看護管理 29巻8号 (2019年8月)

特集 対話のプロセスを支援する倫理カンファレンスの技法 ジレンマ・メソッド

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近年,ACP,意思決定支援が注目されており,各施設で臨床倫理に関する取り組みが加速しています。臨床倫理上の課題については,最終的には当事者間で話し合い,その患者にとっての最善の判断を導く必要があります。

これまでさまざまな事例検討の枠組みが試されてきましたが,情報整理のツールとしての意味合いが強く,多職種間で検討するための話し合いや対話の方法を具体的に示すものはありませんでした。

本特集で取り上げる「ジレンマ・メソッド」は,対話のプロセスを支援する構造化された倫理カンファレンスの技法です。事例提供者の問題意識,困りごとに焦点を当てて話し合いを進めます。誰かに特権的な権威を認めず,困難事例に関わる全ての人が共に考えるための具体的な道筋を示すものです。組織やチームに対話の文化をつくることにも期待できます。

本特集では詳細な解説と模擬カンファレンスの採録記事を通じて,その全体像と臨床にもたらす価値を紹介します。

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近年,チーム形式での倫理コンサルテーションを活用する医療機関が増えている。本稿の前半では,その普及の経緯と課題を整理する。また,倫理的課題については,最終的に当事者間で話し合い,その患者にとっての最善の判断を導く必要があることを確認する。本稿の後半では,そうした対話を促進する,構造化された倫理カンファレンスの技法としてのMCD(moral case deliberation)について概観する。

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対話のプロセスを支援する構造化された倫理カンファレンスの技法であるジレンマ・メソッド。本稿では,ジレンマ・メソッドの10のステップを事例に即して具体的に紹介する。

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本特集では構造化された倫理カンファレンスの方法「ジレンマ・メソッド」を紹介してきた。本稿では,国立がん研究センター中央病院で,実際にジレンマ・メソッドを用いた模擬倫理カンファレンスを開催していただき,その模様を約半分にダイジェストして掲載する。

事例提供者は看護師の稲村直子氏,ファシリテーターを田代志門氏が務め,多職種にお集まりいただいた。事例提供者の問題意識や困りごとに焦点化し,率直な対話を通じて,2つの選択肢の中から最善の選択を考えていくプロセスを疑似体験してほしい。本特集723ページから725ページにある臨床倫理検討シート(ジレンマ・メソッド版)を参照しながら読み進めていただきたい。

事例はプライバシー保護のために一部改変している。

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当院の臨床倫理サポート体制

 国立がん研究センター中央病院では臨床の倫理的な問題に対し,各診療科や医療チームでの「倫理カンファレンス」,定期開催で担当スタッフ以外も含めた話し合いが可能な「倫理カンファレンス(NCCH臨床倫理カフェ)」,多職種チームによるセカンドオピニオンが受けられる「臨床倫理コンサルテーションチーム」,そして病院全体の方針策定や生命に関わるような「重い」案件の組織的判断をする「臨床倫理委員会」,と問題に応じたサポートが可能な体制をとっています。

 今回の模擬カンファレンスの出席者には,臨床倫理コンサルテーションチームの複数のメンバーが含まれています。メンバーは倫理的問題に対して多職種で意見交換することに慣れているため,今回もスムーズに対話が進んだ部分が大きかったと感じています。

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多忙な臨床で働き続ける中で,援助者として常に他者に共感や思いやりを持つこと,ケアのプロセスで共感疲労に陥らないこと,燃え尽きないことには常に困難が伴う。

米国の医療人類学者,ジョアン・ハリファックス氏が開発した「GRACE」とは,共感とコンパッションに根ざしたケアのあり方を育むために構築された医療者向けのトレーニングプログラムである。

本座談会では,患者との関わりの相互作用の中でコンパッション(深い慈悲心,思いやり)と智恵に根ざしたケアを実践するために,GRACEトレーニングがもたらすものについて日米の専門家にお話しいただいた。GRACEの全体像を紹介した前編(7月号)に続き,後編では現場の医療者にとって,GRACEのアプローチがどう役立つのかを紹介する。

