連載 脳損傷者への就労支援—対象者のデータベース化と多職種による支援の試み・第3回
就労年齢脳卒中患者への就労支援における医師のかかわり方
中里 康子
1
,
武原 格
1
Yasuko Nakazato
1
,
Itaru Takehara
1
1東京都リハビリテーション病院
pp.1252-1257
発行日 2019年11月15日
Published Date 2019/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201914
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はじめに
就労年齢脳卒中患者では,回復期リハビリテーション(以下,リハ)医療を経て家庭復帰することはもちろん,社会復帰としての就労が最終的なリハゴールである.就労支援では,病前に就労していた職場と調整することで退院後に前職に復職できる場合と,前職はいったん退職し新規就労を支援する場合がある.復職の場合はそのまま普通雇用を継続することが多いが,新規就労の場合は,障害者手帳等を利用しての障害者枠での就労となることも少なくない.復職が可能な場合には,入院中に職場との調整を行い,退院後数カ月以内に実際に働き出すことが可能であり,再就労まで回復期リハスタッフがかかわりながら支援することができる.しかし,新規就労の場合は,障害が重度であることが多く,また障害者手帳は発症から6カ月以上経過して申請が可能となるため,退院後も外来や就労支援施設に移行しながら長期にわたる支援を受ける必要がある.
当院では,就労年齢の脳卒中患者で退院後の就労希望がある場合には,早期から就労支援を意識したリハ医療を行い,回復期リハ医療の期間に就労への具体的な方向性を確定できるように努力している.本稿では復職を主体に,当院での就労年齢脳卒中患者への就労支援における医師のかかわり方について解説する.
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