理学療法ジャーナル 51巻12号 (2017年12月)

特集 エキスパートが語る小児理学療法

EOI(essences of the issue)
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 小児理学療法は,障害の程度にかかわらず,施設入所型から家族を中心とした療育へと移行してきた経緯がある.国際生活機能分類の考えに基づき良質な療育サービスが必要とされ,小児理学療法に特化した専門性の高い理学療法士が必要とされる一方で,幅広い対応が求められ,その医療行為には当然のことながらエビデンスが求められている.

 本特集では,これまでの小児理学療法を振り返り,現状の課題を整理するとともに,今後小児理学療法が発展するために必要な理学療法士の役割について検証すべく特集を企画した.

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はじめに

 日本の乳児死亡率と新生児死亡率は,2015年の分析では1,000の出生に対して1.9であり,世界でも有数の低率である1).数少ない死亡の原因は先天奇形,変形および染色体異常,周産期に特異的な呼吸障害および心血管障害,乳幼児突然死症候群の順に多く,救命処置により存命した場合,想定される後遺障害から,以降の医学的管理,とりわけ小児リハビリテーションの必要性が浮き彫りとなっている.

小児理学療法の動向 中 徹
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小児理学療法の動向を語るにあたり—その歴史は既にICFを志向していた

 小児理学療法の対象となる疾患を持つ人々の多くは,幼少期より消失することのない障害とともに生活を送るため「特別な生きる術」が求められる人々である.時の経過による疾患構造と治療医学および社会保障の変化や進歩はあるが,対象者の持つ「生きる術」の特別さは今日までなくなることはない.

 日本では200年近く前から,心身が厳しい条件に置かれた子供たちを放置せず,よりよく育ち生活を送るための実践が行われてきた歴史がある.この事実の認識は,小児理学療法の動向の理解を助けるうえで重要である.

脳性麻痺研究 藪中 良彦
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はじめに

 現在世界的に使用されている脳性麻痺(cerebral palsy:CP)の定義は,2004年にWorkshop in Bethesdaで設定された「脳性麻痺の言葉の意味するところは,運動と姿勢の発達の異常の1つの集まりを説明するものであり,活動の制限を引き起こすが,それは発生・発達しつつある胎児または乳児の脳のなかで起こった非進行性の障害に起因すると考えられる.脳性麻痺の運動障害には,感覚,認知,コミュニケーション,認識,それと/または行動,さらに/または発生性疾患が付け加わる」1)であり,脳の損傷の部位や程度にかかわりなく,発達の早期に脳に非進行性の障害が生じた結果,引き起こされる運動と姿勢の異常を意味している.そのため,その臨床像は,日常生活に支障のないレベルから寝たきりまでと,非常に幅広いものになっている.そのCPの不均一性(heterogeneity)が,CP研究実施の困難さの1つの原因になっている.また,もう1つ別の原因は,CP児において心身機能/身体構造と活動の関係が明確でないことである.

 本稿では,最初に理学療法に関係するCP研究の現状を文献考察から紹介するとともに,前述のCP研究実施の困難さの2つの原因を中心に小児理学療法分野におけるCP研究の課題について解説を行う.

発達障害へのかかわり 新田 收
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発達障害の概念

 最近マスコミなどを通じ「発達障害」の話題をよくみかける.この傾向は5年ほどで急激に高まっているが,実際の調査では,もう少し前から注目されている.文部科学省は2002年2〜3月にかけて「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する全国実態調査」を実施している.その結果,知的発達に遅れがないものの,学習面や行動面で著しい困難を示す児童生徒が6.3%在籍していた可能性があると報告している1)

 その後,わが国において「発達障害」が広く認識されたのは,2004年12月に制定された発達障害者支援法の影響が大きい.同法は,「発達障害の定義と社会福祉法制における位置づけを確立し,発達障害者の福祉的援助に道を開くために制定された」とされている1)

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はじめに

 2005年4月の発達障害者支援法の施行,2016年8月の一部改正後,医療,福祉,教育,就労などの各分野で早期から生涯にわたる切れ目のない支援体制の整備が急速に進んでいる.