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入退院支援の専門性を発揮するための看護部の戦略

看護部長の立場から

病院および看護部の紹介

 東京女子医科大学病院(以下,当院:表)は,東京都新宿区に位置する1379床の大学病院です。全国から複雑な重症・難治疾患の患者を受け入れ,臓器別センター制による専門性の高い先進医療を提供しています。

 看護部の方針を図1に示します。医療・看護を取り巻く状況の変化に応じて,患者・家族の「いのち・暮らし・尊厳を守り支える看護」の実現のために,看護職は各人の持つ力を結集し,最大限に発揮しなければなりません。そのためには,共通の目標に向かって意識的に連携・協働し,専門分野の垣根を超えて多様な視点や知恵を統合することが,これからの当院の看護職に求められると考えます。そこで,2019年度の看護部目標に,「患者の尊厳を守り支え,看護の質の向上」を掲げ,「多職種が連携し,入退院支援を推進する」ことを目標の1つに入れ取り組むこととしました。

巻頭 あしたのマネジメントを考えるヒント, このひとに聞く・8

鈴木竜太氏 鈴木 竜太
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看護管理者を悩ませる「評価」と「組織行動」の関係について教えてください

「評価」は,看護管理者を悩ませる仕事の1つ。組織行動において,「評価」にはどのような意味があるのでしょうか。ポジティブな意味をもたらす「評価制度」は存在するのでしょうか。

組織行動研究の第一人者である神戸大学大学院経営学研究科教授・鈴木竜太氏に,「評価」と「組織行動」の関係について,レクチャーしていただきました。

連載 特定行為研修を修了した看護師としての実践・7

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多疾患併存状態の糖尿病患者の療養生活の支援のために

 私は糖尿病看護認定看護師として活動する中で,患者との信頼関係が構築されるにつれ,患者や病院のスタッフからも,多疾患併存状態にある患者の症状管理や検査・治療に関する相談が増えていました。認定看護師としての知識・技術だけでは対応が難しくなることも次第に増え,医学を系統立てて学ぶことで多疾患併存状態の糖尿病患者の療養生活の支援に役立てたいと漠然と感じるようになりました。

 また,ますます加速する超高齢社会や今後の医療資源を鑑みると看護師の医学的知識が必要な場面が増えると考え,大学院にナースプラクティショナー(以下,NP)養成分野が開設されるとの情報を得てすぐに進学を決めました。

連載 看護の可視化 量と質の両面から適切な評価を考える・19

DPCと看護必要度・3 秋山 智弥
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第18回では,DPCによる包括払い制度の中で看護サービスの対価が正しく評価されているかどうかを検討するために,診断群分類ごとの「1入院あたりに必要とされる看護師の総人数(A)」と「実際に得られた収入のうち入院基本料に相当する額(B)」の算出手順を解説しました。今回は,これらの手順で作成された1人1入院のデータをもとに,診断群ごとの「看護師1人あたり入院基本料収入(B/A)」を比較した結果を紹介していきたいと思います。

連載 看護×経済学 経済学で読み解く看護サービスと医療政策・8

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本連載は経済学の視点から,看護サービスの特性や取引の規模,看護師の生産性や雇用環境,診療報酬や介護報酬が及ぼす影響などさまざまなデータを活用しながら解説します。

第8回では筆者が行った調査をもとに,看護補助者や薬剤師を病棟配置して加算を取得するか否かによって,業務分担・移譲の状況に差が生まれているのかを考察していきます。

連載 「看護」の意味を見つめる 訪問看護の実践から・4

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(前号からの続き)

 パーキンソン病の咲子さん(仮名)は病気の進行や要介護状態になっていくことを苦にして,死にたいと思うようになった。「何が叶わなくて死にたいと思うのですか」という私の問いかけに,「誰にも必要とされず,このまま寝たきりになりお世話になる人生なんて耐えられない」と語った。私は咲子さんが家族に必要とされていることを実感できる場面を探し,一緒に家族の夕食づくりを始めた。家族は「お母さんのごはん久しぶり。やっぱりお母さんの作ったごはんが一番おいしい」と喜んだ。食事作りはこの後の咲子さんの生き方を変えていくことになる。

