看護管理 27巻11号 (2017年11月)

特集 「特定行為に係る看護師の研修制度」の活用 地域の医療ニーズに応える看護師の育成と体制整備

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「特定行為に係る看護師の研修制度」は,「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」において,「保健師助産師看護師法」の一部が改正され,2015年10月1日から施行されました。『看護管理』誌では法改正に合わせ2014年7月号で特集企画を実施しました。

その後,試行事業,法改正を経て実際に研修制度が開始され,研修修了者が臨床現場で活動し始めています。看護管理者には,「各地域,各施設での医療ニーズを踏まえて研修修了者にどのような役割や実践を期待するのかを考えた上での研修への派遣」や,「研修修了者が円滑に活動できるような組織内での体制整備」などが求められます。

本特集では,2025年に向かい医療ニーズが増大する中で,地域に資するための本研修制度活用の方策について,現状の成果と課題を紹介しながら,多面的に考察します。

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開始から2年が経過した「特定行為に係る看護師の研修制度」について,厚生労働省の立場からその目的や概要を改めて解説するとともに,研修修了生の動向や,現在までの課題を提示する。さらに,看護管理者に向けた期待として,地域の医療ニーズに応える観点から,この制度をどのように活用してほしいかについても述べる。

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「特定行為に係る看護師の研修制度」のさらなる活用においては,研修生や研修修了者を受け入れる施設の看護管理者が推進役を果たすことが期待されている。あくまでも患者を中心に据えた医療の質向上を目指すために,いま看護管理者が知っておくべきことは何だろうか。本座談会では,「看護」の視点を持った修了者の活動を看護管理者がどう支援していくべきか,また修了者の活動を支援するための組織づくりの方法論などについて,本研修制度を熟知する3名の方にご提言いただいた。

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厚生労働科学特別研究事業「看護師の特定行為研修の修了者の活動状況に関する研究」(研究代表者:永井良三,研究分担者:春山早苗)の結果が2017年3月に発表された。この研究は,特定行為研修を修了した看護師が実際に医療現場等においてどのように働いているか,また現状の課題は何かについて把握し,今後の修了者の活躍推進と制度の見直し等の際の基礎資料を得るために実施されたものである。本稿では研究分担者の立場から,施設管理者への調査結果を中心に紹介するとともに,それを踏まえて「看護管理者に求められる役割」について述べる。

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地域医療機能推進機構(JCHO)は,公的病院団体として初めて,特定行為に係る看護師の研修制度の指定研修機関となり,2017年4月から34病院で研修をスタートさせている。研修を企画・運営し,各地域において地域包括ケアシステムの進展に寄与する病院を統括するJCHO本部の立場から,研修機関となるまでの経緯や特定行為研修の全体像,特定行為研修を実施するJCHO各病院の状況,組織のビジョンを踏まえて研修機関として目指す方向性などについて述べる。

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筆者は国立病院機構指定の大学院教育を終え2014年からJapanese Nurse Practitioner(JNP)として活動している。現在では38行為21区分の特定行為も実施可能となった。特定行為を実施できるものの,その必要性を適切に評価し,より低侵襲な行為を選択するなど看護師としての倫理的判断に基づき実践を積み重ねてきた。

本稿では,病棟および地域の医療の質向上に資する「チーム医療の要」としての3年にわたる高度な看護実践を他者評価も含めて振り返るとともに,特定行為が実施できる看護師の今後の可能性を展望する。

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JCHO東京新宿メディカルセンターでは,2016年2月に「看護師の特定行為に係る研修制度」の指定研修機関としての指定を受け,2名の職員が既に研修を終えた。1施設完結型で全ての講義を医師らが対面で実施している。

本稿では指定を受けるまでのプロセスと,研修プログラムの構築や研修受講者の選定や支援など,組織を挙げた取り組みを看護部長の立場から紹介する。併せて,研修受講者の視点をコラムで紹介する。

