特集 精神疾患と誤診してはならない器質的疾患
各論
成人型シトルリン血症
神代 龍吉
1
1久留米大学医学部医学教育学
キーワード:
高アンモニア血症
,
シトルリン血症
,
シトリン欠損症
,
尿素サイクル異常症
Keyword:
高アンモニア血症
,
シトルリン血症
,
シトリン欠損症
,
尿素サイクル異常症
pp.104-107
発行日 2011年2月15日
Published Date 2011/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102095
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Case
脳死肝移植により代謝異常が是正された成人型シトルリン血症の例
患者:35歳,男性.
家族歴:両親が従兄妹同士の血族結婚.妹がSLE.
既往歴:4~5歳ころより豆類を好んだ.
現病歴:33歳時,飲酒後に室内徘徊,壁にぶつかるなどの異常行動が出現したが翌朝には回復.3カ月後にも同様の行動があった.13カ月後に3度目の発作があり,35歳の時に精神科を受診した.脳波で3相波はあるも精神疾患には相当せず,消化器内科へ転科となった.諸検査で肝炎,肝硬変,門脈大循環短絡路がなく,脂肪肝を認めた.生化学検査にてアンモニア,シトルリン,アルギニンが高かったため,成人型シトルリン血症を疑った.度重なる高アンモニア血症(最高900μg/dl)のため意識障害や着衣失行,失書など多彩な精神神経障害が持続した.内科的に限界と判断し,1998年12月22日にアメリカで脳死肝移植を受けた.術後に代謝異常はすべて是正され50日目に帰国した.摘出肝組織のアルギニノサクシネート合成酵素(ASS)蛋白の発現低下を確認した.後日,SLC25A13遺伝子の変異も同定され,成人型シトルリン血症(シトリン欠損症)と確定診断された.詳細は文献1)を参照.
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