特集 臨床医のための産業医マニュアル
【現場に応じた産業医の1日】
職場復帰に向けて
津久井 要
1
1横浜労災病院心療内科
キーワード:
職場復帰支援
,
職場復帰準備性(J1)
,
睡眠覚醒リズム
,
再発予防
,
うつ病
Keyword:
職場復帰支援
,
職場復帰準備性(J1)
,
睡眠覚醒リズム
,
再発予防
,
うつ病
pp.815-819
発行日 2014年9月15日
Published Date 2014/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414103334
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Case
うつ病から回復し,無事復職に至った一例
患者:41歳,男性.製造業営業職(営業職13年目).
既往歴:特記すべきものなし.
家族歴:精神疾患の負因なし.
性格:周囲に気を遣う穏やかな性格で,これまで仕事と家族を大切にしてきた.
現病歴:6カ月前から不況のあおりを受け営業成績不振となり,これを直属上司A氏から2時間連続して叱責され,朝礼で他のスタッフの前でも面罵される機会が重なる.2カ月前には親しい同僚が異動となり,結果,上司A氏と1対1になる機会が増える.同時期より頭から仕事のことが離れなくなり,体重減少,中途覚醒,全身倦怠感などが出現し,「楽なんだろうな…電車に飛び込んじゃえば」と出勤時に考えるに至る.これらが産業医との面談で本人より語られたため,医療機関紹介受診となる.
診察の結果,うつ病(中等症エピソード)と診断され,自宅療養と薬物療法(セルトラリン100mg,アルプラゾラム1.2mgほか)が開始される.自宅療養開始2カ月後,主治医より職場復帰可能の診断書が提出される.これを受け産業医は,生活リズム,疲労感,体力回復等の調整・評価目的に出勤練習を開始.あわせて,今回の発症経緯を振り返り,同じことを繰り返さないために生活・業務上で何を軌道修正し,どのような心身の変調が出現したら要注意であるのかについて検討した.これらのプロセスを経て職場復帰し,その後長期にわたり順調な経過を得た.
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