連載 マグネットジャーニー 聖路加国際病院のチャレンジ・7

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本連載では,聖路加国際病院看護部が「マグネットホスピタル認証」を取得するまでの道のりをマグネット・ジャーニー(マグネット認証への旅)として紹介していきます。「CNSと管理の会」伴走のもと走り続けるこの過程はチャレンジに満ちています。

第7回では,マグネット認証が求める看護実践とはどのようなものか,模範的専門実践(EP)としての「せん妄対策チーム」の活動と,事例の記述・評価を紹介しながら考察します。

連載 個人の進化と組織の活性化をもたらす ナラティヴプラクティス・4

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はじめに

 今回は,ナラティヴプラクティス(詳細は第1回[5月号]参照)に参加した看護師Bさんの成果を紹介します。Bさんがナラティヴプラクティスに参加した2年後に,筆者はBさんに会う機会を得ました。

 Bさんは,約300床の急性期の専門病院に勤務しています。病院ではクリニカルラダーに沿った継続教育がなされています。Bさんは,病棟,外来,手術室と十数年の看護経験があります。Bさんの現在の部署である手術室は,閉鎖的な空間で個々の看護師が対象とやりとりを行うため,看護実践が周囲の人から見えにくいという特徴があります。

 Bさんは,ナラティヴプラクティスの体験から,周囲の看護職者にナラティヴ(語られたもの,語る行為)を知ってほしいとの思いを抱きました。Bさんに,どのような「個人の進化」があり,「組織の活性化」として具体的にどのようなことが起こったのかについて述べます。

連載 進化するチーム医療への旅 今求められるレジリエンスとは?・16

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この連載では,これからの医療現場に必要な「進化するチーム医療」「理想のチーム・組織」のありようについて,主にシステム思考や対話・ダイアローグを軸にしながら,読者の皆さんとともに追い求めていきます。

前回まで数回にわたり対話(ダイアローグ)について考えてきました。今回からは,その基礎となる共感的コミュニケーションを紹介していきます。

連載 看護師長のための介護保険の基礎知識・8

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 今回からは介護保険制度を活用した入退院支援・在宅生活支援について,ケーススタディを通して解説します。今月号のテーマはパーキンソン病の高齢者の退院支援です。

連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・157

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 国内にしろ海外にしろ,山岳地帯の奥深くや大平原などに取材に出かけると,こんなところにまで住んでいる人がいる,どうやって切り拓いたんだろうと思うことがしばしばある。それは文明の利器が発達した近代以降だけの話ではない。日本列島の縄文土器の見つかった場所を訪ねると,結構山奥の,わずかばかりの台地になっているところだったりすることがある。

《生きるために,新しい人生を切り拓くために,原野であれ山奥であれ,どんどん開拓していく人間って凄いな》

 よくそう思う。

連載 人生の終わりの日々のケアを訪ねて・19

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 「最期は病院に行くのが,日本じゃ普通だよ」。60代の男性,Aさんと話していて,こんな言葉が出てきました。現役時代は“仕事人間”と呼ばれ,医療や介護に関する知識や情報も豊かなAさんの正直な言葉を聞けるチャンスです。理由を聞いてみました。

 「最期まで家にいられるなら,いたいに決まってるよ。だけど,家で急に死ぬと異常死や事件扱いで,警察が来て検死になって大変なんだろう? 在宅ケアとかなんとか言われても,整っていればいいけど,どこでもあるわけじゃない。在宅ケアが整っているところはあまりないから,いよいよとなったら,病院に行くんだよ」

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次号予告・編集後記 小齋 石塚

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看護管理
29巻8号 (2019年8月)
電子版ISSN:1345-8590 印刷版ISSN:0917-1355 医学書院

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