Editorial
産業医はワクチンだ
伊藤 澄信
1
1国立病院機構本部総合研究センター臨床研究統括部
pp.783
発行日 2014年9月15日
Published Date 2014/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414103324
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オフィスで管理職をしていると,部下の勤務時間管理や体調管理が気になる.とりわけ,一番頼りにしている事務官の超過勤務時間が100時間を超え,産業医面談の対象になったりするとなおさらである.企業の経営者の方も同様のようで,経営者から部下の方をご紹介いただくことがある.経営者も知っているし,紹介された方(患者)も知っているし,産業医と同じジレンマに悩むことになる.産業医制度指定講習会に参加しても,職場復帰のコツや産業医のジレンマ,自閉症などの方の職場への適応障害など,すっきりしない疑問点を持ち合わせていた.
本特集はそんな臨床医の悩みを解消することを目的に企画した.職場復帰の可否判断にはいつも悩んでいたが,津久井先生の「午前中から図書館などへ行けて午後には軽い運動が可能である」といった明確な指標は,明日の診療の役に立つ.産業医に期待されている役割は職場における健康障害の予防であろう.残念ながら平成24年に労災申請された印刷業務に従事した労働者から発症した胆管がん症例はなぜ防げなかったのか,その疑問にも本特集は対応した.
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