これは裏を返せば,一般のパソコンショップで購入した安価な光磁気ディスクなどを用いて画像データを保存したとしても,法的に医用画像を電子保存しているとは認められないことを意味している.

基本情報

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JIM
8巻2号 (1998年2月)
電子版ISSN:1882-1197 印刷版ISSN:0917-138X 医学書院

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