JIM臨床画像コレクション
上腸間膜動脈症候群の腹部エコー所見
木村 琢磨
1
,
青木 誠
1
1国立病院東京医療センター総合診療科
pp.656
発行日 2003年7月1日
Published Date 2003/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100666
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症例は26歳の女性.数カ月続く嘔気・嘔吐,心窩部痛,腹部膨満を訴え外来を受診した.身長155 cm,体重37 kg.身体所見上,心窩部に軽度の圧痛を認めるほか特記すべき所見を認めず.上部消化管内視鏡でも症状を説明しうる所見を認めなかった.その後,下痢を頻回に認めたため過敏性腸炎を疑い,内服にて経過観察とした.しかし,症状が遷延するため腹部超音波を施行したところ,大動脈と上腸間膜動脈(superior mesenteric artery : 以下SMA)の分枝角に狭小化がみられ(表紙写真・左),SMA症候群と考えられた.
SMA症候群は,上腸間膜動脈性十二指腸閉塞症ともいわれる.その病態は,十二指腸水平脚が大動脈とSMAに圧迫されて生じる通過障害であり,原因としてるいそうによる腸間膜脂肪の減少,腰椎前彎などがいわれている1).症状は嘔気・嘔吐のほか,仰臥位で増悪する腹痛が特徴的とされるが,本症例では明らかではなかった.
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