特集 胸痛患者をみたら
症状からのアプローチ
②筋骨格系由来の胸痛の診断
小林 裕幸
1
1防衛医科大学校病院総合臨床部
キーワード:
肋軟骨炎
,
筋肉痛
,
帯状疱疹
,
肋骨骨折
Keyword:
肋軟骨炎
,
筋肉痛
,
帯状疱疹
,
肋骨骨折
pp.206-208
発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100250
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若年胸痛女性に多い肋軟骨炎
症例1は,日常でよく遭遇する症例で,いわゆる神経痛ではなく肋軟骨炎のケースである.問診上,数秒続く短時間の鋭い痛みで安静時に繰り返していないかの情報を引き出す.触診では,痛みの部位に一致した圧痛を探すことができれば,診断は比較的容易である.このような症例では第2,第3肋骨-肋軟骨結合部に腫脹を伴わない圧痛を認め,患者の訴える痛みと一致し再現することが可能である(reproducible,再現性あり).とくに若い女性では,女性ホルモンの影響もあり胸郭が変化する時期なので,この肋骨-肋軟骨結合部(図1)に疼痛を自覚することが多い.治療は,疼痛時に鎮痛薬を内服しても間に合わないことが多いが,回数が多い場合,患者が希望した場合はロキソニン(R)などの鎮痛薬を処方するか,ひどい場合は局所麻酔薬を注射することもある.
また,このような肋軟骨炎で受診する患者は,心臓や肺疾患,骨折を心配して受診する人が多いことにも留意する.肋軟骨炎を患者に説明するうえで,胸部X線を撮影し,肺,心臓,肋骨に異常ないことを確認し,肋骨から肋軟骨に移行する部位の痛みは軟骨なのでX線に映らないことを説明すると納得してくれることが多い.
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