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●当院における研修

 筆者は外来で糖尿病患者の療養支援を担当しており,患者やスタッフからの相談対応の機会が多い。「特定行為に係る看護師の研修制度」の開始に伴い,医師の判断を待っていたことが,手順書により看護師の判断で対処できるようになり,業務の円滑化や患者の負担軽減につながるものと考えていた。

 当院は「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」「血糖コントロールに係る薬剤投与関連」の2区分において本研修制度の指定研修機関となった。これに伴い,筆者は2016年4月から特定行為研修を受講した。

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米沢市立病院では,看護部からの発信を契機に,医師との協働のもと,「特定行為に係る看護師の研修制度」の活用・推進に組織を挙げて取り組んでいる。

指定研修機関の協力病院として届け出を行うなど,できるだけ職場・居住地を離れずに受講できる体制を整備した。

本座談会では,本研修制度に中心的に関わる同院の職員にお集まりいただき,研修修了者が円滑に活動するための体制づくりについてお話しいただいた。

巻頭 大学院で学ぶ看護管理学 現場の実践から新たな「知」を生むために ・11

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大学院および領域の特徴や魅力について,教員の立場からご紹介いただきます。

本学および大学院のなりたち

 関東学院(以下,本学)には3つの源流があります。第1の源流は,1884(明治17)年に横浜山手に設立された横浜バプテスト神学校(のちの日本バプテスト神学校),第2の源流は,1895(明治28)年東京築地居留地に開設された東京中学院(1900年東京学院に改称),第3の源流は,1919(大正8)年に横浜市三春台に設立された中学関東学院です。これらが合同して本学を形成しました。その後,関東大震災(1923年),第二次世界大戦時の横浜大空襲(1945年)を経て,1946年に現在の横浜市金沢区六浦町にて経済専門学校が発足しました。教育制度改革(旧制の専門学校の廃止)に伴い,1949年関東学院大学が発足しました。当時の文部省に提出した「関東学院大学設置認可申請書」には,「本大学はキリスト教にもとづく人格の陶冶を旨として教育基本法に則り学術の理論及び応用を教授するを以て目的とする」と記載されています。

 開学時学生数は170名(経済学部122名,工学部48名)でした。翌年1950(昭和50)年には,電気工学科が発足し,1962(昭和37)年に本学最初の大学院,神学研究科が設置されました。1966(昭和41)年に大学院経済学研究科,大学院工学研究科が発足,1968(昭和43)年に文学部が発足し,神学部,経済学部,工学部と並んでキリスト教に基づく総合大学としての体制が整いました。2017年4月現在,大学としては11学部,5研究科があり,学院としては大学の他,高等学校2校,中学校2校,小学校2校,認定こども園(幼稚園および保育園)2園を有する総合学園に発展しています。

連載 ファシリテーターのための看護リフレクション 経験から学べる看護師を育てる・8

看護師の持論と新たな発見 東 めぐみ
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 この連載は主にリフレクションをファシリテートする指導者・教育者を対象とし,実践から学び,新たな価値を見いだし,次の実践につなげることができる看護師の育成の手助けをしたいと考えます。また,「看護経験から学ぶ力をつける」ことをファシリテートする手立てを描きたいと思います。

 これらを通じて,多くの看護実践家が自分の実践をリフレクションできる,つまりセルフリフレクションができるようになることを期待しています。

 第8回は,共に働く仲間との場の共有について,考えてみたいと思います。

連載 やすらぎとひらめきの場づくり マインドフルネスとファシリテーション・16

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ピースメイキング・サークル

 「ピースメイキング・サークル」と呼ばれる話し合いの方法がある。もともとカナダの先住民の話し合いのやり方を,カナダ人の判事が学び,1970年代に体系化したものだという。人が集まって何かを始める時や,対話や学びの場,チームビルディング,問題解決など,さまざまなシチュエーションに活用でき,カナダやアメリカでは徐々に広まってきている。

