Update '98
古い抗生剤の新しい使い方
鄭 東孝
1
1国立東京第二病院総合診療科
pp.117
発行日 1998年2月15日
Published Date 1998/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414902369
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米国ではManaged care,特に定額の医療費を医療機関に前払いする方式のHMO (health maintenance organization)の浸透により低コストの治療について様々な努力がなされている。感染症治療では安価な抗生剤を使用するだけでなく,なるべく経口の抗生剤を使用することで入院期間を短縮し,院内感染,副作用,静注手技そのものにかかる費用などの「隠れたコスト」も削減している.このような背景でいくつかの古い抗生剤が再評価されており,紹介する論文では,経口でも静注と同等の薬物動態を示すDoxcycline (ビブラマイシン), Minocycline (ミノマイシン), Trimethoprim-sulfamethoxazole : TMP-SMX (バクタ),Metronidazole (フラジール)の新しい使用法について書かれている.これらのうちビブラマイシンは市中肺炎の治療薬として非常に有望としている.古典的なテトラサイクリンは肺炎球菌に効果が弱かったため,ビブラマイシンも同様に無効と信じられていたが,これは誤解で通常の肺炎球菌だけでなく最近問題のペニシリン耐性肺炎球菌にも有効であり,異型肺炎を含めた市中肺炎の起炎菌をほとんどカバーできる.
以上より中等度までの市中肺炎では経口のビブラマイシンで十分治療可能としている.
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