 医療分野では,発達障害の基本的医療概念の拡大,つまり,疾患としての位置づけの整備と並行し,個々の日常および社会生活上の障壁に対する具体的対応への取り組みが始まった1〜3).発達障害児の多くに姿勢運動発達,骨関節上の課題がみられ,早期発見・早期支援に対して小児理学療法の専門性が求められている.

家族を中心とした理学療法 樋室 伸顕
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はじめに

 学生時代,小児施設での臨床実習が決まったとき,親とどのように接したらよいか不安に思った経験はないだろうか.一方,小児施設で臨床をしている理学療法士は,親とのかかわり方をどのように身につけているのだろうか.卒前卒後を通して,理学療法教育として家族とのかかわりを学ぶ機会は限られている.先輩からの助言や個人の学習努力,または積み重ねた経験に基づいて臨床実践されているのが現状である.

 家族が子供の発達に大きな影響を与えることは疑いの余地がない.したがって子供の発達を支える小児理学療法では,根拠を持って家族とかかわる必要がある.そこで本稿では,Family-Centered Servicesの言葉の意味や概念,定義,効果をレビューする.そして家族を中心として理学療法を実践するうえで特に重要な情報提供のありかたを,私見を交えて述べる.小児理学療法の臨床・教育において,科学的根拠を持って家族とかかわるきっかけになることが本稿の目的である.

とびら

薄れていく記憶 小林 武
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 ひとり車を走らせ国道6号線を南下した.行けるところまで行ってみようと思った.2時間ほど走り南相馬市に入ってしばらくすると,「通行止め」の看板と散光式警光灯をピカピカ光らせた多くの警察車両が見えた.物々しい雰囲気だった.その道程にも,あらぬ方向を向いた船や自動車,物置などいろんな物が道路脇の田畑に放置され,南下するにつれて増えていった.本来はそこから30分で福島第一原発にたどり着く.自宅から近いところにその現実はあった.

 別の日,意を決して石巻と女川に行った.日和山から見た風景にはただただ言葉を失った.高台に建っている女川町立病院の1階天井近くまで海水が上がったことも知っていたが,実際にそれを見て街の匂いを嗅いでみると,胸の鼓動が速く大きくなって脚が震えた.

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 2017年6月8〜10日,岡山県岡山市の岡山コンベンションセンター等で第54回日本リハビリテーション医学会学術集会が開催されました.川崎医療福祉大学の椿原彰夫大会長のもと,「エビデンスに基づく地域包括ケアシステムの推進」というテーマでさまざまな特別講演,教育講演,シンポジウムが企画され,「晴れの国おかやま」らしく天候にも恵まれ4,500名を超える参加者が集う熱気にあふれた学会でした.

 私自身は日本リハビリテーション医学会学術集会への参加は初めて,さらに発表と座長という任をいただき緊張と不安,そして日頃聴くことができないような話が聴けるという期待感を胸に臨み,頭はフル回転,会場間の移動に足もフル回転の3日間を過ごしました.

甃のうへ・第53回

地域づくりをめざして 石田 英恵
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 急性期病院で働いていた私にとって,日本理学療法士協会の派遣で活動した東日本大震災のボランティア活動はとても新鮮でした.ボランティアに入る際は地域のコーディネーターから,元々リハビリテーション資源が乏しい地域であること,機能回復運動のような一時的な支援は必要でないことなどを丁寧に説明され,地域の実情に合わせた支援の重要性を学びました.病院に勤務していたころは地域への関心が薄く,患者さんの転院先や入所先を何となくイメージする程度でした.

