Update '98
急性腰痛患者に腰椎単純X線撮影は必要か
今中 俊爾
1
1佐賀医科大学総合診療部
pp.125
発行日 1998年2月15日
Published Date 1998/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414902373
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プライマリケア医は腰痛患者をみる機会が多いが,腰椎の単純X線写真を半ば自動的にオーダーしていることがある.患者の希望もあるが,われわれの総合外来でもコンサルテーションを行う際,整形外科医から要請を受けるので4方向撮影がほぼルーチン化している.単純X線写真では,多くの患者で異常を見いだすことができず,また形態的な異常が症状の原因であると決定できないことはよく知られた事実である.
米国のAgency for Health Care Policy and Research (AHCPR)は,最近,成人の急性腰痛治療ガイドラインを発表したが,骨折,腫瘍,感染の「危険信号」を識別する意味から初診時に積極的にX線撮影を行うことを提言している.危険信号とは腫瘍や感染では,①50歳以上,20歳以下,②癌の既往,③最近の発熱,悪寒,原因不明の体重減少の全身症状,④脊椎の感染を起こす危険因子,例えば最近の細菌感染,静注薬物の使用,免疫抑制,⑤仰臥位での疼痛増強や夜間の強い疼痛,をあげている.
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