看護管理 29巻7号 (2019年7月)

特集 病院データは“宝の山”! データ分析に基づく看護マネジメント 日々の数字を根拠に,現場を改革するために

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医療・看護サービスへのニーズの増大,それを支える人的パワーの減少,ひっ迫する国の財源状況など,病院を取り巻く環境は厳しさを増しています。病院看護部にも運営の効率化および生産性向上が迫られています。また,各地域の事情に応じた地域包括ケアシステムのさらなる最適化と住民の生活を守るための質保証も求められています。

こうした中,将来を見通したマネジメントを適切に行うために,データや数値などの根拠に基づく議論や意思決定が必須です。現状を把握し,解決の方向性や目標を共有することで組織が一丸となった業務遂行が可能となるでしょう。

本特集では,「重症度,医療・看護必要度」を中心に,病院データを分析するための基礎知識と,データに基づき病棟・看護部の改善につなげるための考え方について事例を通じて紹介します。データ分析に苦手意識を持つ読者にも,分かりやすく解説することを目指します。

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医療機関には,診療報酬体系の変更に適応しつつ,質の高い安全なサービス提供に向けた体制整備が求められている。こうした中,将来を見通したマネジメントを適切に行うためには,データや数値という「根拠」に基づく議論がより必要になっている。

本稿では,データに基づく看護管理の現状と取り巻く課題を読者と共有する。

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重症度,医療・看護必要度データは,日々の患者状態とケア行為が把握できる貴重なデータである。本稿では,全国規模の看護必要度データ(Hファイル)を用いて,日本全体の急性期医療機関の入院患者像について概観する。読者が自院の入院患者像を分析・評価する際に,参考としていただきたい。

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看護必要度は,診療報酬の観点だけでなく病棟をマネジメントするために最初に分析すべきデータの1つである。データの見方のポイントさえ押さえれば,難しい統計の知識を使わなくても見えてくるものは多い。ここでは看護必要度データの加工と分析の具体例として,「一般病床の看護必要度評価基準を満たす患者割合」を可視化することで何が分かるかについて解説する。

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ICUやHCUなどの重症系病棟に長期間滞在した患者は,一般病棟に移った時に看護必要度の基準を満たさなくなる。ある疾患の患者の重症系病棟への滞在日数や看護必要度の経過を分析することで,重症系病棟から一般病棟に移るタイミングが評価できる。そのためのデータの加工と分析の方法について解説する。

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2018年度診療報酬改定では,急性期の入院基本料体系が,人員部分と実績部分の組み合わせで評価されるように変更された。そのため医療機関には,自施設の医療機能をこれまで以上に意識した退院日マネジメントが求められている。この検討においても看護必要度データが有用である。本稿では,適正な在院日数を検討するために,看護必要度データから算出可能な指標を紹介する。

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看護必要度データの分析の発展的な例として,転倒転落のリスク因子を抽出するために活用することも可能である。今回,インシデントレポートや患者基本情報を合わせた分析によって,転倒転落に対する「濃厚な管理を要する輸液・輸血療法」の影響を数値で明らかにすることができた。看護必要度を医療の質の評価にも活用できることを示したその試みを紹介する。

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患者アウトカムへの貢献を評価しエビデンスを積み重ねることは,看護の専門性の評価につながる。本稿では,病院データ(DPCデータと病床機能報告)を用いて,看護提供体制と患者アウトカムの関連を検討した研究について,手順を追って紹介する。

各施設独自のデータを用いたアウトカム評価活動にも,ぜひ参考にしていただきたい。

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重症度,医療・看護必要度をはじめとする「病院データ」を,マネジメントや看護の質評価に活かすことの重要性は,各病院看護部で認識されているところである。本座談会では,今後さらに取り組みを前に進めるための課題と解決策を,出席者の豊富な経験から考察した。これまでのデータマネジメントの成果から,看護管理者への院内研修の具体的内容,そして看護のアウトカムに対してさらなる評価を得るための体制づくりに至るまで,多岐にわたりお話しいただいた。

巻頭 あしたのマネジメントを考えるヒント, このひとに聞く・7

本間浩輔氏 本間 浩輔
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部下を成長させる技法「1on1」について教えてください

上司と部下とで定期的に話す機会を持つ「1on1ミーティング」。部下育成やコミュニケーションの活性化に効果が高いと,今,多くの企業で導入されています。看護の現場でも「1on1」を取り入れることはできるのでしょうか。6000人の社員が働くヤフー社内に1on1を導入し,書籍『ヤフーの1on1—部下を成長させるコミュニケーションの技法』(ダイヤモンド社)の著書もある本間浩輔氏に「1on1ミーティング」についてお話をうかがいました。

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多忙な臨床現場で働き続ける中で,援助者として常に他者に共感や思いやりを持つこと,ケアのプロセスで共感疲労に陥らないこと,燃え尽きないことには困難が伴う。

米国の医療人類学者,ジョアン・ハリファックス氏が開発した「GRACE」とは,共感とコンパッションに根ざしたケアのあり方を育むために構築された医療者向けのトレーニングプログラムである。

本座談会では,患者との関わりの相互作用の中でコンパッション(深い慈悲心,思いやり)と智恵に根ざしたケアを実践するために,GRACEトレーニングプログラムがもたらすものについて日米の専門家にお話しいただいた。

連載 看護の可視化 量と質の両面から適切な評価を考える・18

DPCと看護必要度・2 秋山 智弥
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第17回では,2018年診療報酬改定で導入されたDPCデータによる看護必要度データの置き換え問題について私見を述べました。第18回からは2010年度に木村看護教育財団の助成を受けて行った研究をもとに,DPCによる包括払い制度の中で看護サービスの対価が正しく評価されているかどうかについて考えていきたいと思います。

