看護管理 29巻9号 (2019年9月)

特集 看護管理者必読! 薬剤耐性(AMR)時代の感染対策

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免疫力の低下した高齢者や合併疾患を多く抱える患者が増加し,さまざまな耐性菌,新興・再興感染症などへの対策の重要性は高まるばかりです。

近年では「抗菌薬適正使用支援加算」など診療報酬上の加算の追加,抗菌薬適正使用チーム(AST)の新設や地域連携ネットワークの構築といった多職種連携が推進され,「薬剤耐性(AMR)対策アクションプランの策定」など感染対策を取り巻く状況が大きく変化しています。

感染管理の取り組みには組織横断的な対応が重要であり,施設内のあらゆる部門との交渉や調整が必要です。専門部署やICNなどの専門職種だけでなく,看護管理者にとっても感染対策の最新情報の把握は,医療安全の面でも,マネジメントの面でも必須です。

本特集では感染管理のスペシャリストが,急性期病院の看護管理者が押さえておくべき感染対策の新たな潮流を解説し,自施設での取り組み強化のきっかけになることを目指します。

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日本の院内感染対策は本格的な取り組みから20年とまだ若い分野だが,短い期間で高度で組織的な感染対策を確立してきた。近年は薬剤耐性菌の広がりが問題となり,世界基準の対策が取られている。

本稿では,これまでの院内感染対策および薬剤耐性対策の取り組みを振り返るとともに最新の情報を紹介し,薬剤耐性(AMR)時代に求められる医療・介護関連感染対策について考察する。

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薬剤耐性菌に対する感染対策は,専門の対策チームや感染対策担当者のみでなく,組織全体で取り組む必要があり,看護師そして看護管理者の担う役割は非常に大きい。

本稿では,薬剤耐性菌の広がりと感染対策の実際をさまざまな視点から解説する。また,感染制御に求められるマネジメント力を紹介するとともに,感染管理に携わった経験のある看護師が看護管理者になることの意義や次世代育成について考察する。

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薬剤耐性菌は世界的に大きな問題となり,わが国でも2016年に薬剤耐性(AMR)対策アクションプランが示され,2018年の診療報酬改定では抗菌薬適正使用支援加算が新設されるなど対策が進められている。本稿では,感染対策に関する診療報酬について経緯とともに整理し,抗菌薬の適正使用の取り組みにおいて看護師が果たす役割を具体的に解説する。

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薬剤耐性菌の感染経路は接触感染が基本であり,感染対策として標準予防策に加え,接触予防策も行う必要がある。さらに,近年では薬剤耐性菌による環境への汚染も問題となり,対策が求められている。本稿では,薬剤耐性菌に対する感染対策および隔離やベッドコントロールとその根拠について,筆者の施設における取り組みをもとに解説する。

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筆者は病院での感染対策担当者の役割を経て,現在は高齢者介護施設の感染対策担当者として地域の感染症対策や教育やネットワークづくりなど幅広い活動を行っている。

本稿では,薬剤耐性菌対策における地域ネットワークの構築と看護師の役割を考察するとともに,筆者の実践をもとに,高齢者介護施設の薬剤耐性(AMR)対策の実際や,地域包括ケアの推進について解説する。

巻頭 あしたのマネジメントを考えるヒント, このひとに聞く・9

前野隆司氏 前野 隆司
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「幸せな職場のつくり方」を教えてください

「患者さんたちの痛み,苦しみに寄り添い,勇気づけ,ケアをする看護師たちの職場こそ幸せな職場でなくてはならないと思います」。そう話すのは,幸福学の第一人者であり,『幸せな職場の経営学』の著書もある慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科の前野隆司教授です。いったい「幸せな職場」とはどのような職場なのでしょうか。そして「幸せな看護現場」を実現することは可能なのでしょうか。前野教授にお話を伺いました。

連載 看護の可視化 量と質の両面から適切な評価を考える・20

クリニカルラダー・1 秋山 智弥
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これまでは,患者の重症度,医療・看護必要度に応じた適正な看護師数の算定方法を解説するとともに,可視化されたデータの看護管理への応用や看護サービスの経済的評価に関する課題について考えてきました。ここからは,1人ひとりの看護師の専門職としての能力に着目し,それをいかに可視化し,看護管理に活かしていくかを考えていきたいと思います。

連載 看護×経済学 経済学で読み解く看護サービスと医療政策・9

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本連載は経済学の視点から,看護サービスの特性や取引の規模,看護師の生産性や雇用環境,診療報酬や介護報酬が及ぼす影響などさまざまなデータを活用しながら解説します。

第9回では一般企業と病院を比較しながら看護師の労働環境について概観し,ワーク・ライフ・バランス施策を実施した場合の影響や看護師の労働生産性について考察していきます。

