広場
高次脳機能障害と発達障害—共通するライフハックと作業療法室に求める可能性
鈴木 大介
pp.1246-1250
発行日 2019年11月15日
Published Date 2019/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201912
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異例な速度で日常復帰
右脳にアテローム血栓型の脳梗塞を発症し,高次脳機能障害を抱えながら生きることになって,そろそろ4年が経過した.日常生活や仕事の中で困りごとを感じることも少なくなり,“本当にようやくこの世に帰って来た感じがするな”としみじみ思う昨今.けれど僕の「ようやく」感に反して,3冊の闘病記的な書籍1〜3)を刊行し,リハ職や当事者やご家族等の読者様から数多く寄せられた感想の中で目立ったのは,「どうして鈴木さんの回復はそんなにも早かったのですか?」というものだった.
実際僕自身,急性期からしばらくは,“これほど不自由で毎日が苦しく絶望的なら,ぽっくり死んでしまったほうが楽だった”と心底思うことも度々あったから,「もともと障害の程度が軽かったから」と言われたら少々心外.けれど実際には,僕と同程度の高次脳機能障害の当事者が,受傷後4年の時点ではまだほとんど機能を取り戻せていなかったり,仕事に戻れずに苦しんでいることを読者からのお便りで知り,自分が「異例な速度で日常復帰した異例な当事者」なのだということを認めざるを得なくなってきた.
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