連載 看護×経済学 経済学で読み解く看護サービスと医療政策・7

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本連載は経済学の視点から,看護サービスの特性や取引の規模,看護師の生産性や雇用環境,診療報酬や介護報酬が及ぼす影響などさまざまなデータを活用しながら解説します。

第7回では,多くの他職種業務に看護師が携わっている現状について紹介し,なぜ看護補助業務や薬剤関連業務を看護師が担っているのかを考察していきます。

連載 「看護」の意味を見つめる 訪問看護の実践から・3

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看護の必要性を見いだせず,理学療法士のみの訪問から始まる

 今回は,まだ1年目の新人訪問看護師だった頃に担当した咲子さん(仮名)を紹介する。

 誰にでもありそうな50代の「あれ,最近よく転ぶ」。回数が増え,歩きにくさも加わった。整形外科から始まり,あちらこちらに受診した末に,神経内科でパーキンソン病と診断された。進行はゆっくりだったが少しずつ誰かに手伝ってもらうことが増えた。移動は時間をかけての四つ這い。身の回りのことはすっかり夫とヘルパーのお世話の体制ができていた。咲子さんは無口で心も閉ざしていた。

連載 マグネットジャーニー 聖路加国際病院のチャレンジ・6

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本連載では,聖路加国際病院看護部が「マグネットホスピタル認証」を取得するまでの道のりをマグネット・ジャーニー(マグネット認証への旅)として紹介していきます。「CNSと管理の会」伴走のもと走り続けるこの過程はチャレンジに満ちています。

第6回では,看護部運営の最優先事項である「ベストプラクティスと看護の卓越性」を目指す方法と,患者ケアに関する包括的な概念的枠組みである「専門的看護実践モデル」の作成プロセスを紹介します。

連載 個人の進化と組織の活性化をもたらす ナラティヴプラクティス・3

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 今回から,ナラティヴプラクティスに参加した看護職者の「個人の進化」と「組織の活性化」を具体的に紹介していきます。

 本連載でいうナラティヴプラクティスの「成果」とは,看護職者自身の看護実践の経験に新たな意味が生まれることであり,「その人らしさ」の輪郭が鮮明になることです。語られた内容そのものが成果ではありません。他者との対話を通じて,今ここで立ち現われてくる意味に焦点を当てていきます。

連載 進化するチーム医療への旅 今求められるレジリエンスとは?・15

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この連載では,これからの医療現場に必要な「進化するチーム医療」「理想のチーム・組織」のありようについて,主にシステム思考や対話・ダイアローグを軸にしながら,読者の皆さんとともに追い求めていきます。

今回は対話を巡る冒険の4回目。「これまでの話し合いでは解決できない問題」について,なぜダイアローグ(対話)が必要なのでしょうか。既存の問題解決のパラダイムを超えるためのお話です。

連載 看護師長のための介護保険の基礎知識・7

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 介護保険での利用者の自己負担の費用は,近年の相次ぐ制度改正で大きく見直されています。

連載 特定行為研修を修了した看護師としての実践・6

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タイムリーかつ安全な看護実践能力を養う

 聖マリアンナ医科大学病院(以下,当院)は,神奈川県の川崎市北部医療圏で唯一の救命救急センターを有し,急性期医療の中核的役割を担う病床数1208床の特定機能病院です。筆者は,2017年に大学院で特定行為研修を修了し,診療看護師(NP)として当院で活動し3年目になります。

 当院看護部の理念の中では,看護のこころである「ケア」と,医学的知識に基づいた「キュア」,患者自身の「コア」の3つの柱を基に,患者の「いのち」を支える看護をうたっています。その中の「キュア」の側面を安全かつタイムリーに自律して行えるよう,当院では診療看護師診療科研修という独自の教育プログラムがあります。

連載 人生の終わりの日々のケアを訪ねて・18

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 80代後半の郁代さんは,硬膜下出血で大学病院に救急搬送された後,「自宅退院は無理」という判断で,療養病院へ。転院した翌日に病院から「夜眠らないので身体拘束をします」と言われ,それが嫌で外出し自宅に外泊。そのまま認知症のある夫との在宅ケア生活に入りました。

 90歳頃にグループホームに移ったときも「やはり自宅がよい」と本人の強い希望で,在宅独居生活に。家族とケアマネジャーが相談しながら,介護保険と自費サービスの組み合わせで在宅ケアを強化。最期の数か月はホームヘルプ(朝,昼,晩,深夜の毎日4回),訪問看護(週2回),訪問診療と訪問薬剤師(月に2回),訪問歯科診療,介護用具の追加などで在宅看取りを迎えました。今回は,その連係プレーを紹介します。

連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・156

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 トーベ・ヤンソンのムーミン童話や,A.A.ミルンとE.H.シェパードによるクマのプーさん童話は,子どもとおとなの区別を超えた世界児童文学の傑作として,これから100年後も200年後も読み継がれていくだろう。

 優れた児童文学の数々を読んでいつも感心するのは,6歳児頃までの幼い心の動きを,みごとと言えるほど鋭く捉えている点だ。それはとりもなおさず作家が6歳児頃までの感性をそのまま失わずに持ち続けていることを示している。

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次号予告・編集後記 小齋 石塚

基本情報

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看護管理
29巻7号 (2019年7月)
電子版ISSN:1345-8590 印刷版ISSN:0917-1355 医学書院

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