 ボランティアでの経験から地域リハビリテーションを学びたいとの思いが強くなり,現在の職場である訪問リハビリステーションで働くこととなりました.いざ訪問をしてみると,利用者さん自身の問題だけでなく,地域の課題にも多く直面しました.深刻な医師不足,人口減少,高齢化率上昇,老々介護など多くの問題があるなか,地域で活動しているセラピストはあまりに少ないと感じます.「リハビリテーション」と言えば病院でのリハビリテーション,もしくはマッサージや電気を当てることだと思っている住民の方は大勢いらっしゃいます.そのため,リハビリテーションの啓発活動を行い,たとえ地域で活動するセラピストの数が限られていたとしても,地域住民がリハビリテーションマインドを持つことで自立支援が行える地域づくりをめざしました.

1ページ講座 理学療法関連用語〜正しい意味がわかりますか?

マイオカイン 永富 良一
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 骨格筋から分泌されるサイトカインをマイオカインと言う.サイトカインは細胞から分泌される糖蛋白やペプチドの総称であり,多くの種類がある.血液や細胞外液を介してそれぞれに特異的な受容体に結合する.結合が起こると受容体が持つ酵素活性の誘導や他の細胞内調節因子との連鎖的な反応が起こり,遺伝子発現調節をする転写調節因子や細胞の機能調節経路が活性化し,新たな蛋白質合成や細胞機能の変化などが起こる.当初,免疫系の調節因子として探究が進んだ結果,多くのサイトカインが白血球間活性化物質インターロイキン(Interleukin:IL)の名を冠している.しかしその後免疫系以外の機能も明らかになり細胞間活性化因子サイトカインが用いられるようになった.産生臓器以外の臓器(遠隔臓器)に作用するホルモンとの異同については曖昧である.サイトカインには遠隔臓器への作用,近隣の細胞群へのパラクライン作用や分泌細胞自体へのオートクライン作用がある.

 現在では骨格筋の収縮に伴って分泌されるマイオカインは300種類以上あると言われている.その多くが運動や身体活動と関連して脂肪細胞からも分泌されることから,アディポマイオカインと言われることもある.以下に代表的なマイオカインを紹介する.

1ページ講座 障がい者スポーツ

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 車いすバスケットボールは第二次世界大戦後より退役軍人や対麻痺障害者のリハビリテーションスポーツとして英国や米国で始まり広まったとされており,1960年のローマパラリンピックから夏季パラリンピックの公式種目となっている.東京2020パラリンピックに至るまで60年もの歴史がある競技であり,現在ではCMや映画・ドラマなどメディアにも注目される花形競技となっている.

 筆者がこの競技にかかわるようになったのは大学4年生のとき,脊髄損傷患者が多く集まる病院での臨床実習で,患者から競技の存在を聞いたのが始まりである.大学の講義でも多少聞きかじって知っていたはずの障がい者スポーツは,実際に目の当たりにするとまるで次元の異なる世界だった.競技用車椅子と一体化した選手たちの動きは教科書で学んだ障害像とはまったくかみ合わず,車椅子のタイヤの先端部分にまで血管や神経がつながっているのではないかと思うような華麗な動きは,どこまでも筆者をワクワクさせてくれた.

入門講座 「はじめて」への準備(クリニカルリーズニング編)・3

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はじめに

 日本でクリニカルリーズニングの重要性が認識されるようになってきたのは1990年代初頭,埼玉県立大学の藤縄理教授のご尽力により,南オーストラリア大学のMark A. Jones教授が来日されたのがきっかけである.彼は今でもこの分野における世界的リーダーであり,日本各地で何度も講演をされている.その後も,藤縄教授や元 新潟医療福祉大学の亀尾徹先生のご尽力などにより,その概念は多くの理学療法士に知られるようになった.

 患者の問題点を見出し,仮説を立て,仮説検証をする一連の過程をクリニカルリーズニングと表現することが多いが,これはクリニカルリーズニングの一部に過ぎない.理学療法士だけでなく患者やその周囲の人も含めたすべての人の問題空間およびその改善にかかわるすべてのプロセスを指す.それらには,理学療法士の持つ知識基盤や解釈,批判的思考や臨床意思決定,垂直思考だけでなく水平思考,患者の持つ準拠枠,価値観,生き方や考え方すべての概念が含まれるものであり,それらをもとに,その患者の持つ問題を安全で効率よく解決するための方策すべてを指すものである1).したがってクリニカルリーズニングは,スポーツ領域だけでなく,すべての領域において理学療法士が習得すべき思考技術である.

