JIM臨床画像コレクション
「皮膚幼虫移行症」と「内臓幼虫移行症」
藤田 紘一郎
1
1東京医科歯科大学大学院国際環境寄生虫病学
pp.286
発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100577
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幼虫移行症には内臓幼虫移行症と皮膚幼虫移行症の2つの型がある.内臓幼虫移行症はイヌ糸状虫,イヌ・ネコ回虫,アニサキス,広東住血線虫,宮崎肺吸虫などの寄生虫が,幼虫のままヒトの肝臓,肺,消化管,眼,中枢神経系に侵入してそれぞれ症状を示す.
表紙左の眼底写真は,イヌ回虫幼虫移行によってぶどう膜炎像を呈した例である.子イヌの糞便中に排出されたイヌ回虫虫卵は,成熟後ヒトに摂取されると,小腸で孵化し,幼虫は血行性に門脈,肝臓を経て全身に散布されるため,とくに肝臓や眼内に寄生することが多い.眼寄生例では視力の急激な低下や視野異常,飛蚊症の自覚症状を呈する.眼底所見では炎症像を認め,臨床的にはぶどう膜炎や網脈絡膜炎などと診断されている.また,小児では網膜芽細胞腫と診断される例もみられる.診断には食歴などの問診,血清免疫診断が参考となる.
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