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Key Questions
Q1:発達障害の捉え方と支援方法とは?
Q2:医療観察制度における発達障害者へのかかわりは?
Q3:医療刑務所におけるOTの取り組みとは?
はじめに
筆者は,OTとして精神科病院に勤務した後,社会復帰調整官として医療観察対象者(精神障害による心身喪失等の状態で重大な他害行為を行った者.以下,触法精神障害者1))にかかわり,現在は,保護観察官として保護観察対象者(非行少年や犯罪者)にかかわっている.また,医療観察制度や刑務所からの障害者等の社会復帰支援システム(地域定着支援センター)の制度構築に携わった者である.共著者は,精神科病院の勤務を経て,現在,日本で初めて常勤職員として医療刑務所で触法精神障害者等にOTとしてかかわっている.このような立場や経験を通して,触法者の発達障害への支援について意見を展開し論じたい.
多くの専門家が指摘しているように,発達障害と触法行為に直接的な因果関係はない.しかし,発達障害とその人を取り巻く環境等の影響により,不適応行動として触法行為に至る場合がある.実際に,医療観察制度における処遇や矯正施設である医療刑務所において,発達障害を抱える対象者は存在しており,そのような触法発達障害者に対して,その障害特性に応じたかかわりが必要である.これらの対象は成人の発達障害であり,その特性に合わせて支援する必要がある.
本稿においては,まず,医療観察制度の処遇を通じて発達障害の捉え方や支援のあり方を考えたい.次に,少しずつ常勤OTの配置が広がっている医療刑務所での作業療法の取り組みを紹介する.さらに具体的な支援として事例を展開しているが,個人情報保護の観点から情報修正を加えていることをご理解願いたい.本稿が触法発達障害者に対する支援について,読者の皆さんと考える機会になれば幸いである.
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