 スポーツ現場における理学療法では,クリニカルリーズニングは特に重要である2).介入の際に理学療法士に必要な思考過程の流れを,簡易的に表1に示す.スポーツにかかわる理学療法士に求められることは,スポーツ障害を負った選手を可及的早期にスポーツ現場に復帰させることであり失われた機能を回復させることである.さらに障害を発生させる要因を事前に把握し,障害を招く可能性のある要因を改善することでスポーツ障害を予防することである.

 障害を発生させる要因は,身体機能的要因のみならず,心理的要因や社会的要因,環境的要因などさまざまであり,これらすべてを把握して選手や指導者と情報を共有し,管理していかなければならない.最終的には選手を勝利に導く力となる「勝たせる理学療法」を意識する必要がある.勝利をめざす選手にとって身体機能的側面が最も問題となるが,心理的要因や環境的要因などさまざまな要因が最終的に身体機能的要因に悪影響を及ぼし,パフォーマンスの低下につながり,実力を発揮できず敗退してしまうという最悪の結果につながる.「勝たせる理学療法」を常に意識し,理学療法士としての責任と誇りを持って現場での対応にあたることが肝要である3)

講座 ニューロモジュレーション・4

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はじめに

 難治性疼痛とは,その原因にかかわらず既存の除痛法では治癒させることが困難な疼痛の総称であり,その代表に神経障害性疼痛(neuropathic pain)がある.神経障害性疼痛とは,国際疼痛学会(International Association for the Study of Pain:IASP)では「Pain caused by a lesion or disease of the somatosensory nervous system」と定義されており,中枢神経および末梢神経系の体性感覚系の障害に起因するすべての痛みの総称である.実際にさまざまな原因による神経障害性疼痛が報告されている(表1)1,2).それらの多くはニューロモジュレーション療法の対象となり得る慢性の難治性疼痛である.

 2000年代後半より,神経障害性疼痛に対する薬物治療ガイドラインが欧米[IASP,European Federation of Neurological Society(EFNS)]および本邦(日本ペインクリニック学会)において策定され,煩雑であった神経障害性疼痛の薬物治療をevidence-basedに行うことが容易となった.しかしながら,ガイドラインに示された薬物の使用によっても改善が困難な神経障害性疼痛は多く存在し,そのような症例に対してさまざまなニューロモジュレーション治療が試みられている.

 本稿では,神経障害性疼痛に対する薬物治療の現状を解説するとともに,本講座のテーマである疼痛のニューロモジュレーション治療をその変遷を含めて解説する.

臨床実習サブノート 歩行のみかた・9

成人の脳性麻痺 中林 美代子
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はじめに

 脳性麻痺(cerebral palsy:CP)児は,ライフステージのなかで問題点が変化することや運動機能が低下することから,児・者一貫した介入の必要性が求められます.新潟県はまぐみ小児療育センター(以下,当センター)においては,近年18歳を超えて理学療法を継続する利用者が増える傾向にあります.現在,理学療法実施者527名中23%が成人期であり,さらにこのうちの16.4%が杖歩行以上となっています.また,歩行獲得しいったん理学療法が終了となった児でも,成長過程において足部の問題や股関節や腰部の痛みなどで療育施設以外の一般病院を受診し,理学療法が依頼される場合も考えられます.

