増刊号 こんなときどうする? 運動器の作業療法ナビ
第1章 運動器の解剖と生理
4 感覚・知覚
坂田 祥子
1
Sachiko Sakata
1
1東京湾岸リハビリテーション病院
pp.705-711
発行日 2022年7月20日
Published Date 2022/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203045
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はじめに
ヒトの多くの行動は身体内部と外部の環境からの刺激によって誘発される.刺激情報を処理する過程が感覚・知覚であり,感覚・知覚によって人の行動は誘発され,そして制御されている.
感覚は刺激に対応する特定の受容器で受容され,異なる種類の感覚を生じる.感覚の分類方法はいくつかあるが,臨床的には体性感覚(表在感覚,深部感覚),内臓感覚(内臓痛覚,臓器感覚),特殊感覚(視覚,聴覚,平衡感覚,嗅覚,味覚)の分類が用いやすい.ここでは運動器の体性感覚を中心に整理していきたい.
「感覚(sensationまたはsensibility)」と「知覚(perceptionまたはsensation)」という用語の使い分けは統一的な見解は出されていない.平山1)は「感覚」を“針で刺されたときの痛みやものが触れたときに触れたことを意識するなど,単純な要素的な刺激の感受”とし,「知覚」は“刺した針が太いか細いか,痛みが強いか弱いか,触れたものの表面が粗いか滑らかかなど,そこに生じた感覚の性質の内容を識別したり,解釈や判断を加えたものを指している”とする.実際,臨床での感覚の評価において,判断や解釈を切り離すことは困難である.ここでは,受容器や神経線維,大脳皮質等の構造を指す場合や生理学用語は「感覚」を,その機能面を指す場合には「知覚」を使用する.
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