特集 失神診療をきわめる
知っておきたい検査法
②ティルト試験
鈴木 昌
1
1慶應義塾大学医学部救急医学
キーワード:
血管迷走神経失神
,
神経調節性失神
,
立位耐性
Keyword:
血管迷走神経失神
,
神経調節性失神
,
立位耐性
pp.312-314
発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100318
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ティルト試験(head-up tilt test : HUT)(図1)は,体位変化に伴う循環変動の生理学的研究に1950年代から用いられてきた.当時は,臨床検査として用いられず,長期臥床に伴う起立性低血圧に対するリハビリテーションに用いられてきた.しかし,失神が心臓性突然死の前兆と認められ,失神の原因を診断する重要性が高まり,1986年に血管迷走神経失神(vasovagal syncope : VVS)をHUTによって診断した報告1)が行われてから,HUTは急速に普及し,現在ではVVSのgold standardとみなされるようになった.現在,複数発表されている失神の診療ガイドライン2, 3)では,HUTがその診断に不可欠な検査として記載され,米国では循環器専門医のみならず一般内科医が行う検査となっている.しかし,HUTに共通したプロトコールが存在しなかったために,感度や特異度が報告によって異なり混乱が生じた.そこで,American College of Cardiology(ACC)は1996年にExpert Consensus Documentを発表している4).
本稿では,このExpert Consensus Documentをもとに,私見を交えて概説する.
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