 アメリカ北西部ワシントン州のシアトルに暮らす尾関桂子さんは,この輪になって座り丁寧に話し合う方法を,現地のコミュニティや高校で長年実践してきた。京都のNPO場とつながりラボhome's vi代表の嘉村賢州さんが旅の途上で尾関さんに出会い,これはすばらしいと最近日本につないでくれた。私も昨年日本でのサークルに参加して興味を持ち,さらに学びたいと感じて,この9月に嘉村さんらとシアトルの尾関さんのところへ,サークルの源流を探る旅に出かけてきた。

連載 プログラムデザインで変わるファシリテーション あなたのスキルを現場に活かそう・2

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参加型の場を企画し,準備をすることが「プログラムデザイン」です。そこには企画者の思いが大きく反映されます。まずは,自分がどんな思いで企画に臨むかを確認していきましょう。

連載 病棟運営上の意思決定に活かす! ケースで学ぶロジカルシンキング・13

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 「ロジカルな議論をする」ことは,組織運営において不可欠です。

 しかしそれは,感情を押し殺すということではありません。人には感情があり,思いがあり,それがモチベーションを維持する大切な要素にもなっています。

 一方,感情を乱したくない,いやな思いをしたくないという気持ちだけを大切にし,ロジカルな議論を避けることが習慣になってしまうと,組織を内側から壊していく風土ともいうべき“サイレントキラー”が育ってしまいます。

 考えない組織の怖さは,課題を課題として捉えられなくなる“無感覚”にあります。一度そうなってしまうと,いざ考えようとしても,考える習慣がないので結論を出す力もなくなり,結果的に議論を先に進めることさえもできなくなってしまうのです。そうならないためにも,組織内でロジカルな議論を続けていきましょう。

連載 キャリア形成に悩むあなたのためのリレーエッセイ わたしの師長時代・7

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常日頃のコミュニケーションの大切さ

 臨床に出て11年目,現場の看護職としてがんばって仕事をしていましたが,循環器病棟から中央材料室に副看護師長として異動になり,かなり戸惑ったことを覚えています。中央材料室の業務は,物品管理の他に,オートクレーブでの滅菌業務,ガス滅菌業務,衛生材料の管理などもありました。

 当時は診療材料を各病棟から伝票による請求をして払い出しており,診療材料の伝票を1か月で80枚近く書いていました。他の部署でも,物品管理は副看護師長が行っていましたので,かなりの労力がかかっていたと思います。

連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・137

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 子どもでも大人でも,人の心が発達・成長するのは右肩上がりの直線グラフのように,連続的に何となく上昇していくというものではない。何かの刺激や出来事に対して,心が反応し,何かに気づくことによって,階段をステップアップする形で成長の階段を1段ずつ登っていくのだ。特に子どもの場合は,その成長の形が感動的に見えることが,しばしばある。

 絵本『ねえ,しってる?』は,子どもの心が成長するひとコマがペーソスと温もりをこめて描かれた絵本だ。

連載 Happy Nurses=Happy Patients 看護力の高い組織を育む・14

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 今年の4月に日本の大学の教員として赴任した私は,約20年ぶりに日本で医療サービスを受ける環境に身を置いています。米国は私的医療保険を主な医療の財源としており,その中で医療者としてサービスを提供し,またそのサービスを受けて暮らしてきた私にとって,日本の医療サービスを受けることは毎回驚きの連続です。今回は私の経験から日米の医療サービスの違いを通じて感じていることをお話したいと思います。

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誰もがケアに関わり,支え合う存在となる“地域包括ケア”の具体像

 “地域包括ケア”という言葉を聞くようになって久しい。いくつになっても,また,どのような健康状態であっても,人々が住み慣れた地域で暮らしていけるように,ようやく人や施設がつながり始めた。それでも,まだ手探りの市町村は多い。

 著者の秋山正子さんは,訪問看護や介護の現場に長く身を置きながら,ケアを必要とする人の暮らしの場づくりを支えてきた。その豊富な経験と実績から,地域包括ケアというのはこういうことなんですよと,具体的な姿を示してくれたのが本書である。

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次号予告・編集後記 小齋 石塚

基本情報

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看護管理
27巻11号 (2017年11月)
電子版ISSN:1345-8590 印刷版ISSN:0917-1355 医学書院

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