連載 「看護」の意味を見つめる 訪問看護の実践から・5

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 「あなたたちに出会わなければよかった」。これは,救急搬送の決まった男性の最後の言葉である。その言葉を告げた後,悲しみと怒りの込められた心の底からのにらみを看護師に向け,以降は亡くなるまで一言も発することなく,ただわが運命を耐えるように救急搬送,救急治療を受けた。日付が変わらぬうちに男性は亡くなった。

 身体の命を救うための道のりは,男性にとって心の命を奪うことになってしまった。

連載 マグネットジャーニー 聖路加国際病院のチャレンジ・8

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本連載では,聖路加国際病院看護部が「マグネットホスピタル認証」を取得するまでの道のりをマグネット・ジャーニー(マグネット認証への旅)として紹介していきます。「CNSと管理の会」伴走のもと走り続けるこの過程はチャレンジに満ちています。

第8回では,マグネット病院見学ツアーを通して,「これはすぐに取り入れることができる」と考えられたRRSの一環としての「ICU相談PHS」の運用に向けた取り組みを紹介します。

連載 個人の進化と組織の活性化をもたらす ナラティヴプラクティス・5

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はじめに

 Cさんはナラティヴプラクティスに参加した当時,回復期病棟でリーダークラスの看護師でした。現在は主任です。Cさんが勤務する病院は,温暖な気候と青い海,草木の香り豊かな緑に囲まれた環境にある総合病院です。筆者はCさんが入職した当時病棟師長だった看護部長ともお話をしました。この病院のある土地柄のように,看護部長はとてもおおらかで明るく,あたたかみのある方でした。そして「自分たちがしたい看護を大事にする」「地域に根差した心あたたかな看護」を目指していました。

 Cさんは業務に流されている日々に疑問を抱き,看護を振り返ることや看護を語ることを病棟でやっていきたいという思いから,自ら希望してナラティヴプラクティスに参加しました。それから1年後のCさんの進化と,ナラティヴアプローチを用いた組織への働きかけの実際について見ていきます。

連載 進化するチーム医療への旅 今求められるレジリエンスとは?・17

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この連載では,これからの医療現場に必要な「進化するチーム医療」「理想のチーム・組織」のありようについて,主にシステム思考や対話・ダイアローグを軸にしながら,読者の皆さんとともに追い求めていきます。

前回まで数回にわたり対話(ダイアローグ)について考えてきました。今回は,その基礎となる共感的コミュニケーションをご紹介したいと思います。

連載 特定行為研修を修了した看護師としての実践・8

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感染管理認定看護師として特定行為研修を受講したきっかけ

 洛和会丸太町病院(以下,当院)は許可病床150床,7対1看護体制で,地域に根差した急性期医療を提供しています。筆者は2009年に感染管理の認定看護師資格を取得し,専従として院内感染対策に取り組んできました。

 感染管理認定看護師の実践として,院内の感染症,耐性菌の発生状況の把握(サーベイランス)を中心に,組織横断的に介入・調整を行っていました。その役割の1つに抗菌薬適正使用推進があります。医師,薬剤師,検査技師と協働で取り組みますが,毎週のラウンドの中で感染症に関する知識が不足していることを実感しました。多職種とのディスカッションを深め,調整役としてのスキルを高めたいと考え,2017年9月に3区分(感染に係る薬剤投与関連,栄養に係るカテーテル管理関連[中心静脈カテーテル管理]関連,栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連)の特定行為研修を修了しました。

連載 人生の終わりの日々のケアを訪ねて・20

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患者さんやご家族をサポートする仕事に就いて,同僚からの信頼も厚い幸子さんが「私は,両親の看取りは後悔ばかりなんですよ」とふと漏らしました。何年も前なのに今も後悔しているというのはどんなことでしょうか,お聞きしました。そのころは医療に関しては全くの素人だった幸子さんの物語は,患者・家族へのかかわりやグリーフケアの参考になりそうです。

連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・158

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 夜,帰宅するために,静かなまちのなかをクルマを走らせていると,ふと思うことがある。家々はひっそりと静まり返っている。どの家も屋根の下では,家族が何の問題もなく平穏に暮らしているように感じられるけれど,必ずしもそうではないだろうな。むしろ家庭内で,だれかががんを患っていたり,認知症の親のケアに追われていたり,障害児の養育が大変だったり,DVがあったりなど,何らかの問題をかかえている家が少なくないだろう。そんな思いが,頭のなかを過るのだ。

 そんなことを思うのは,病気や障害や事件の取材を長年やってきて,様々な家族の内実を捉えてきたからだろう。だが,家庭内にそうした問題をかかえているからといって,その家庭は不幸なのかというと,必ずしもそうではない。直面する問題としっかりと向き合い,たとえ病気や障害などの問題は変えられなくても,現実を真正面から受け止め,新しい生き方や人生観や価値観を見いだして,心豊かな日々を過ごす例が少なくない。

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次号予告・編集後記 石塚 小齋

基本情報

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看護管理
29巻9号 (2019年9月)
電子版ISSN:1345-8590 印刷版ISSN:0917-1355 医学書院

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