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要旨 本研究は,脳性麻痺両麻痺患者の歩行時のエネルギー効率と関連する因子を明らかにすることを目的とした.対象は,独歩が可能な脳性麻痺両麻痺患者13名とした.エネルギー効率の評価方法であるPhysical Cost Index(PCI)と膝関節伸展筋力,関節可動域,身体活動量,下肢随意性,肥満度との関係性を検討した.その結果,PCIと膝関節伸展筋力の間に有意な負の相関(r=−0.66,p<0.05)が確認された.また,身体活動量が大きい場合,PCIの値が有意に低くなる傾向が明らかとなった.脳性麻痺患者は膝関節伸展筋力が大きく身体活動量が大きい場合,歩行時のエネルギー効率が良好であることが示唆された.

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要旨 本症例検討では,頸部郭清術および放射線治療を受けた頭頸部癌患者に発生した退行性変化に対する即時的な理学療法効果について検証した.対象は,右耳下腺全摘術と右頸部郭清術(Ⅰ〜Ⅴ),術後に放射線治療(66Gy33fr)が施行された40歳台女性である.Single case study(ABABデザイン)に準じて検討した結果,徒手療法のみと比較して事前に超音波治療を行う徒手療法のほうが退行性変化した部位が軟化し,関節可動域が拡大した.頸部郭清術および放射線治療後に退行性変化した軟部組織では,徒手療法のみの介入より事前に超音波治療を実施したほうが即時的に組織硬度を軟化させ関節可動域を拡大できる可能性が明らかとなった.

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はじめに

 1965年に理学療法士法が公布された当時,筆者はまだ生まれていない.当時についてはリハビリテーション医学や理学療法の歴史においていくつか報告があり1,2),外国の状況3)や日本における療法士の軌跡4)などを読み,知ることができる.

 1949年に日本最初の労災病院である九州労災病院が福岡県北九州市で開院した.同院は2011年に新築移転し,現在元の病院の跡地には「日本リハビリテーション発祥地記念館」が開設し,館内には理学療法の黎明期を支えたリハビリテーション機器が展示され,時代背景を肌で感じることができる.

 今回,筆者はこの記念館を訪れ,リハビリテーション医療に携わる者として,強く使命感を感じることとなった経緯を紹介したい.

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次号予告

「作業療法ジャーナル」のお知らせ

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 現在,解剖学を学ぶ学生は増えている.学生でなくても「人体の仕組みを知りたい」という思いを持つ人は,潜在的に多く存在する.私は,さまざまな職種をめざす学生だけでなく,既に臨床などで活躍している人々に対しても解剖学の講義を行ってきた.あらゆる医療のコアとなる解剖学を,学生や臨床家たちにどのように教えるのか.これが常々私の課題となっていた.

 本書の著者である坂井建雄先生(順天堂大大学院教授)は,解剖学に深い造詣を持つ一流の研究者であり,解剖学実習を担当する教員でもある.また,「どのように解剖学を伝えるか?」ということに関しても熱心で,学会などでご意見を伺ったりしていた.その坂井先生がどのように本書をまとめられたのか,ぜひ知りたいと思って本書を手に取った.

文献抄録

第29回理学療法ジャーナル賞について

編集後記 金谷 さとみ
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 理学療法士の資格を取得し一般病院に就職したばかりのころ,臨床実習で学べなかった小児分野をどうしても勉強したくて,就学前の通所施設に研修に行ったことがあります.今も忘れることができない心震える貴重な2年間でした.現在,私は地域や高齢者を専門としていますが,その基盤はこの2年間で培われたといっても過言ではありません.

 当時は重度障害の小児の嚥下障害に対しては理学療法士が中心になってかかわっていました.「摂食・嚥下機能を向上させるためには口腔周辺だけでなく,体幹をはじめとする全身の運動機能へのかかわりが重要である」と語った大先輩の指導は脳裏に深く残り,高齢者施設では積極的に嚥下障害のある高齢者に理学療法を提供しました.嚥下がクローズアップされてきたのはごく最近のことですが,理学療法士はかなり昔からメカニズムを学び,その部分にかかわってきたのではないでしょうか.

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基本情報

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理学療法ジャーナル
51巻12号 (2017年12月)
電子版ISSN:1882-1359 印刷版ISSN:0915-0552 医学書院

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